
Leica SLシステムで「28mm」というスナップに最適な画角を扱うとき、Leica Mマウントレンズをアダプターを介してコンパクトに持ち歩くのも1つの楽しみです。ですが、SLシステム用で光学性能を極限まで追求したレンズが1本存在しています。
それが、今回ご紹介する「アポズミクロン SL28mm F2.0 ASPH.」。ライカ最高峰の証である「アポ」の称号を持つこのレンズは、広角ならではの視野を持ちながら、被写体をありのままに記録してくれます。
今回はこの至高なレンズを「Leica SL3」に装着し、雨が降り出しそうな曇天の下、歴史的な佇まいを残す建物、そしてその周辺の街並みへと連れ出しました。しっとりとした空気感が漂う中で、この組み合わせの描写をじっくりと確かめてきました。
自然な遠近感と、正確な質感表現
まずは、歴史を感じる重厚な建物の中でシャッターを切ってみました。
カメラの背面モニターに映し出された写真を見ると、その描写力に驚きます。

一般的な広角レンズは、画面の端にいくほど不自然な歪みが出たり、引っ張られたような写りになってしまうことがあります。しかしこのレンズは、広い範囲を1枚に収めながらも、そうした過度な歪みを抑えて自然な遠近感を実現してくれます。そのため、古い木造建築の複雑な柱や天井のラインも、空間の奥行きを損なうことなく、素直で綺麗な形として画面に収めることができます。
今回の撮影では、Leica Lookの「Standard」「Vivid」「Monochrome NAT」を選択しましたが、このレンズの鮮明でクリアな描写は、それぞれのスタイルにおいても最高のパフォーマンスを発揮します。

光のにじみも抑えられ、「Standard」での忠実な色再現はもちろん、「Monochrome NAT」に切り替えた際にも、古い木肌の細かな質感や雰囲気が、豊かな階調とともにそのままカメラの中に記録されます。

「アポズミクロン SL28mm F2.0 ASPH.」の描写は、隙のない正確な写りという印象。「完璧な光学性能」を追求した結果、Leica Mマウントのレンズとはまた違う、極めて現代的でクリアな、至高の写りに到達しているように感じました。

画面の中心部分だけでなく、写真の四隅まで高い解像力を誇るこのレンズは、歴史的な建物を写したときに、その凄みを静かに実感させてくれました。なお、「SL3」には新機能として写真の色合いを変えられる「Leica Looks」も搭載されており、今回使用したプリインストール済みのもの以外でも、ダウンロードで追加できるものもあるので、さらに多彩な表現を楽しむことも可能です。
道具としての絶対的な安心感と、高画素を活かしたクロップ撮影

上の写真ですが、少し高い部分に照明があったので「APS-Cサイズにクロップ」して撮影しました。28mmという広角単焦点レンズでありながら、ボタンに割り当てておけば、約42mm相当の画角へと瞬時に切り替えることができます。
「SL3」は約6000万画素という圧倒的な高画素センサーを搭載しているため、APS-Cサイズにクロップをしても、約2600万画素という十分な画素数が手元に残ります。一般的なカメラと同等以上の画素数を維持できるため、「アポズミクロン SL28mm F2.0 ASPH.」が持つ最高の光学性能と相まって、クロップしても細部まで非常に鮮明に、シャープに記録されているのが印象的でした。
また、保護等級「IP54」の優れた防塵防滴性能を備えたSL3との組み合わせは、天候を気にせずカメラを構えられるという、道具としての強い安心感をもたらしてくれます。自分好みに機能を割り当てられる洗練されたボタン配置、そして深いグリップをしっかりと握りこむことで、手ブレを心配することなくファインダーの景色をじっくり見据えることができます。
建物を出て、曇り空の街へ。ストリートで活きる柔軟な画角の使い分け
建物内での撮影を終え、建物外、そして周りの街並みをスナップしながら歩いてみることにしました。

景色が変わっていく街の中では、この組み合わせの持つ正確な描写力が大きな強みになります。どんなに素早く構えても、素早くピントを合わせ、建物や道路の線が美しく写り、曇り空のわずかな光でも、街の質感を正確に捉えてくれます。
街中でのスナップ撮影も、状況に合わせてフルサイズとAPS-Cクロップを使い分けながら撮影を進めました。少し離れた場所にある被写体を引き寄せたり、余計な要素を省いて画面をすっきりと整理したいとき、クロップ機能は非常に高い利便性を発揮してくれます。
街の中で見つけた、ふとした瞬間を切り取っていきます。


SLシステムのレンズは、MシステムやQシステムと比べると、どうしても重量とサイズ感で劣ってしまう部分があります。しかし、SL3の大きなグリップとレンズの適度な重みは、手ブレを防いで「ここぞという瞬間」をしっかりと止めてくれる安定感に繋がり、狙った被写体を逃がさず瞬時にピントを合わせられるAF精度の高さ、更に厳しい環境下で耐えられるタフさを兼ね備えています。正にLeicaの中でも、もっとも質実剛健で、現場での確実性を追求した存在と言えます。
それでも描写面はLeicaの写り。「Standard」の持つ自然な空気感、あるいは「Monochrome NAT」が描き出す静かで落ち着いた世界観。レンズ自体の描写が完全にクリアなため、フルサイズでのダイナミックな構図はもちろん、クロップを選択してお気に入りの部分をミニマルに切り取った場合であっても、写真の芯がブレることはありません。


高画素センサーによる恩恵は、この街並みのスナップでも感じられます。クロップされた写真であってもディテールは驚くほど精緻に維持されており、28mmの単焦点レンズでありながら、実質的に2本の優れたレンズを使い分けているかのような感覚を覚えます。
さらに街の奥へと歩みを進めます。無音で素早くピントが合うAFのおかげで、スナップのテンポが非常に快適です。


色合いを変え、切り取る場所を変え、目の前の空気感を丁寧に残していく。厳しい環境でも安心して使える高い信頼性と、あらゆる表現の土台となってくれる素直な光学性能は、この大柄なシステムだからこそ手に入るものなのだと、撮影を行う中で強く感じました。
本日最後の一枚を。

高い信頼性と、ありのままを写す描写力
不安定な天候でも安心して使用できる高い信頼性と、被写体をありのままに写し出す素直な描写力。
そして、単焦点レンズの概念を広げてくれる高画素機ならではのクロップ撮影。この「SL3」と「アポズミクロン SL28mm F2.0 ASPH.」の組み合わせは、目の前の世界を確実に正確に捉えたいという方に、最高に硬派で頼もしい道具となってくれるはずです。28mmという画角を好んで使用されている方にこそ、ぜひこの写りを体験していただきたいと思います。
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