
マップカメラは日頃より多くのお客様にご愛顧いただき、今年で32周年を迎えることができました。創業祭にあわせて毎年お届けしている、マップカメラスタッフによる特別企画。2026年のテーマは「夏旅」です。
旅に出るなら、どんな機材を持って、どこへ行きたいだろう。 いつか使ってみたかったカメラやレンズを手に、スタッフそれぞれが思い描く場所へ向かい、夏ならではの景色や出会いを撮影します。憧れの機材を実際に使って感じた魅力や、旅先で気づいた新たな一面。写真とともに、撮影の楽しさを余すことなくお届けします。
この夏、皆さまもお気に入りの機材を持って旅に出たくなる。 そんなきっかけとなるシリーズを、どうぞお楽しみください。
■ひまわり

夏になると、無性に見たくなるものがあります。向日葵、入道雲、海、お祭り、花火。なかでも向日葵だけは、毎年欠かさず会いに行くことにしています。一面を染め上げるあの黄色を見ていると、夏がどれだけ暑くても、そしていつか終わりを迎える季節なのだとしても、不思議と寂しさが薄れていきます。「ビタミンカラー」とはよく言ったもので、あの色にはきっと、理屈を超えて人を元気にしてくれる力があるのだと思います。


向日葵「日回り(太陽を追って回る)」という名前は、太陽の動きを追うように花の向きを変える性質に由来するといわれています。実際に太陽を追って向きを変えるのは、茎が成長している若い蕾(つぼみ)の時期。花が十分に開く頃には、成長が落ち着き、向きもほぼ定まっていくそうです。それを知ってから向日葵畑を見渡してみると、頭を垂れた向日葵たちも、ひと夏を懸命に生きた花に見えてきて、これまでとは少し違った見方ができるようになった気がします。
百万の灯り

祭(まつり)。
最近では各地で催されるお祭りの情報をSNSで簡単に見つけられるようになり、「こんなお祭りがあったのか」と、次々に情報を集めてしまいます。もちろん、すべてに足を運べるわけではありませんが、お祭りの雰囲気がとても好きなので行きたくなります。日が暮れ始めると、提灯に一つ、また一つと灯りがともり、山車も夜の街を練り歩きます。少し歩くと大通りでは音楽とダンスで賑わっていました。見慣れた街並みでさえ、お祭りのときは信じられないくらいエネルギーに溢れた町に。そのギャップがとても楽しいです。

今回の写真は全て「SONY α7V」と「SIGMA Art 35mm F1.4 DG II」で撮影しました。当初はSIGMAのさまざまなレンズを持ち出して撮影するつもりでした。しかし撮り始めてみると、この「35mm」という画角だけで最後まで撮りきってみたくなりました。35mmは、広く写せるのに広すぎず、被写体に近づけるのに近すぎない。お祭りの当事者として飛び込むというよりも、観客として、その他大勢の一人として、その場を眺めているような緩やかな距離感があります。少しの余白を残したまま、「誰かを見る」のではなく「その場の空気を見る」ような画角。物語の一篇を切り取る望遠も、その場全体を包み込む広角も、自分の視線に近い感覚で写せる標準も、それぞれに良さがあります。それでも今回の夏旅には、35mmが不思議なくらいフィットしました。

ブラックミスト・ナイト

この日は「Kenko (ケンコー) ブラックミスト No.05 N」を装着して撮影しました。提灯の光がふわりと滲み、夜の空気に独特の余韻が生まれます。高い解像感を持つ「SIGMA Art 35mm F1.4 DG II」に、あえてソフトフィルターを重ねる。ある意味贅沢な使い方です。実際に撮ってみると、レンズ本来のクリアさを残しながら、ハイライトだけが柔らかくほどけていきました。そのバランスがとても好ましく感じられて、自分のなかにある「夏の夜祭」のイメージを写すことが出来ました。

提灯の紅色が滲んで、空の色までもがその赤に呑まれたように見えました。レタッチでも似た表現をつくることはできるかもしれませんが、目の前にある光をその場で受け止めるフィルターだからこそ生まれる効果というものが、確かにあるのだと思います。
七夕、夕立、阿波踊り

別の日、また違うお祭りに足を運びました。市内を広く使うほどの大きな祭りで、無数の七夕飾りが空を彩っています。訪れるのは今回が初めて。歩いているとお化け屋敷まで現れ、「こんなに大きなお祭りだったのか」と驚かされました。

催しの一つに、阿波踊りがありました。始まったと思った矢先、突然の夕立。大粒の雨が降るなかでも、声を張り上げ、笑顔で踊り続けるその姿に、こちらまで元気を分けてもらえた気がしました。そしてこんなに近くで阿波踊りを見るのも初めて。このあとに続く力強く叩く太鼓の音にはテンションが上がりました。

