ミラーレス一眼カメラの中でも最大のセンサーサイズが特徴のソニーNEXシリーズ。そのNEXシリーズの新製品「NEX-C3」2011年6月24日より発売となった。

コンパクトさと使いやすさをアップデート

NEX-C3はNEX-3の後継機種にあたるのだが、現在の上位機種NEX-5（有効画素数1420万画素）よりも画素数が上がり有効画素数1620万画素となった。センサーサイズ、画素数ともにα55と並んだ格好となった。

本体サイズはNEX-3より一回り小さくなり、NEX-5の極限まで贅肉をそぎ落とした凝縮感に近づいた印象だ。そのNEX-5のコンパクトさをあらわす特徴的な部分といえば、本体からレンズ部分が丸くはみ出すところだったが、NEX-C3の場合はどうだろうか？NEX-C3の注目ポイントは、背面のコントロールホイールが飛び出して見えるほど、サイドを丸くカットしている所だ。NEX-5はコンパクトさをデザインするためのと言う形に思えるが、NEX-C3の場合は握りやすさにも一役買っている。我々使う側としては、NEX-C3の方が嬉しいサイズダウンである。

サイズダウン関連でもう一つ注目すべき点は、グリップ部分のデザインが変更になり厚みが減っているところだ。曲面の組み合わせ処理が絶妙で握り辛いと感じることは無かった。

この薄型化に伴い、同じ場所にあったバッテリーと記録メディアが別々の場所に置かれる格好となった。また、いわゆる電池蓋の内部にあった記録メディアの確認ランプが、底部の見える場所へ移動し、ランプが消えてから記録メディアの蓋を開ける様、意識できるようなった。

操作系も若干リニューアルされていて、シャッターボタンと一体となっている電源スイッチの可動部分が右側へ移動し、操作自体も前後へ動かす様に変更となり使い勝手が向上している。

お任せオートのシーン判別が便利で、良くできたアシスタントの様だ。

絞りF13 シャッタースピード1/200秒 ISO 200 焦点距離18mm

背景ぼかしや明るさのコントロールは、数字を忘れて見た目でコントロールできる点を評価したい。

絞りF5.6 シャッタースピード1/1000秒 ISO 200 焦点距離55mm

フォーカスやシーン判別はカメラにお任せ。休日の撮影スタイルは、これぐらいの力の抜き加減が良い。

絞りF13 シャッタースピード1/320秒 ISO 200 焦点距離55mm

わざとピントを外して撮影、海と点光源を強調。センサーサイズが大きいので、雰囲気のあるボケ写真のコントロールも思いのまま。

絞りF8 シャッタースピード1/1000秒 ISO 200 露出補正-1.0 焦点距離18mm

ズームレンズは、どこまで写すかの他に、どこまで「写さないか」という調整ができる。

絞りF5.6 シャッタースピード1/250秒 ISO 250 焦点距離22mm

液晶モニターがチルトするので、地面スレスレで構図を決めるのもたやすい。

絞りF3.5 シャッタースピード1/2500秒 ISO 200 焦点距離18mm

こちらは液晶モニターを下へチルトさせ、カメラを高い位置に持ちあげて撮影。

絞りF7.1 シャッタースピード1/320秒 ISO 200 焦点距離55mm

写真を楽しく撮れるアップデート

現行機種でも対応となったファームウェアのアップデートで、ピクチャーエフェクトが追加となった。ピクチャーエフェクトは、色合いを強調した「ポップカラー」、退色したような雰囲気になる「レトロフォト」、赤色・緑色・青色・黄色それぞれを強調した「パートカラーレッド」、「パートカラーグリーン」、「パートカラーブルー」、「パートカラーイエロー」、明るく柔らかめの写りとなる「ハイキー」、明暗が強調される「ハイコントラストモノクロ」、周辺減光と独特の発色の「トイカメラ」、イラストのような抽象的な仕上がりの「ポスタリゼーション（カラー）」、「ポスタリゼーション（モノクロ）」の11種類。

それでは、実用的なピクチャーエフェクトをピックアップして使い方を紹介していこう。

「ポップカラー」は、AGFAのULTRA50のような彩度の高い写真が撮れるので、青空、緑、赤、黄色など原色を強調したいシーンで使うと効果的だ。インパクトのある写真が撮れるのでお勧めしたい。

