α7R IVの登場によりレンズに求められる性能が更にシビアになったと感じています。ソニーからはハイクラスのレンズシリーズとしてGマスターがラインアップされていますが、6100万画素や将来登場するであろう超高画素センサーに対応はできているのでしょうか?

中西 氏: 以前Gマスターインタビューの際にも少し話させていただきましたが、ソニーはイメージセンサーを開発しているからこそ、将来カメラがどのように進化をしていくのかを把握できています。そして、その将来のロードマップに合わせて、レンズも作られているのです。α7R IVは6100万画素のセンサーを搭載していますので、果たしてレンズの解像性能が追いついているのか?といった声も聞かれますが、Gマスターはこれからの高画素センサーに対応すべく特殊なエレメントやアクチュエーター(駆動パーツ)を専用に開発した、Eマウントレンズの最高峰です。α7R IVではサードパーティ製を含む多くのEマウントレンズが使用可能ですが、その画質性能を最大限に引き出してくれるのは、やはりGマスターだと思っています。そして6100万画素センサーが登場したことでさらにGマスターの真価を実感していただける時が来たとも言えるかもしれません。また、高画素対応のレンズというと、どうしてもMTF曲線や解像力という点にばかり目が行きがちなのですが、α7R IVはひと昔前の高画素機とは違い、AI技術を活用したリアルタイムトラッキングによる高速AFや最高10コマ/秒の連写機能、動物にも対応する瞳AFなど、高画質とスピードを両立したカメラです。そのスピードにレンズがついてこられなければ、どんなに高解像力なレンズでも思うように写真が撮れません。その点でいうとGマスターのラインナップにある『FE 135mm F1.8 GM』は、大口径の中望遠レンズとは思えないほど高速AFを実現しているレンズで、迷わず被写体を捉え続けることが可能です。例えばモデルさんを撮影する際にAFがなかなか合わずにモタついていたらシャッターチャンスを逃してしまうでしょう。しかし、『FE 135mm F1.8 GM』ならF1.8開放でもリアルタイムに瞳を追い続け、ばっちりピントが合った精細な写真を撮ることができます。
フルサイズの新製品だけでなく、『α6600』も非常に完成度の高いカメラだと実際に使用してみて感じました。性能はAPS-Cのフラッグシップ機と言えるカメラだと思うのですが、『α6600』の魅力を教えてください。

中西 氏: α9 IIと一緒に発売されたα6600の事もご説明させていただきます。実は私自身α6500をずっと使用しておりますが、今回ユーザーとしての立場からも、α6600進化には大きな感動を覚えました。まず握った瞬間に分かるのはグリップの進化です。α7R IVやα9 IIと同様に、α6600のグリップも厚みと形状が変更され大変握りやすくなり、特にSEL100400GMやSEL200600Gなどの超望遠レンズを装着した際にも、安定したグリップ感を実現しています。また、グリップが大型化したことにより、大容量バッテリーであるNP-FZ100を採用しています。これにより、数あるαのラインナップの中で最もスタミナのある機種となり、LCDモニター使用時に約810枚の撮影が可能になりました。今までは予備バッテリーが無いと1日の撮影が不安だった方もいらっしゃったと思うのですが、その点を大幅に改善してあります。また、ボディ内手ブレ補正機能を搭載している点も安心してお使いいただけるポイントだと思います。α6600はα7R IVなどのフルサイズ機とマウントやバッテリーが共通化されていますので、必要に応じてより小型軽量なボディを持ち歩き、APS-Cの特性を生かした望遠撮影を行いたい方にサブ機としてもご提案できると考えています。 また、新発売された大口径標準ズームレンズ『E 16-55mm F2.8 G』は、小型ながらF2.8通しで24-82.5mm(35mm換算)の標準域をカバーしており、Gレンズというブランドを冠している事もあって優れた描写性能を発揮します。さらには最大525mm(35mm換算)まで伸びる超望遠ズームレンズ『E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS』が登場した事で、APS-CのEマウントレンズも、より充実したシステムになりました。このように、APS-Cミラーレス機の領域においても、レンズラインナップの充実もあり、プロや写真趣味層の領域でも大きくお客様の数を伸ばしています。
エンドユーザーに向けて
中西 氏: Eマウントはフルサイズ、APS-C両フォーマット間で、シームレスかつアダプターレスの完全互換を実現しています。一つのマウントを通して、様々なお客様、撮影用途、イメージセンサーフォーマット、カメラ、レンズが繋がっていきます。これこそが、Eマウントが提供する世界中のクリエイターや、表現したい方すべてに向けた共通プラットフォームです。これまでの常識に捉われず、今までに撮れなかった被写体にαで挑戦していただけると大変嬉しいです。