今までSONYというメーカーは常に革新的であり刺激的な製品を常に提供してくれており、このような印象を持たれている方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
・AIプロセッシングユニットによる被写体認識の向上
・シャッターを切る1秒前から記録できるプリ撮影
・秒間120コマの超高速連写
・ローリングシャッター歪みを完全に解消したグローバルシャッター
この素晴らしい機能を全て盛り込んだのが2024年に満を持して登場したSONY α9Ⅲ ILCE-9M3です。
SONYが今持つ技術を惜しみなく詰め込んだ当カメラですが、実はストロボと組み合わせた時に大きな力を発揮してくれるのです。
シンプルに言うと『大型のストロボが必要なくなった』ということです。
これはグローバルシャッターの恩恵なのですが、では何故そのような事が起きているのか詳しい理由を知らない方もいらっしゃるかと思いますので、今回はその解説とSONYのストロボのおすすめポイントについてお話していきたいと思います。
本記事の撮影セットはこちら。
α9Ⅲ
FE 35mm F1.4 GM
FE 85mm F1.4 GM
HVL-F60RM2(クリップオンストロボ)
FA-WRC1M(電波式ワイヤレスコマンダー)
ポートレート撮影でよく利用される35mm、85mmを使ってストロボの活用法も含めてお話ししていきたいと思います。
今回、大型のモノブロックストロボなどが必要なくなった理由についてお伝えするにあたって
『今までの撮影スタイルがどのような方式だったのか』
『これからの撮影スタイルはどうなっていくのか』
こちらも踏まえて順番にお伝えしていきます。
まず最初に知っておいていただきたいのがストロボを利用する際に付き纏う問題「ストロボ同調速度」というものです。
こちらはカメラによって限度は違いますが、シャッタースピードが1/200または1/250のものが昨今は多く、このシャッタースピードを越えると光がセンサーに届く前にシャッターが閉じ始めてしまい正しく露光が出来なくなります。
なので、こちらを解消するために基本的には3つの方法がとられていましたが、それぞれにデメリットがあります。
①F値を絞る
背景のボケ量が薄れる。
②NDフィルターの使用
レンズのフィルター系に合わせるため複数枚の所持orステップアップリング所持が必要。
フィルターによっては画質劣化が起きる場合がある。
③ストロボ側でハイスピードシンクロ(HSS)の使用
光量が落ちる。
ストロボに負担がかかる。
バッテリーの消耗が激しくなる。
チャージに時間がかかる
複数回発光させるため発光ムラが出る場合がある
※①②はシャッタースピードをストロボ同調速度以下に下げる方法で、③はシャッタースピードをストロボ同調速度以上に上げて撮影する場合に使用する方法です。
上記のように今までは屋外やシャッタースピードを上げたい場面でストロボ撮影をしようとする際には何かを犠牲にしなければいけないという現状でした。
それを解決したのがα9Ⅲに搭載されたグローバルシャッターなのです。
同じ電子シャッターの分類ですが従来の上から順に記録していく電子シャッターとは全く違う方式で、センサーの全画素を同タイミングで露光し読み出しを行うことにより従来の方法を用いることなく、高速シャッターでもストロボとの同調をさせることが可能になりました。
しかし、このままの設定では撮影をしても光が届く前に露光を終えてしまいフラッシュの恩恵を受けられません。
ここで効果を発揮するのが『発光タイミング設定』です。
まず通常通り撮影したものと発光タイミングを合わせたものを見比べてみましょう。
このように光のピークにシャッターを合わせてあげると明るく撮影することができます。
そのおかげでHSSで光量落ちするため大型のストロボが必要だったのが、クリップオンストロボで十分な光量が稼げるようになり、機材の軽量化や機材費の節約に繋がりました。
ただ発光タイミングに関しては上の写真のように「ストロボの種類」や「被写体までの距離(バウンスも含めて)」などにより変化してきますし、シャッタースピードを速くすると更に細かくピーク位置を模索する必要がありますので最初は慣れが必要になるかと思います。
しかし一度設定してしまえば大きく環境が変わらない限りそのまま流用したり必要であれば微調整をするのみなので、まずは自分の撮影機材を使用した際の基本設定を固めることをオススメいたします。
