
【FUJIFILM】やっぱりファインダーが好き。スマホやコンデジとは違う、写真を撮る楽しさを味わえる10万円台のミラーレスカメラ。
「写真を撮る」という行為は今や当たり前に、誰しもが簡単に行うことが可能になりました。
古くはコンパクトカメラの普及、そしてデジタル化やスマートフォンの普及などに後押しされ、デバイスは色々あれど今や誰でも1つはカメラを持っていると言ってもいいくらいです。
ただ、「撮影自体を楽しむことができるカメラ」というと、筆者の頭の中に思い浮かぶのは一眼レフスタイルのカメラでしょうか。
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被写体に合わせてカメラを構え、ピントや構図、露出を決めてシャッターを切る。
この動作そのものが楽しくて、カメラを始めたての頃は撮らなくてもカメラを触っては構え、を繰り返していた気がします。
なによりファインダー越しに見る世界が、いつもと違う世界を見ているようで。
まるで万華鏡や望遠鏡を覗くように、新しいレンズを手に入れたら真っ先にファインダー越しの世界を覗いてみたくて、気分が高揚したのを覚えています。
ミラーレスカメラが普及し、背面液晶のみのボディなども増えてきた中で、あえてファインダーを覗いて撮影したい。
撮影自体に楽しみやワクワクを体験したい。もっともっと写真にのめり込みたい。
今回はそんな写真を楽しみたい方や、これから写真を本格的に始めたい方に向けて、FUJIFILMから発表された「X-T30 III」をご紹介いたします。

まずは外観から見ていきましょう。
FUJIFILMの得意とするレトロでクラシックなデザイン、そしてボディ上部には存在感を放つファインダーが搭載されています。
中央にファインダーが位置する、いわゆる「センターファインダー」スタイルの本機。
従来の一眼レフカメラに見られた機構を踏襲していますが、その実中身は小型の液晶が搭載された「EVF(電子ビューファインダー)」となっており、実際の光を反射させて覗く「OVF(光学ファインダー)」と違い、撮影時の露出や撮影イメージを直接確認して撮影できるメリットがあります。


ちなみにFUJIFILMからX-E5というモデルが発売されていますが、あちらはレンジファインダースタイルと言って、ボディの背面左上にEVFが搭載されています。
センターファインダースタイルは上の写真のようにレンズとファインダーの縦軸がずれないため、構えた際の自分の目とレンズの位置がズレずにイメージ通りのフレーミングができるというメリットも。

前作「X-T30 II」からの変更点として、X-T50やX-M5に搭載された「フィルムシミュレーションダイヤル」が本機にも搭載されました。
より直感的な操作が可能になったため、撮影に入る前段階からシャッタースピードや露出補正と共に、色味の部分に関しても画面いらずで操作が完結します。
また、フィルムシミュレーションに自身のアレンジを加えて保存可能な「FSレシピ」も搭載され、より完成度の高い機能へと昇華されました。

実はこの「X-T30 III」ですが、搭載されたセンサーや画像処理エンジンなど、基本的な部分は前述の「X-M5」と同等の性能となっています。つまり、撮れる写真は一緒ということです。
大きく違うのは、撮影スタイルの違いです。

「X-M5」にはバリアングルモニターと多岐にわたる動画撮影モードが備わっており、写真も動画も両方楽しみたいというニーズに応えたボディとなっています。

対して「X-T30 III」はファインダーや内臓フラッシュ、チルト液晶などより静止画撮影に特化したモデルになっており、冒頭でもお話しした「撮影自体を楽しむ」というニーズにアプローチされたボディであると言えるでしょう。
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また、価格の面でも比較されがちなこの2機種。
X-M5がシルバーボディのみで¥122,760(2025/11/22現在)に対して、X-T30 IIIはシルバーボディのみで¥137,610(2025/11/22現在)と、価格差は約15,000円程度と大きな開きはありません。
この価格差でファインダーが付くと考えると、筆者的にはかなりお得に感じてしまいます。
ちなみに上位機種であるX-T50との比較ですが、主に違うのはセンサーの画素数が4,020万画素である点と、ボディ内手ブレ補正が搭載されている点でしょうか。
高画素センサーの方が良い点も多々ありますが、X-T30 IIIに搭載されている2,610万画素のセンサーもスマートフォンやタブレットでの写真鑑賞には余裕で耐えうる解像度を持っているため、よほど大きくプリントしたり、写真のクロップ(拡大して切り出し)を多用しなければ必要十分な性能を持っていると言っていいでしょう。
手ブレ補正に関しても、レンズ内に手ブレ補正を搭載した物も多く、X-T30 IIIのキットレンズである「XC13-33mmF3.5-6.3 OIS」もその一つであるため、心配はいりません。
またデータサイズも画素数が低い方が容量が少なく済むため、例えば64GBのSDXCカードを使用した場合には、撮影可能枚数がX-T50よりもX-T30 IIIの方が多くなります。
ここまで性能の比較でしたが、価格も見ておきましょう。
X-T50のシルバーボディは¥212,220(2025/11/22現在)と、X-T30 IIIと比べて約70,000円の価格差。こちらは大きく価格差が開く結果になりました。
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以上の点から、X-T30 IIIは価格と性能のバランスが取れた、初心者にも自信を持ってお勧めできる機種であるというのが筆者の結論です。
FUJIFILMのカメラが前々から気になっていた方や、これからカメラを始めたい方にとって10万円台という価格は心強いのではないでしょうか。
ではここからは実際の作例をご紹介いたします。


