
【Leica】フィールドに出てこそライカの真価。M型と3本のレンズで巡る会津旅
32nd annivaersary trip32nd AnniversaryLeicaM11 / M11-P / M11-Dカメラと共にスタッフおすすめ機材単焦点を楽しむ夏夏旅
マップカメラは日頃より多くのお客様にご愛顧いただき、今年で32周年を迎えることができました。
創業祭にあわせて毎年お届けしている、マップカメラスタッフによる特別企画。2026年のテーマは「夏旅」です。
旅に出るなら、どんな機材を持って、どこへ行きたいだろう。
いつか使ってみたかったカメラやレンズを手に、スタッフそれぞれが思い描く場所へ向かい、夏ならではの景色や出会いを撮影します。
憧れの機材を実際に使って感じた魅力や、旅先で気づいた新たな一面。写真とともに、撮影の楽しさを余すことなくお届けします。
この夏、皆さまもお気に入りの機材を持って旅に出たくなる。
そんなきっかけとなるシリーズを、どうぞお楽しみください。
近年、ライカMシステムは「高級な嗜好品」や「洗練されたファッションアイテム」といった言葉で語られる機会が増えました。しかし、ライカが歩んできた歴史を紐解けば、かつての写真家や冒険家たちがどんな過酷な環境にも信頼を寄せて持ち出した「堅牢で質実剛健な撮影道具」としての本質が存在することに気づかされます。
創業祭を迎えるにあたり、私はその原点に立ち返りたいと考えました。ガラスケースの中に飾っておくのではなく、実戦のフィールドへ連れ出す。今回はライカMシステムを使用し、浅草から特急リバティ会津に乗り込み、豊かな自然と歴史ある佇まいが残る「会津」を巡る1泊2日の旅に出かけました。
INDEX
道具としてのライカと向き合う旅へ
早朝の浅草駅。清々しい朝の空気の中、始発の特急リバティ会津へと乗り込みます。私自身、特急列車を利用するのは久しぶりのこと。
また、今回は人生で初めて訪れる東北・会津への旅。ホームに足を踏み入れた瞬間から、胸の中で静かに高揚感が込み上げてくるのを感じていました。
今回、『Leica M11-P』には、ライカ純正のハンドグリップとサムレストを装着して持ち出しました。手に取った瞬間に指先へ吸い付くような抜群のホールド感が生まれ、長時間の持ち歩きでも苦になりません。
そして何より、精悍なブラックボディに金属パーツが組み合わさるメカニカルな「カスタム感」が男心をくすぐり、「このカメラと一緒に旅に出かけるぞ」という気持ちを何倍にも引き上げてくれました。
列車が静かに走り出すと、車窓には見慣れた街並みが広がり、ほどなくして大きなスカイツリーが見えてきました。

『エルマリート M28mm F2.8 ASPH.』へとレンズを付け替え、車窓越しにカメラを構えます。
コンパクトな単焦点レンズだからこそ、狭い車内でも周囲に圧迫感を与えることなく、日常から非日常へと切り替わっていく一瞬を軽快にスナップすることができます。

列車が東北地方へと足を踏み入れ山間部へ差し掛かると、トンネルを抜けるたびに車窓の色彩は豊かな深い緑へと変わっていきます。
こうした雄大な自然風景を目にすると、身体の奥からほっと心がほぐれていくのを感じます。

特急リバティから会津鉄道のローカル線へと乗り継ぎ、目的地である「会津若松駅」へと到着。
ディーゼルエンジンの心地よい振動、からっとした夏の日差し、そして駅舎を抜けた瞬間に広がる青空。初めて訪れる土地のはずなのですが、どこか懐かしい故郷へ帰ってきたかのような温かみを感じます。
肩の力を抜き、歴史の息づく城下町へ歩みを進めます。
城下町の気品と歴史を辿る|飯盛山・さざえ堂・武家屋敷・鶴ヶ城
会津若松駅からは、レトロな城下町周遊バスに乗り込み、まずは白虎隊ゆかりの地である「飯盛山(いいもりやま)」へ。
昭和の面影を残すお土産屋さんが並ぶ参道を抜け、鮮やかな紫陽花が咲く石段を上っていきます。