今回は屋外での撮影でオフライティングを行ってみました。
SONY α9Ⅲは最速のシャッタースピードが1/80000となっておりますが、今回のようにF値が1.8より明るいF1.4で設定を撮影するとシャッタースピードが上限1/16000秒になります。
常用ISOが250〜25600となっておりますので、白飛びを防ぐためにもF1.8以上に絞って上げるのも大切かと思います。
解像力UPにも繋がりますので状況に合わせて設定してみてください。
上の写真のようなストロボなしで撮影する場合は以下のような撮影することが多いかと思います。
①適正露出で撮影後、現像処理でシャドウを持ち上げる
②被写体に適正露出を持ってきて背景は白飛び覚悟撮影
しかしストロボ撮影では『背景の露出を決定してから被写体の露出をストロボで設定する』といった、上手く撮影するための順序があります。
ストロボ光はストロボの光が及ばない範囲の露出には影響を与えませんので、被写体を含めた全体的な露出に影響を与えるカメラ側の設定を先に行い、最終的に被写体に当たるストロボの光量や角度を調整し撮影を行うという事です。
これはどのカメラで撮影する際も同じことが言えますので、ストロボ撮影に慣れていない方やこれから挑戦したいと思っている方はこちらの撮影方法を行うと簡単にバランスの取れた写真が撮れますので日中シンクロ、スタジオ、物撮りなどで是非お試しください。
ちなみに今回はストロボの出力を1/128で撮影しておりますのでかなり出力が低いことをお分かり頂けるかと思います。
このように撮影すると白飛びせず背景の色味なども残した上で被写体を明るく撮影することができます。
ここまでα9Ⅲがグローバルシャッターを搭載したことによるストロボを使ったメリットについてお話をしてきましたが、SONYのストロボ関連の便利さはこれだけではありません。
HVL-F60RM2に関してはクイックシフトバウンスという機能が搭載されています。(終売しているHVL-F60RM、HVL-F60M、HVL-F43M、HVL-F58AMも対応)
通常クリップオンストロボはヘッドを横方向に捻って回転し照射方向を変更するのですが、クイックシフトバウンス搭載機は左右90°に発光部分を動かすことができ、発光部分の形や向きも基本変わらず迅速に縦・横位置の切り換えができます。
これ以外にも筆者が感じるSONYのストロボの良さがあります。
・色温度を5500Kで統一し安定した発光を実現
・専用電池ではなく単三、単四電池を採用しているため入手がしやすく電池切れ時も安心
・高いオーバーヒート耐性で長時間のフラッシュ撮影が可能
複数のストロボを所有している場合、多灯ライティング時に色温度が統一されていないと困ります。
更に専用電池だとチャージが早いメリットもありますが、電池切れ時に代わりのバッテリーが無ければ絶望です。
サードパーティー製のストロボも安価で利用できますが、こういった細かい部分が撮影時の安心感に繋がりますので失敗できないような現場では純正をオススメしたいところです。
グローバルシャッター搭載した事でストロボ撮影がかなり身近になり日常的なスナップでも利用しやすくなったと感じます。
HVL-F46RMのような比較的小さめのクリップオンストロボを持ち歩いておけば、上のような写真も設定を特に考えずに撮ることができます。
上の写真はFE 35mm F1.4 GMを装着し、あえてストロボの照射角を望遠の135mmにし撮影しました。
本来は二枚目のような通常の屋外の写真になるのですがストロボを使うことにより、夜にスポットライトを当てたような写真を撮ることも可能です。
この撮影手法はポートレート撮影でも活用されていますので興味のある方は是非お試しください。
時代は進化し様々な機能が生まれ、ドンドン便利な機能が出てきております。
グローバルシャッターを搭載した事によりローリングシャッター歪みを無くし、ストロボ撮影にも革命を起こしたSONY α9Ⅲがその最たるものでしょう。
細かいところですがグリップ感が増していたり、4K120p動画をクロップなしで記録できたり、今までの機種を超える性能がたくさんありますので是非一度この手で体感してみていただければと思います。
そして、今までにない撮影体験を味わってみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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