
古いものではもう100年近く前、それこそ“戦前の”という枕詞が付くことも少なくはないオールドレンズの数々。その中でも特に味わいが強く「クセ玉」と称されるレンズがいくつか存在します。中でも有名、かつソフトな描写が魅力的な【Leica Summar(ズマール)L50mm F2】というレンズを今回はSONYの最新機種【SONY α7V】に装着して撮影を行いました。本レンズの存在や描写を知っている人も知らない人も一見の価値あり。日ごろ多くのオールドレンズを使用する私にとっても予想以上の成果が上がってくるくらいなのできっとみなさまの心を動かすこと間違いなし。
タイトルにもある通りオールドレンズの“いいところ”だけを完全に引き出すカメラの力、そしてそれだけいい画を出せるレンズのポテンシャルに驚きました。
ぜひご覧ください。

まずはズマール、このレンズの描写をイメージするうえで代表的とも言える効果がわかる写真をご紹介。
柔らかな描写、逆光耐性はほとんど無いに等しく、当時のノンコートレンズあるいはシングルコートの特徴が良くも悪くも出ています。
特に太陽を画角に収めるような逆光のシチュエーションでは光源を中心とした広い部分が白トビの状態となり、これはこれで表現手法として魅力ではあるものの残せる情報はできるだけ残したいのも事実。古いレンズがゆえに光をレンズ内で強く拡散し、結果的にこのような影響が出てしまっています。
こういった描写の癖を知っているからこそ、α7Vが誇る広いダイナミックレンジやホワイトバランスの調整が向上したことなどには母艦機として期待していました。
また最近のSONY機にはクリエイティブルックという強い味方もついていますからその期待は膨れるばかり。
今回は「FL」を使用して撮影しています。


まず語るべくはやはりダイナミックレンジ。センサーが許容する暗部と明部がこれ見よがしに広く感じました。西日の真逆光でも太陽の周囲少ししか潰れていません。
上述したように光を強く拡散するオールドレンズの代表格ズマール。このレンズで精いっぱい(無理な光を入れながら)ダイナミックレンジを評価してやろうと望んだ撮影でしたが、どこまでいってもこのレンズで撮影した体験とは思えないほどの情報量が残る残る…この時点でいい意味で苦笑い。ズマールってこんなに使いやすいレンズだったっけ、と。
もちろん経年劣化の程度にもよりますが私が持っている今回使用したズマールはクモりもキズも多く、お世辞にも抜けのいいエレメントではありません。それはいつも使っていて理解しているところ。そんな慣れ親しんだ相棒クセ玉がこんなにも素直に、というかそつなくこなすのを見てオールドレンズ撮影においてセンサーの選び方を改めるきっかけにすらなりました。
オールドレンズはセンサーで化ける。

空のグラデーションでも分かりやすい評価ができます。
どこまでいっても滑らかな諧調で描かれる青空。


これぞクセ玉と言えるような特徴的なボケ味ももちろん丁寧に表現できるカメラです。白潰れ黒潰れを気にせずに撮影ができるのでその分構図やボケ感にこだわって撮影に集中できるもは勿論のこと、オーバーになりすぎてしまう事を危惧して絞りを少し狭くしておかなくては、と危惧する事も全くありませんでした。寛容なセンサー、そして電子シャッターであれば最速1/16,000秒できることができる能力に存分に助けられました。

難しいシチュエーションでもホワイトバランスが崩れないのもこのカメラのすごいところ。
AIディープラーニング技術を応用した光源推定による効果ですが、これは使ってみてはっきり分かる“違和感の少なさ”から感じ取ることができました。
撮影していてAWBが追い付かないがために色が思っていたものとズレてしまい、写真を見てからもう一度同じ写真を吟味する。そんな時間はこの撮影で一度もありません。



頭の中で情報を整理して噛み砕くことで「たしかにズマールで撮っている」とようやく理解できるのですが、ぱっと見た時の印象はもはや知らないレンズ。
画がキレイ、色も整っている、フレアやゴースト、コントラストの低下といったオールド感は少ない、なのに滲みや特徴的なボケは健在…
好みと場合によっては敬遠されがちなオールドレンズの個性をうまく包み込み、それを無くさないまでも滑らかな表現として昇華することができるためこのような評価になるのだと考えます。

ネイティブであれば最短焦点距離1mという遠さが少々ネックでもあるズマール。
アダプターのおかげでおよそ半分くらいまで近寄ることができました。

描写、色、近接撮影…この3拍子でオールドレンズに対する認識の常識を崩されたかのように感じます。もちろんこれはいい意味で。
例えばカラーネガフィルムのダイナミックレンジ、またはラチチュードは大変広く、現像の力を借りれば並みのセンサー以上の情報量が残ることもしばしば。そんなフィルム体験にも近いような安心感、そしてフィルムでは成しえないデジタルならではのレスポンス、同居するのはおそらくまだこのカメラだけです。
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いかがでしたでしょうか。
【SONY α7V × Leica Summar L50mm F2】この組み合わせの凄さ、異常さ、魅力の端を少しでもお伝えできていれば幸いです。
ミスショットというミスショットがほとんど生まれず、どんなシャッターも意図を感じるような1枚に仕上げてくれる嘘みたいな組み合わせでした。
語りたい描写は尽きませんがなにしろ発売間もないカメラ。いろいろなオールドレンズでこのカメラの本機をこれからも追ってみようと思います。

普段はデジタルライカをメインとする私ですがこれには心揺らぎまくり。「α7Vのセンサー」が魅力であることは言うまでもありませんが、そもそもミラーレスカメラにだけ許されたアダプターによる近接撮影や、最近になってようやく「Leica M EV1」によって覆されたEVFでの快適なフレーミングという専売特許もその魅力の端々を担ってくれています。
ミラーレスの最先端、否、カメラの最先端を往くSONY αシリーズは齢100年が目前に迫ったオールドレンズにとっても最高の母艦機として認められる存在です。
ライカユーザー、SONYユーザー、そしてオールドレンズを使っている方もそうでない方も、言ってしまえばあらゆるカメラ好きに向けて手放しでおススメの1台を、ぜひ発売間もないこの機会に。
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