35mmなら踊り手一人だけを切り取るのではなく、その向こうに続く隊列や、濡れた路面、降り続く雨まで一緒に残すことができます。その人だけではなく、その瞬間が起きていた場所まで写真に残る。35mmの良いところというのはこの情報量なのかもしれません。
【撮影後にはカメラ・レンズのケアを】
- ・撮影後はすぐさまタオルを買いにお店に。応急処置としてレンズに付いた水滴などはトントンとタオルを当てたりもしますが、仕上げはクリーナーで掃除するのがオススメです。
- ・水質日本一に何度も輝いた仁淀川のきれいな水を使ったワイパーというのも個人的にオススメのポイント。光学レンズ・フィルター専用に開発されたクリーナーで、メガネ拭き用としても◎。


向日葵、ふたたび

先日の向日葵だけでは、ちょっと物足りなさが残っていたので、別の場所の向日葵にも会いに行くことにしました。無数に咲く花のなかで、ふとした瞬間、こちらと目が合ったように感じる一輪に出くわすことがあります。そういう特別な一輪に出会えるということ。こうして書きながら気づいたのですが、私が向日葵を好きな理由のひとつは、ここにあるのかもしれません。


ひとまず今年分の向日葵は十分に“摂取”できたので、一安心しています。これからまだ咲く向日葵があると思いますので、皆さんもぜひ見に行ってみてください。満足こそしましたが私も機会があれば、また会いに行くつもりでいます。
小江戸の風に鈴が鳴る

約1,500個の江戸風鈴で彩られる神社。桜が咲き誇る時期もいいですが、夏の間のこの時期もまた見頃です。風に揺られ、光に透けながらキラキラと輝く風鈴はとても綺麗で、何度も足を運んでいる場所でも、訪れるたびに「来てよかった」と思わせてくれます。


境内では、出雲にちなんだ「雲」を霧で表現した演出も行われています。夜の風鈴回廊や光の演出など、日が暮れてからもさまざまな表情を見せてくれる場所です。今回のテーマは「旅」。遠い見知らぬ街に旅するのはワクワクするし楽しいのは間違いありません。でも見慣れた街の解像度を上げるのもまた楽しい「旅」の一つだと思うのです。そんなつもりで「ちょっと遠出」の旅をしてみたら、向日葵と夏祭りを経て、その街の魅力に触れることが出来ました。今回は35mm一本のレンズだけでしたが、街のさまざまな表情に出会えた気がします。来年の夏は、どんな景色を撮っているでしょうか。今から少し楽しみです。
往く夏 あとがき
実は今年の夏の大イベントは大阪でした。日程の9割が「ノーリミットな体験」だったので、ここでお見せできる写真はないのですが、とても楽しい夏休みとなりました。
今回使用した機材「SONY α7V」と「SIGMA Art 35mm F1.4 DG II」は本当に使いやすくて、記録にも記憶にも残る写真を撮ることが出来ました。なぜ純正レンズではなくシグマなのか、という理由は私が「SIGMA DP Merrill」シリーズから写真にどっぷりとハマったからというのが理由です。あれ以来、シグマへの信頼が揺るぎないものに変わり、それからずっとカメラなりレンズなりを使い続けています。もちろん純正レンズ、他メーカーのレンズも良いものは沢山あって、使うこともありますが、やはり愛着が湧いているもので撮るのが楽しいです。「SIGMA Art 35mm F1.4 DG II」は準広角の画角ながら被写体の立体感が素晴らしく、月並みな言い方ですが自分の腕が上がったと勘違いできてしまうレンズでした。サイズ感も素晴らしく人混みのなかでもそこまで気をつかわずに携帯できたのも推せるポイントです。次に手に入れたいレンズの最有力候補になっています。
「SONY α7V」もベストバイカメラで間違いありません。今回掲載した写真の多くはRAWから現像しています。明暗差の大きい夏の昼間から、提灯の光が点在する夜祭まで、さまざまなシーンで撮影しましたが、RAWデータには画作りを追い込める余裕がとてもありました。たとえばプリセットをレイヤーで2枚重ねるといった負荷の高い現像にも対応してくれました。旅先で沢山枚数を撮りたいというときにも高画素機と比較して軽めのデータ量というのも推しポイントの一つ。ハイスペックだけを求めるのではなく、「持ち出して、たくさん撮る」ということを大切にしたい方にもα7無印シリーズは扱いやすくオススメです。
今年の夏は、いろいろなお祭りへ足を運ぶことができました。もちろん各地で催されているお祭りはまだまだまだ沢山あります。また同じ祭りを撮りに行きたいし、まだ知らない祭りにも出会ってみたい。楽しいことばかりというわけではありませんが、こういうお祭りが日々の活力になってくれると信じて。ぜひお気に入りのカメラを持って、たくさんの思い出を写真に残してください。それでは「35mmの単焦点で撮る、向日葵と夏祭り」もこれにて。次また、いずれ書くことができるのを楽しみにしてます。
また「旅」をテーマにした創業祭記念ブログは今後も公開予定です。ぜひご覧ください。