山頂で遠く市街地を見つめる白虎隊士の像を『ズミクロン M50mm F2.0』で静かに写し止めたあと、休憩所で少し汗をぬぐいます。

今回、交換レンズや機材の保護には『M.I.star ラウンドステアレザーポーチ』と『MAPCAMERA ゴートレザーポーチ』を使用しました。
上質な革の手触りとLeicaのレンズに丁度良いサイズのポーチは、移動の多い旅先で大切なレンズを安心して守ってくれます。
一息ついたのち、中腹に佇む奇構の木造建築「さざえ堂(円通三匝堂)」へと足を踏み入れました。


さざえ堂の内部は、びっしりと貼り巡らされた無数の千社札や、時を重ねた複雑な木組みで溢れています。
これをカラーでそのまま撮影してしまうと、色の情報が多くなりすぎて少し「うるさい」印象になってしまうと感じ、モノクロに設定。
余計な色彩を削ぎ落とし、木肌のゴツゴツとした質感と静謐な空気感そのものを鮮明に残すことができました。
ギシギシと音を立てる二重螺旋のスロープを歩きながらファインダーを覗き込み、二重像を重ね合わせる。
オートフォーカスで瞬時に合わせる現代のカメラとは異なり、自分の手でピントの山を探り、意図した場所に光を定着させていく感覚。レンジファインダーならではのこのマニュアル操作こそが、単に景色を記録するだけではなく、「その場の情景や思い出を自分の手で丁寧に切り取っている」という深い没入感を与えてくれます。
続いて訪れた「会津武家屋敷」でも、その研ぎ澄まされた表現は続きます。




道中で出逢った猫を『アポズミクロン M75mm F2.0』で優しく引き寄せ、武家屋敷では室内展示の甲冑や、壁に落ちる幾何学的な影を捉えます。
高いダイナミックレンジを誇るM11-Pは、黒の中にあるわずかなグラデーションを破綻なく写し出し、武家文化の威厳と静寂を浮き彫りにしてくれました。
そして、1日目最後には「鶴ヶ城」を訪れました。



天守閣からのパノラマを存分に堪能した頃には、夏の強い日差しによって身体はすっかり火照っていました。
そこで、城内にある茶室「麟閣(りんかく)」へ立ち寄り、ひと休みすることに。


照りつける猛暑の中、日陰の茶室へ入ると、それまでの暑さが抑えられ、身体の底から落ち着いていくのを感じます。
鮮やかな赤い毛氈の上に運ばれた氷の浮かぶ抹茶。和の空間の中で風鈴の音に耳を傾けながら涼をとる時間は、心休まる至福のひとときでした。
会津の雄大な自然と美食を愉しむ|三ノ倉高原、喜多方「朝ラー」、裏磐梯から猪苗代湖へ
一日の撮影を終えホテルへ戻った夜。旅の終わりまで気持ちよく撮影を続けるため、カメラ・レンズのメンテナンスを行います。

MapCameraオリジナルの『カメラクリーナーセット』を取り出し、ボディやレンズに付いた汗やホコリを優しく拭い去ります。
この丁寧なお手入れの時間こそが、道具への愛着をさらに深くしてくれます。
迎えた旅の2日目。
歴史情緒あふれる1日目から雰囲気から、2日目は会津が誇る豊かな大自然と食の魅力に触れる1日です。

朝一番に向かった「三ノ倉高原」。
あいにくヒマワリの時期には少し早かったのですが、眼下に広がる広大な会津盆地と爽やかな朝の風は、余りあるほどの解放感を与えてくれました。
高原で呼吸を整えたあとは、山を下りて喜多方市へ。
お目当てはこの地域ならではの文化である「朝ラーメン」です。

