
【Leica】A Piece of PREMIUM COLLECTION -Voigtlander (フォクトレンダー) Nokton 50mm F1.5 (ライカLマウント・オリジナル旧モデル)-
MapCameraで取り扱う中古品の中で、流通数や生産数が少ない希少品や限定モデルなどに与えられる名称、「PREMIUM COLLECTION」。
本シリーズでは、A Piece of PREMIUM COLLECTIONと称し、そんな製品たちを一つずつ紹介いたします。
第十一弾となる今回は、「Voigtlander Nokton 50mm F1.5 (ライカLマウント・オリジナル旧モデル)」をご紹介いたします。
根強い人気のあるレンズ。今回はそんな魅力の一端に迫ります。
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こちらのレンズを紹介する前にまずは、Voigtlander (フォクトレンダー)の歴史に触れていきたいと思います。

フォクトレンダーは、カメラ発明以前の1756年にオーストリアのウィーンで創業した、世界最古の光学機器メーカーの一つです。
初期にはコンパスや眼鏡などを製造し、特にオペラグラスはヨーロッパ全土で普及し、一時期は「フォクトレンダー」という名がオペラグラスの代名詞となるほど成功を収めました。
写真機の発明から間もない1841年、フォクトレンダーはカメラ第1号「肖像撮影用新ダゲレオタイプ装置」を発売し、カメラメーカーとしての歴史をスタートさせます。このカメラは、ウィーン大学のペッツバール教授が設計した、世界初の数学的計算に基づく明るいレンズ(ペッツバール型)を搭載し、当時の露光時間を大幅に短縮(約20分→約1分)。この独創的なレンズと、総金属製の「砲弾型カメラ」は、フォクトレンダーの技術力を象徴するものでした。

その後、本拠地をドイツのブラウンシュヴァイクに移転し、1893年に「コリネア」、1900年には高精度な「ヘリア」といった優れたアナスティグマート・レンズを開発。第一次世界大戦後のドイツの混乱期には、他社との合同ではなく、1925年に化学工業大手シェリングの傘下に入る道を選び、製品ラインアップをカメラと写真用レンズに集中することで経営基盤を強化し、総合カメラメーカーとしての黄金期を迎えます。
この黄金期に、1929年のベストセラーであるスプリングカメラ「ベッサ」や、高級機「プロミネント」「ヴィトー」といった名機を次々と発表し、その緻密なメカニズムと優秀なレンズで世界的に評価を確固たるものにしました。
第二次世界大戦後もフォクトレンダーはすぐに開発を再開し、1950年には「ヴィテッサ」「ベッサI/II」などの新世代カメラと、「ウルトロン」「ノクトン」などの高性能レンズ群を一挙に発表し、戦後の急成長を遂げます。「weil das objektiv so gut ist(なぜならレンズがとても良いから)」というキャッチフレーズのもと、一眼レフの「ベッサマティック」や連動露出計内蔵の「ヴィトマティック」など、革新的な製品を世に送り出していったのです。

光学の世界で重要な足跡を辿ってきたフォクトレンダーですが、今回焦点を当てるのは、1951年頃に旧西ドイツで誕生したNOKTON 50mm F1.5 L39(Lマウントレンズ)です。
このレンズの設計は、天才光学設計者A.W.トロニエ氏。
彼はシュナイダー社でXenonを開発した後、戦時下の混乱を経て1944年にフォクトレンダーへ移籍。
そこでColor-Scopar、Color-Heliar、Ultronといった数々の名レンズを設計しました。

トロニエがXenon f1.5で果たせなかった理想の大口径レンズとして設計したのが、ドイツ語で「夜」を意味する「ノクトン」です。
ノクトンの光学設計は当時の最先端を行くもので、設計技術の進歩とコーティングの進化を背景に、ダブルガウス型の第1群を貼り合わせ、さらに第2群を分離して空気レンズを効果的に活用しています。空気レンズの採用といえばライカのズミクロン50mmが有名ですが、ノクトンは1950年から出荷が開始されており、ズミクロンの1953年より歴史的に先行しています。
開発はほぼ同時期と考えられますが、市場投入はノクトンの方が早かったのです。
当時の要求に応える高い解像力を実現するため、収差補正はきつめに設定されており、描写は非常にしっかりとしたシャープさが特徴です。一方で、ボケは硬めの傾向が見られます。
しかし、この先駆的なレンズは、市場ではライバルに話題を独占されてしまいます。
ノクトンに最初に用意されたカメラボディ「プロミネント」は美しい機種でしたが、同時期に登場し大きな話題を呼んだライカ M3のファインダー性能や使い勝手には及ばなかったとされます。
結果として、M3とセットになったズミクロンが市場の注目を一身に集め、ノクトンはその偉大な功績にもかかわらず、陰に隠れてしまうこととなりました。
メインはプロミネント用だったにもかかわらずLマウント版が存在するのは、当時のレンジファインダー市場におけるライカの強大な影響力を物語っています。このLマウント版ノクトンは生産本数が少なく、その希少性から、今日でもオールドレンズファンの間で大切に語り継がれている名玉です。

いかがでしたでしょうか。
「Voigtlander Nokton 50mm F1.5 (ライカLマウント・オリジナル旧モデル)」を手にすること。
それは単に50mmの明るいレンズを1本手に入れたという事実にとどまらず、時代を超えて様々な人の手に渡って受け継がれてきたレンズの思い出を、今度はあなた自身が未来へと継承していけることへの喜びを手にしたとも言えるのではないでしょうか。
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