秋空のある日。撮影のためによく訪れるスポットへ。
使用したレンズは「Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount」です。小型軽量ながら絞りの変化で描写が大きく変化する特徴のあるレンズで、筆者のお気に入りの一本です。
なぜ今回このレンズをX-T30 IIIに合わせたかというと、是非このレンズをファインダーを使って撮影したかったからです。
というのも、このレンズの絞り開放付近で出るフレアやゴースト、滲みといったオールドレンズチックな世界は、シチュエーションとしては逆光や半逆光で起こることが多く、背面液晶での撮影が難しいのです。

虹色のゴーストがしっかりと写っています。これも木漏れ日を利用して撮っていますが、陰になる木が無ければ逆光になってしまい背面液晶では画面が見えづらくなってしまったでしょう。


F1.2のような大口径レンズでは、ピント合わせに苦労することがあります。ピント面が薄く、せっかく合わせた後に設定を変えたくなって、また一からやり直すことも。
ファインダーで撮影するメリットの一つとして、カメラをしっかり固定することができるというものがあります。右手・左手、そして目の3点で固定してあげると、自分や被写体が動かない限りはそうそうピントを外すこともありません。
上の写真でも、薄いピントの山を持っていきたいところまで調節するのに一役買ってくれています。


こちらの2枚、上はうす暗い室内、下は日差しの強い中で室内に向けて撮影したものです。
どちらもシャドウが潰れてしまいそうなシチュエーションでしたが、ファインダーで正確な露出を測れたおかげで良い塩梅の写真になりました。



描写にも注目してみましょう。フィルムグレインを「弱・小」で設定し、鍋や小皿のツヤのある質感の中にフィルムっぽさを足してみました。被写体のレトロな雰囲気も相まって、まるでタイムスリップしたようです。


ひとつひとつの被写体に集中して、絞りやピントを合わせていく。集中して撮影に取り組むことができるのは、それだけ操作に違和感がないからであるとも言えます。
もともとクラシカルなデザインのボディであるため、Voigtlanderレンズのフルマニュアルな操作感との相性は良く、露出に関するすべてをダイヤル操作で済ませることで、ふいに訪れるシャッターチャンスを逃すこともありません。


その場の空気感に合わせてフィルムシミュレーションダイヤルから最適なものを選び、被写体の良さを引き出す。
写真を撮る楽しさを十二分に味わえるこのボディは、誰にでも寄り添ってくれるFUJIFILMのニュースタンダードと言えるでしょう。


モノクローム×滲みの描写も、窓から差す光の柔らかさを本物以上に引き出してくれています。
1日中このカメラを首から下げて撮影していましたが、378gの軽量ボディのおかげで疲れを全く感じませんでした。今回組み合わせたレンズも小型とはいえ196gの重量でしたが、総重量でも600gを下回ります。女性でも難なく持ち運ぶことが可能でしょう。

いかがでしたか。
少し長めの紹介となってしまいましたが、それほどこの「X-T30 III」は筆者にとって魅力的なカメラであったと思っていただければと思います。
最後にはなりますが、これほどカメラとしての基本性能が充実していながら、ここまでお買い求めやすい価格のカメラというのは最近ではなかなかお目にかかれなくなってきました。
これからカメラを始められる方にも、X-M5などの背面液晶のみのボディからステップアップされたい方も、ファインダーでの撮影を通じてもっともっと写真を撮る楽しさを体感していただければ幸いです。
▼X-T30 IIIの詳しい解説・作例はこちら▼