開店とほぼ同時の早朝に訪れたにもかかわらず、店内はすでに多くのお客様で活気にあふれていました。
運ばれてきたのは、黄金色に透き通る美しいスープの一杯。非常にあっさりとした上品な味わいで、朝の身体にも優しく馴染み、スープを飲む手が止まりません。
ここで改めて『ズミクロン M50mm F2.0』の懐の深さに感心させられます。
目の前にある温かい料理の質感までをも自然体に写し止める描写力。最もオーソドックスな標準レンズでありながら、「ライカをこれから始める人に最初の一本として強く薦めたい」と心から実感するレンズです。
腹ごしらえを終え、車を走らせて裏磐梯の「檜原湖」および「中瀬沼」周辺へ。


この地域は折しも熊の出没が多い時期でもあり、少しの緊張感を抱えながらバッグに熊鈴をしっかりと身につけて散策へ。
チリンチリンと音を響かせながら探勝路を進む中で、「様々な野生の生命が息づいている森のリアル」を身をもって体感します。
そして旅のハイライトである「五色沼湖沼群」へ。




木々の隙間を抜け、エメラルドグリーンに輝く水面を目の当たりにした瞬間、その圧倒的な美しさに息をのみました。
周りを包み込む深緑のグラデーションとのコントラストは、まるで別世界の未知の場所へ迷い込んでしまったかのような、不思議で神秘的な感動を与えてくれます。『アポズミクロン M75mm F2.0』は、自然が描くその色彩を余すことなく捉えてくれました。
旅の最後に、会津の雄大なシンボルである「猪苗代湖」を一望しようと全景の見える公園を目指しましたが、現地で「熊出没により臨時閉園」という案内に遭遇します。
こんなに近くまで熊が下りてきているという驚きと自然の厳しさを感じつつ、急遽ルートを変更して別の高台へ。

迂回した高台から見下ろすと、そこには広い田園風景と、想像を超えるスケール感で広がる猪苗代湖の姿がありました。
時間も迫っていたため遠目からの眺望となりましたが、「またもう少し気温が落ち着いた頃に、今度は湖畔のすぐそばまで行ってみたい」という新たな楽しみを残し、会津若松駅へと戻ります。

東京へと向かう上り列車の中、雲間から射し込む夕刻の西日。
シートのシルエット越しにその光を写し止め、旅が終わる切なさと、それ以上の満たされた満足感を静かに噛み締めました。
おわりに:飾らないライカの流儀
浅草からの特急列車に始まり、歴史情緒あふれる城下町、そして裏磐梯の雄大な大自然へと駆け抜けた1泊2日の旅。
振り返れば、本当に「あっという間」のひとときでした。
今回の旅では、予定通りにいかない小さなハプニングもありました。また、会津にはまだまだ巡りきれなかった魅力的なスポットがたくさん残っています。
しかし、「また必ずこの地を訪れよう」と思える余白があることこそ、旅の本当の醍醐味なのかもしれません。
そんな1泊2日の旅の記憶を、一瞬一瞬克明に記録してくれたのが、今回使用したカメラ・レンズでした。

シャッターを切るたびに手へ伝わる確かな手応えと、目の前の情景を鮮やかに昇華させてくれる描写力。
ライカMシステムは、単に景色を記録するにとどまらず、その場の空気感や旅先での高揚感までも丁寧に閉じ込め、「このカメラとともに、また次の旅の記録を残したい」と心から思わせてくれる最高のカメラです。
「飾り立てるためではなく、素晴らしい瞬間を捉えるために使う。」
それこそが、時代を超えて写真家たちに愛され続ける「飾らないライカの流儀」なのだと、深く実感する旅となりました。
マップカメラ32周年の特別企画「夏旅」。
皆さまもぜひ、信頼できるお気に入りの機材とともに、新しい景色と出会う旅へ飛び出してみてはいかがでしょうか。



