Sony α99II インタビュー【Part 4】
ちなみに記録メディアとして採用されているのはSDカード(UHS-I対応)のダブルスロット(片側はメモリースティック兼用)となりましたが、最近は高速連写モデルにはUHS-II対応のSDカード、あるいはXQDカードという選択肢もあり得たのではないかと思います。この辺りについてはいかがでしょうか。
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UHS-IIのSDカードやXQDカードへの対応は、要望としてあることは想定しましたが、“α99II”では、まずは地力として十分なスピード性能とバッファ性能を実現させることを目標としています。そのために、4240万画素という情報処理をこなしながら12コマ/秒の高速連写に対応するために、「フロントエンド LSI」と我々が読んでいる、画像処理エンジンの「BIONZX」をサポートするエンジンを刷新しています。 この新しい「フロントエンド LSI」は“α6500”にも搭載されたものですが、高速読み出しに対応したイメージセンサーから送り出される膨大な画像情報を即座に処理しながら、それぞれ最高画質のRAW+JPEGで、54 枚(連続撮影モード HI+時)の連続撮影を実現しております。画素数の少ない連写性能に優れたカメラと比較しても引けをとらない、高画素のカメラとしては類を見ない立ち位置にいることがわかると思います。
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公開されている情報で比較すると、RAWの画質制限や、そもそもの連写速度の違いは多少あれど、 3635万画素の“Nikon D810(14ビットロスレスRAWで連続28コマ)”、 3640万画素の“PENTAX K-1(RAWで連続17コマ)”、 5060万画素の“Canon EOS 5Ds/5DsR(RAWで連続12 コマ)” とされておりましたので、4240万画素でRAW+JEPGで記録して連続56コマとなると、次元が違うと言って差し支えはないですね。連写スピードが12コマ/秒ですので5秒未満のあっという間のできごとです。(笑) 一方で、一般的には画像処理エンジンを強化すると聞くと、エンジンをダブルで搭載する方法や、チップ単体で従来のエンジンの○○倍!みたいなコピーが踊っていると「凄いなぁ」と思うのですが、そうした方式は検討しなかったのでしょうか?
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例えば他社さんで謳われているように画像処理エンジンを2基搭載したような「ダブルBIONZ」等にすればよいのでは、というような声も寄せられておりますが、単純にCPUが2つに増えてもパイプラインにあたる部分の情報受け渡しが追い付かなければ処理スピードの向上には繋がりません。システム全体のスピードが求められるわけです。 また一言に「画像処理エンジン」といっても、担っている役割は画像処理だけではなく、オートフォーカス情報の演算や、その他のカメラ操作に対するユーザーインターフェース全般など、必要とされる処理は多岐に渡ります。メインの「BIONZX」と別に「フロントエンドLSI」を搭載する意図は、画像処理エンジンに必要とされる役割を分けて、BIONZXが最適な形でより高速に処理できるようにアシストすることにあります。 「フロントエンド LSI」はメインとなる画像処理エンジンに比べて、短いスパンでアップデートすることが出来ます。画像処理エンジンの世代交代には長期の開発時間が必要ですが、イメージセンサーや、その他のデバイスの進化は時として先を行くことがあります。そういうとき でも、適切に「フロントエンド LSI」を組み合わせることで、イメージセンサーから十分な性能を引き出せることが出来るわけです。 今回の“α99II”の高速連写性能の達成には、例えばシャッターを駆動するチャージ機構が従来のものでは対応できなかったので新開発していたり、様々な部分で専用に開発されたデバイスが採用されています。その中でも、この新開発の「フロントエンドLSI」が用意できたからこそ、“α7RII”由来の裏面照射型CMOSセンサーが持つ圧倒的なスピード性能を活かすことが出来たと開発から聞いています。 勿論、「フロントエンド LSI」自体の役割も単純ではなく、今回刷新したことで、中・高感度域 でのノイズ低減と高い解像感、質感描写を得るためことにも寄与していたりと、様々な役割を持っているようです。
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「フロントエンドLSI」には、メインエンジンのサポートの役割があったんですね。しかし、話を聞いてますます思うのですが、新しい世代のメモリーカードに対応することで、より高速性能を高めるということは検討されなかったのでしょうか。しつこいようですが(笑)、これで XQDカードなどに対応していれば、それこそ延々と連写が出来るのでは、なんて想像してしまうのですが。
