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【Voigtlander】中望遠は重いという常識を覆す。小さな最新アポクロマートが魅せる驚異の解像感

【Voigtlander】中望遠は重いという常識を覆す。小さな最新アポクロマートが魅せる驚異の解像感

本日発売となった「APO-SKOPAR 75mm F2.8 VM」。
こちらのレンズはフルサイズのイメージサークルをカバーする、マニュアルフォーカスの中望遠Mマウントレンズです。
その名に「APO」を冠している通りアポクロマート設計となっている本レンズは、極めてコンパクトながらも軸上色収差を限りなく抑え、高画質な描写を提供してくれます。
そんな「APO-SKOPAR 75mm F2.8 VM」を早速撮影で使ってまいりましたので、その外観や描写の特徴を写真と共にお楽しみください。
ボディはLeicaの「M EV1」をチョイスしました。中望遠レンズを扱うにはもってこいのボディかと思います。

本レンズの特徴の一つは、コンパクトネスを追求したサイズ感にあります。
フルサイズ用の中望遠レンズとは思えない小さな鏡筒は、マウント部からの全長がわずか44mm。また、重量は191gと驚くべき軽さを誇ります。フルサイズ用のレンズで例えるならば、Nikon Fマウントの代表的標準レンズの「AF-S NIKKOR 50mm F1.8G」が185gですので、ほぼ標準レンズ並みの軽さと言えるでしょう。
片やオートフォーカス搭載の一眼レフ用レンズ、片やマニュアルフォーカス専用のレンジファインダー用レンズという比較ではありますが、重さだけでなく体積についても大変コンパクトです。43mmというフィルター径の小ささがそれを物語っています。
また、専用レンズフードは厚さが約3mmと非常に薄く作られており、効率的な遮光を果たすと共に小型化に一役買っています。これまで中望遠域のレンズを使用する際に大きな障壁となっていた「重さ」や「大きさ」という弱点を、完全に克服したレンズといえます。
「Leica M EV1」との組み合わせによる総重量は675g。例えばひと世代前の「Leica M10」では重量がボディ単体で660gであることを考えると、レンズを含めてもボディ1台分とほぼ変わらない、いかに軽い組み合わせであるかがお分かりいただけるかと思います。

 

そのサイズ感をより明確にお伝えするために、他のMマウント用単焦点レンズと比較してみました。

まずは焦点距離が同じ「ULTRON 75mm F1.9 SC VM」との比較です。
「ULTRON 75mm F1.9 SC VM」の全長は54.1mmと、約10mmの差があり、一目でわかるサイズ感の違いがあります。重量に関しても290gと、本レンズと比べ約100gの差があります。スペック表上の数値でも明らかな違いですが、実際に手に持ってみると、この100gの差が想像以上に大きいことを実感しました。

 

レンズの明るさによる差が大きいため流石に比べるには無理があるかもしれませんが、参考までに同焦点距離の大口径レンズとも比較してみます。比較対象は「NOKTON 75mm F1.5 Vintage Line Aspherical VM」です。
こちらのレンズは全長63.3mmと、実に約20mmもの差があります。フィルター径に関しても58mmと15mmほど大きく、重量に至っては350gと約160gの差があります。160gというと一般的な文庫本一冊分に相当するそうです。文庫本とはいえ、機材において本一冊分の重さは、長時間の撮影で大きな差を生むでしょう。

 

焦点距離は異なりますが、同じ中望遠単焦点かつ開放絞り値がF2.8の「APO-SKOPAR 90mm F2.8 VM」とも比較しました。
こちらのレンズの全長は60mmと、16mmほど長くなります。重量に関しては250gと、今回比較した別レンズの中では最軽量であるものの、本レンズ(75mm)と比較すると約60g重たい結果となりました。

最後に、Leicaの同焦点距離の中望遠単焦点レンズ「ズマリット M75mm F2.4」とも比較しました。
こちらのレンズの全長は60.5mmと16.5mmほど長く、重量は325gと、本レンズより134g重い結果となりました。

