
【SONY】「キットレンズは写らない」という嘘。α7IIIをモノクロ専用機にしたら高価なレンズと同等になった話。
よく写る、という言葉はいくらでも耳にしますが、では「写らない」とはどういうレンズを指す言葉でしょうか。
お客様にカメラ、レンズをご案内する身としてこういった言い切りの言葉はなるべく使わないようにはしていますが、あえて巷でちらほら聞こえる「写らない」という言葉を嚙み砕くと、描写力が低いことや、コントラストが低いようなレンズに関してを指すのではないかと考えます。
また、カメラを買うにあたって一番最初に手にすることも多いいわゆる「キットレンズ」も同じ表現をされてしまうことがあります。
しかしこれは真っ赤な嘘、とあえてこちらは断言してしまいましょう。
私自身もちゃんと使ってみるまではこう言い切るには至りませんでしたが、得手不得手を理解して使うことで「キットレンズ」は如何様にも化ける神レンズとしてのポテンシャルを秘めているのです。
しかも高級レンズとは比べ物にならない価格で。紐解いていきましょう。
使用する機材は「SONY α7III」と「SONY FE 28-60mm F4-5.6」です。
本来このレンズはより小型モデルで人気を博している「SONY α7C」シリーズでセットとされるレンズなのですが、このボディと組み合わされるだけあってサイズ感が魅力の1本。
なんと2026年1月現在、中古価格では3万円を切るという超ハイコスパレンズです。

さてまず私が個人的に行き着いた答え、それはモノクロです。
色がなくなる分写真の情報が整理され、明暗と被写体の形状だけを意識することにより作品として認識しやすくなります。
(要素を一つ失った分、実はカラー写真よりも一層奥が深くなるというお話はまた別の機会に。)
ここにキットレンズの強みである軽量コンパクトな設計が組み合わさると途端に無敵になります。


モノクロ撮影は被写体を際立てて撮ることもできるのでうまく画がまとまらない、なんて時はもってこいの手段。
何を隠そうキットレンズが「写らない」と言われてしまう要素をいくつか同時に消してしまえるので重宝します。

例えば最高級レンズと比較した時にそうでないレンズの多くは収差が生まれます。中でも色収差は鑑賞に影響を与えやすいもの。
特に画像の周辺部などで起こりやすい倍率色収差は木立を写したり、空を写したりした際に起こってしまうと悲しいほど目立ってしまいますがモノクロであれば目立ちにくく表現が可能。
それどころか中心を際立たせるメリットすら生まれるのです。

他にもボケの少なさをデメリットとして挙げられてしまうこともしばしば。
確かにF値が明るく、ボケの大きいレンズは非現実間の演出もできる上、上述した被写体を目立たせる効果も強いため大変魅力的です。
少しばかりこじつけかもしれませんがボケが大きいということはそれだけピントが合っている範囲が少ない、つまり意図的に「写らない」部分を利用していることになります。
おや、面白い矛盾に遭遇しました。
ここではあえてボケを切り捨てて写真を撮ってみましょう。
モノクロであればボケによる写る、写らないを無視した画作りを助けてくれます。

モノクロにすることでまずカメラ側にできる工夫をご紹介しました。
さらに小型軽量のキットレンズであれば撮影者の動きにも自由が生まれるのが魅力。
今回使用したカメラとレンズのセットであれば重量なんとおよそ800g。
これでフルサイズ、ズーム、優秀なAFを実現しているのですから向かう所敵なし。

縦構図にして写真上部の余白を増やし、さらに被写体にできるだけ近寄って撮ることで足りないボケと被写体への視線誘導を工夫しました。
地面スレスレで片手撮影、軽量レンズであるからこそ成しえる技であることは言うまでもありません。
小さいとはいえ単焦点レンズであれば画角の自由度が低いですし、大きなズームレンズでは相当な筋力が必要になってしまうシチュエーションです。


いかがでしたでしょうか。
キットレンズでモノクロ撮影、カメラを始めたての自分が試行錯誤の末に編み出して今なおモノクロ専用で楽しむセットのご紹介でした。
予算的に比較的安価なレンズで済ませたい方ももちろんですが、これをみてむしろこのセットで欲しいと思っていただければ嬉しいです。

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さてここからはさらに裏技、エクストラステージです。
同じセットでISO感度をカメラができる限界まで上げてみましょう。
私はこの設定がとても気に入っています。

文字で説明するのは蛇足というもの、ですがあえて語るとすればこのノイズ感と絵画のような雰囲気が魅力。
写真表現ってスッキリキレイだけが正解ではないと考えます。
自由な発想で、あなたにとってのいい写り、をぜひ見つけてみてください。