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これには申し上げにくい部分もあるのですが、パソコンなども同様ですが次世代規格のメディアに対応させるには、システム全体のスピードそのものを上げる必要があるのです。“α99II”のシステムの中では、メモリーカードへの書き出しはボトルネックではなかった、ということを聞いています。つまり、現時点で想定している最高クラスのスピードとしては、「UHS-I規格のSDメモリーカード」で実現できている、ということです。 しかし、“α99II”を待ってくださっていたお客様に、「カードが速くないので、連写枚数は少ないです」「途中で連写できなくなります」ではご満足頂けませんから。そうした不満を解消するために、新開発の「フロントエンド LSI」で大幅なバッファ増量による連写枚数増大を実現させています。 それに合わせて、システムとしても連写中のストレスを最大限軽減するため、連写後即、撮影画像の再生に移ることが出来るように、ソフトウェア設計の変更がされています。“α6500”の時にも紹介しましたが、連写後書き込み中であっても即、画像確認が出来ますし、勿論更に追加で連写もできます。そして画像再生中は残りの書き込み枚数が画面左上にカウンターで表示されます。こうした一連の撮影~確認に関わる動きを妨げないよう改善することで、撮影される方のストレスを最大限軽減することができたと考えています。 |
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ここでも、マップカメラがソニーの“α99II”をお借りして、連写速度と、連写中の書き込みを試してみました。
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単純に静止画向けの撮影性能の高さに度肝を抜かれががちですが、Eマウントのハイエンドモデル“α7SII/α7RII”も動画撮影に関する性能が非常に高性能でした。それらと比較しての機 能性や“α99II”の利点があれば教えてください。
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撮影時間にはこだわり、ボディ内手振れ補正を搭載しながらも、Eマウントに比較して大きなボディを活かして熱対策を万全に施してあります。 さらにEマウント機と比較してバッテリーが大容量となっておりますので、バッテリーのもちも単純に良いです。新機能としては 早回し・遅回し撮影を可能にする「スロー&クイックモーション」が搭載されておりますが、カメラ単独、あるいはHDMIの出力機能などを含め基本的には“α7R II”の動画撮影能力を踏襲した、と考えて頂ければよいと思います。
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操作性や、防塵防滴のシーリングなどの堅牢性についてはいかがでしょうか。
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中身のデバイスは“α7R II”と比較してという説明が自然と多くなりましたが、本体構造については“α99”との比較のほうがわかりやすいと思います。まずはカスタマイズ性の向上ですね。AELボタン、ISOボタン、AF/MFボタン、カスタムキー、プレビューボタンなどを含め、使用状況や好みに合わせて機能を割り当てが可能なボタンが13個搭載されています。割り当て機能も65種と豊富に変更が可能です。 また、フロントマルチコントローラーのクリック感ON/OFF追加がされており、従来機は動画撮影中の操作に配慮して抵抗なく静かに回す方式でしたが、クリックをONにすることで絞り、シャッタースピード変更時と同様に節度のある、視覚に頼らない操作が可能です。
全体的な操作系は旧モデルの“α99”を踏襲しております。防塵・防滴に対する配慮は同等ですね。
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やはり大幅に操作体系が変わらないところも、フラッグシップモデルという感じですね。GUI(グラフィックユーザーインターフェース)はかなり洗練されたと思います。今までのαは申し訳ないのですが、どこにどの設定項目が格納されているのかイメージがつかみ辛かったですが、“α99II”は分類分けがとてもわかりやすくなりました。
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今回からはマルチセレクターの操作性を変更しました。かつての“α99”ではこんな感じです。
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あ、プレイステーションのコントローラーのスティックみたいですね。(笑)
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これはこれで反応は良く好評ではあったのですが、“α99II”では親指の腹で押しながら倒すような操作系に変化しています。 マルチセレクターを横から押すような操作の仕方だと反応しません。これは従来の“α99”では反応した操作の仕方なのですが、これだとぶら下げて移動している時などに誤作動してしまい、フォーカスポイントが移動してしまう事がありました。そこで、“α99II”では撮影する時にこちらに移動する、と意志を持って操作したときは反応するよう出来ないかと検討し、現在の操作性にしています。
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