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【Leica】完璧な写りに飽きた人へ ④  6000万画素 SL3で味わう庶民派の名玉

【Leica】完璧な写りに飽きた人へ ④  6000万画素 SL3で味わう庶民派の名玉

『Leica Summaron L35mm F3.5』

1946年から1950年代にかけて製造。
戦前から製造されていたベストセラーレンズ「Elmar L35mm f3.5」の後継モデルとして登場しました。
3群4枚のレンズ構成を持つエルマーがふわふわの描写だったのに対し、4群6枚のダブルガウス型に改良。 画面周辺部までの解像力や描写性能が飛躍的に向上しました。
「サンハン(3.5) ズマロン」の愛称で親しまれ、オールドレンズ愛好家の中でもファンの多いレンズです。

これまでこのブログでは、「Xenon L50mm F1.5」「Hektor L73mm F1.9」「Summarex L85mm F1.5」と、レア度の高いレンズを取り上げてきましたが、今回はオールドライカレンズの中でも安価な価格帯。 いわば庶民派レンズとも言える存在の「Summaron L35mm F3.5」に焦点を当ててみました。


前期型(左)と後期型(右)

ズマロン L35mm F3.5には、形状の違いで前期・後期の2タイプがあります。 レンズ構成は同じなので、写りに差はありません。
前期型は、よりコンパクトな形状。クラシカルなフォルムがとても魅力的ですが、絞りとピントが一緒に動いてしまうという難点があります。 絞り値を変えるには一旦無限ロック位置にもってくるなど、ピント鏡胴を固定する必要があります。

今回、SL3には後期型を装着し撮影に出掛けました。

 

・・・

 

・超高画素に映し出される、驚くべき解像の線

F8 1/10秒 ISO100 BW+HC

駅構内の入り組んだ鉄骨屋根。 開放F3.5のコンパクトなオールドレンズには荷が重い被写体に見えますが、交差するパイプや整然と並ぶ照明の細部、そして停車する列車の輪郭まで、線が崩れることなく緻密に描き切っています。
高画素SL3の描写性能に、ズマロンのポテンシャルが負けていないことを示してくれました。


F4 1/25秒 ISO100 STD

ズマロンの最短撮影距離は1m。 35mmという焦点距離からすると、どうしても物足りなさを感じてしまいます。
そこでヘリコイド付きのマウントアダプターを駆使して、さらにぐっと寄ってみました。
M型ボディではできない芸当、SL3を使う理由の一つです。

鮮やかな糸の一本一本が立つような立体感が生まれました。
繊維の持つ微細な風合いも余すことなく捉える描写性能は、オールドレンズであることを完全に忘れさせてくれます。

 

・光とボケが織りなす「オールドライカ」の味

F4 1/50秒 ISO100 BRS

光の環境下では、現代の最新レンズが必死に排除しようとするフレアやゴーストが、美しく画面を包み込みます。
光の回り込みを「情景の温もり」として写真に落とし込めるのは、この時代のレンズならではの表現力と言えます。


F3.5 1/60秒 ISO100 BW+HC

岩の上にポツンと残された松ぼっくり。 F3.5という控えめな開放値でありながら、被写体に寄ることで、背景は溶けるような柔らかいボケ味を見せます。
ピント合焦面のリアルな質感と、背景のなだらかなボケのコントラストが、静寂な空気感を生み出しています。

 

・豊かなトーンのグラデーションとシャドウの粘り

「サンハン ズマロン」はオールドレンズらしい落ち着いた発色と、暗部から明部までのなめらかな階調表現が特徴。
特にモノクロ撮影では、繊細で豊かなグレーの階調と重厚なシャドウを描き出します。


F8 1/640秒 ISO100 BW+NAT

整然と並ぶボート群。 モノクロで写すと、このレンズが持つ豊かな階調表現が際立ちます。
ハイライトの白から影の漆黒に至るまでのグラデーションが極めて滑らかで、SL3の広いダイナミックレンジと見事な相乗効果を見せてくれます。


F11 1/15秒 ISO100 BW+HC

連続するコンクリートアーチの奥へと続く光。 暗く沈み込みそうなシャドウ部ですが、黒つぶれすることなく壁面の微小な凹凸を粘り強く残しています。
暗部におけるディテールの維持力は、建造物の重厚感を余すところなく伝えてくれます。

 

・街の風景を切り取る、35mmの距離感

F5.6 1/160秒 ISO100 CLS

スナップ撮影の王道である35mm。 混雑した街中でも、手前のマスコットにピントを置くことで、背景の人波を程よくボカします。
雑多な街の雰囲気を適度に残しつつ、主役を印象的に浮き立たせてくれます。


F3.5 1/125秒 ISO100 BW+NAT

オールドレンズ特有の柔らかいボケ味と、SL3の滑らかな階調表現が相まって、その場の空気感を閉じ込めたような1枚になりました。
解像しすぎず「記憶の情景」のようにどこか優しく写し出してくれるのは、ズマロンならではの表現力です。

 

・SL3との組み合わせで引き出される、ズマロンの新たな可能性

F8 1/1600秒 ISO100 ETN

Leica Looksの中でも鮮やかなコントラストと高彩度を誇る「Leica Eternal」で撮影。
それでも日本メーカーの高彩度表現とは異なる、落ち着いた色表現を楽しめます。
黄色とターコイズブルーの屋根が放つどこかノスタルジックなトーン。 四隅がじんわりと落ち込む周辺光量落ちが、視線を中央に誘導してくれます。


F4 1/100秒 ISO100 BLE

「Leica Bleach」で撮影。彩度を抑え、コントラストを強調したこのモードは、ズマロンの渋いレンズ特性と抜群の相性を見せます。
水面の静かな揺らぎ、木杭の重厚な黒、枯れ草の質感。 まるで静かな映画のワンシーンのような、アンニュイで深い余韻を残す描写に仕上がりました。


F5.6 1/25秒 ISO1600 BW+HC

SL3の強力なボディ内手ブレ補正機構と高感度性能は、オールドレンズを夜の街に連れ出すきっかけを与えてくれます。
スローシャッターでブレるバスの動線と、静止する背景の微細なトーンと質感。機材の新旧が補い合って撮れた1枚です。


F3.5 1/100秒 ISO1250 ETN

店頭に置かれた花束を圧倒的な立体感を持って表現できました。
背景の電灯は柔らかな玉ボケとなり、光の粒となって主役を際立たせます。
バラの花びらの滑らかな重なりや包装紙の質感まで、強い光と陰影を崩さず描き切る解像感と色乗りの良さに、この組み合わせのポテンシャルの高さを感じます。

 

・・・

 

Leica SL3の圧倒的なスペックは、オールドレンズの「アラ」を暴くためではなく、「秘められたポテンシャルを極限まで引き出すため」に機能していると感じます。
コンパクトで取り回しの良いズマロン L35mm F3.5を現代の最高峰ボディに装着し、街へと連れ出す。
そこには、ただクラシックレンズを楽しむという表現だけでは収まり切らない、息をのむほど高精細で情景豊かな世界が待っていました。

 

 

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【Leica】完璧な写りに飽きた人へ ③  6000万画素 SL3で味わう伝説の中望遠レンズ 

[ Category:etc. Leica | 掲載日時:26年09月03日 19時10分 ]

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