「レトロフォト」は、退色したような古い写真風になるわけだが、古い街並みを写しても実は印象の薄いだけの写真になってしまうことがある。退色がキーワードで、元々彩り豊かな情景が退色した様なイメージで撮るようにしよう。レトロな街並みを撮るのではなく、レトロな写真に写ると言うところがポイントだ。

では、古い街並みを撮るにはどのピクチャーエフェクトが有効なのだろう？候補は3つ、「トイカメラ」、「ハイコントラストモノクロ」、「ハイキー」だ。「トイカメラ」は、味わいのある雰囲気で情景を切り出すことができる。「ハイコントラストモノクロ」は、陰影を力強く印象づける写真が撮れる。「ハイキー」は、朝方や明るい場所など、その雰囲気をより強く演出するイメージで撮影できる。

これらはあくまで一例で、ミスマッチによる新しい発見もあるので、ピクチャーエフェクトを駆使して楽しく写真を撮ろう。

なんといっても、トイカメラ風エフェクトは王道の良さがある。

ピクチャーエフェクト：トイカメラ 絞りF9 シャッタースピード1/1250秒 ISO 200 露出補正-1.7 焦点距離19mm

赤以外モノクロとなるパートカラー。折角なので奧の信号が赤になるまで待ってみた。

ピクチャーエフェクト：パートカラーレッド 絞りF9 シャッタースピード1/640秒 ISO 200 露出補正-0.7 焦点距離55mm

ハイコントラストモノクロは、露出コントロールで良い味が出る。

ピクチャーエフェクト：ハイコントラストモノクロ 絞りF8 シャッタースピード1/1000秒 ISO 200 露出補正-1.0 焦点距離18mm

周辺減光はごちゃごちゃした背景では分かり辛い。ピクチャーエフェクトのトイカメラを使う場合は、構図を工夫しよう。

ピクチャーエフェクト：トイカメラ 絞りF8 シャッタースピード1/800秒 ISO 200 焦点距離26mm

ピクチャーエフェクトを効果的に使うにあたって、撮影モードの「ピクチャーエフェクト」ではなく、「おまかせオート」の中のマイフォトスタイルをお勧めしたい。

マイフォトスタイルは、ピクチャーエフェクトの他に、彩度や明るさ、色合い、背景ぼかし、美肌効果などを個別に追加設定できるようになっている。例えば、「トイフォト」をもっと彩り豊かに撮りたい場合など、簡単に設定を追加することができる。

これらの設定は、ソフトキーでリセットが簡単にできるので、通常のオート撮影と併用も問題ない。

NEX-C3は、コンパクトさと使い勝手の良さを両立したデザインと、ピクチャーエフェクトをはじめとする写真を楽しむための機能が搭載されたバランスの良いカメラに仕上がっている。

そして新型センサーは、ISO800やISO1600も実用的な画質である点も嬉しい。入門機的な面もありつつ、様々なレンズを楽しめるマニアックな側面もあるNEX-C3は、様々なニーズにあった万人にお勧めできる一台となっている。

高彩度となるので、空の高い部分と地平線までのグラデーションが強調される。

ピクチャーエフェクト：ポップカラー 絞りF8 シャッタースピード1/640秒 ISO 200 露出補正-0.3 焦点距離18mm

グラデーションが無くなるので、できるだけメリハリのある被写体を選びたい。陰の中なのにポスタリゼーションで、真っ白になっている点が面白い。

ピクチャーエフェクト：ポスタリゼーション（モノクロ） 絞りF8 シャッタースピード1/250秒 ISO 200 露出補正-0.7 焦点距離23mm

構図中の白の割合が多い場合は、ハイキーが効果的に見える。

ピクチャーエフェクト：ハイキー 絞りF4.5 シャッタースピード1/80秒 ISO 200 焦点距離18mm

モノクロ写真は、動きが止まった様な独特の雰囲気が出る。

ピクチャーエフェクト：ハイコントラストモノクロ 絞りF8 シャッタースピード1/250秒 ISO 200 焦点距離21mm

レトロは、ハイキーとは違ったどこか優しい雰囲気を演出できる。

ピクチャーエフェクト：レトロ 絞りF8 シャッタースピード1/250秒 ISO 200 焦点距離18mm

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