 

ここからは、描写に関してクローズアップしていきます。
本レンズは「APO」の名を冠する通り、アポクロマート設計となっています。
レンズ構成は6群7枚で、光学系は新設計。このうち4枚のレンズにはアポクロマートに必要不可欠な「異常部分分散ガラス」を使用しており、絞り開放から周辺部に至るまで色滲みを抑えた、圧倒的な解像感を実現しています。

一枚目は、美しい青もみじを敢えて逆光で捉えた写真です。
通常であれば輪郭部にパープルフリンジが現れやすい厳しいカットですが、かなり綺麗に抑え込まれています。この描写には、流石はアポクロマート設計と驚かされました。

続いては、ガラスを通した光が室内に美しく差し込んでいる光景に惹かれ、ついシャッターを切った一枚です。
拡大してよく見てみると、窓枠の明暗差の激しい部分にパープルフリンジが出ています。アポクロマート仕様のレンズとはいえ、条件によってはパープルフリンジが発生してしまうようです。
ただ、この程度のフリンジであれば、RAW現像時の補正でも簡単に解消できる範囲かと思います。

 

次の2枚の写真は、最短撮影距離である0.7m付近で撮影しました。
一枚目の水の写真は、湧き出してくる水の表面にピントを合わせています。レンジファインダーでは撮影の難しい被写体ですが、「Leica M EV1」ならなんのその。
写真でありながら、実際に目の前で水が湧き出し、流れていく様子を錯覚するほどの描写力です。その場のしっとりとした空気感すらも捉えているように感じます。
二枚目は木の皮をクローズアップして撮影しました。木の表面の模様や質感を克明に描き出し、そこに生える苔も立体的に描写しています。被写体の力強さ、生命力を感じることができる写真に仕上がりました。

 

こちらの写真では、蜘蛛の巣にピントを合わせてみました。
写真でははっきりと蜘蛛の巣の糸が写っていますが、実際は肉眼でもよく見えないほど離れた場所にあったものです。どのくらいフリンジがでるかを確かめる意図で撮影しましたが、結果としてそれ以上に解像感の高さに驚かされました。
中心のピント面がシャープなのはもちろん、手前から背景にかけてのボケ味が非常に美しいグラデーションを描いています。フリンジも全く出ていません。

 

 

日中の写真はこれくらいにして、次は夜間に撮影した作例を見てみましょう。
一枚目の写真ショーケースの中に飾られた洋服を撮影してみました。
ピントが合っている部分は洋服の素材の質感をリアルに表現しており、実際に触れたわけではないのに、手にその感触が伝わってくるような感覚に陥ります。

二枚目のカットは敢えて明暗の差が大きく、フリンジが出やすいショーケースを選んで撮影しました。通常こういったシチュエーションでは、ハンガーやラック、照明などの輪郭部分にフリンジの原因となる軸上色収差が発生しやすいのですが、見事に抑え込んでくれています。流石に強いライトの輪郭部分には多少見られますが、これだけ意地悪な条件でここまでの描写を保てるのは、非常に優秀なレンズだと言えます。

実際に街へ持ち出してみて強く感じたのは、「中望遠を日常的に振り回せる楽しさ」でした。
わずか191gという軽さは、首から提げて一日中歩き回っても全く苦になりません。それでいて、開放から見せる立体感と色滲みのないクリアな描写は、見慣れた日常の景色をドラマチックに切り取ってくれます。
「今日は50mm一本で行こう」と思う日に、もう一本ポケットに忍ばせたくなる。そんな身近で頼れる中望遠レンズ「APO-SKOPAR 75mm F2.8 VM」。ぜひ一度、このフットワークの軽さを味わってみてはいかがでしょうか。

[ Category:Carl Zeiss & Voigtlander | 掲載日時:26年05月27日 12時00分 ]

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