皆さま、横に長い写真はお好きでしょうか。
本企画でご紹介する写真は4:3や3:2等の写真よりももっと横にながーい写真です。
映像を嗜んでいる方であれば、16:9や2.35:1のシネマスコープサイズ等、ご存知ある方が多いかもしれません。
今回のタイムズフェスでは筆者が横長アスペクト比に魅入られたきっかけや
現在使用しているSIGMA fpの横長アスペクト比21:9についてご紹介したいと思います。
「21:9(1:2.39)」ハリウッドなど映画でも使われるアスペクト比ということなのですが、
恥ずかしながらこういった比率があるということをこの「SIGMA fp」で知りました。
それ以来この画角で撮ることが楽しくなってきて、過去の写真にもこのアスペクト比を当ててみたりしています。
「あの日の映像と記憶」
映画を見ている方か、見ていない方かだと筆者は後者になると思います。
ただ上下が黒帯で締められた映像の記憶はとても強く残っています。
映画の世界は筆者にとっては「別の世界」のようなもので、
だからこそ、その世界を表現できるアスペクト比は一層特別なものに感じます。
きっと根底はまだ大人になる前、夜明け頃まで放送していた深夜の海外映画を観たときの高揚感です。
写真のアスペクト比を変える、という発想がなかった筆者が初めて16:9で撮った時の、「あ、これは」という感覚。
SIGMA fp の「21:9」で撮った時の「あ、これは」という感覚。
もしかしたら何かを記録したいと思った初めての気持ちすらその映画の世界がきっかけだったのかもしれません。
それにしても不思議なものです。
実際に横長になったわけでもないのに、私たちはこのアスペクト比の写真を見てとてつもない拡がりを感じるのですから。
情報というものは盛れば盛るほど良い、というわけでもないということが分かります。
世界は境界線を引いて、作り出されているものでもあるのです。
写真を撮っているときは、世界観に没頭するのが好きです。
そしてその世界に没頭するのに、よく音楽を聴いて撮影します。
映画でも印象的なシーンでは音楽が流れます、きっとあの時の感覚です。
楽しい気持ち、悲しい気持ち、複雑な気持ち。
快晴で明るい日でも音楽によっては感傷的な画作りになってしまったり。
気持ちと写真は繋がるものだなと改めて思います。
ススキを見るとなぜかこんな風に寄って撮りたくなります。
自分が初めて出会ったと思った景色は意外といつか見たことのある景色だったりします。
それはテレビだったり漫画だったり、小説だったり映画だったり、それこそ誰かが撮った写真だったり。
いろんなものが自分の中に入ってきて、そのうち自分の表現になったりしていくのではないかと思います。
「fpでシネマライクを楽しむ」
「SIGMA fp」 で「21:9」を楽しむようになった大きな理由の一つはやはり個性的なカラーモード。
もう改めてご説明する必要もないくらい知名度が上がりました「ティールアンドオレンジ」
jpeg撮って出しで写真を楽しんだのはいつぶりだったでしょうか。
もう一つ楽しみを覚えたのは、自分なりのカラーを探そうと思うようになったことです。
少し色褪せたり、燻んだり。粒状感が出ている方が好きになったり。
もともとは筆者もフィルムで写真を楽しんでいたため、肌に合うような感覚もありました。
綺麗なものだからといって綺麗に写す必要もないのです。
そもそも「綺麗」とはどんな状態なのでしょうか、なんて考えてしまったりもします。
ピンボケの飛行機。
ピントが合わないまま撮って現像までしていました。
よく理由はわかりませんがそんな写真、何枚かありませんか。
たまにはそんなユルさもいいかなと思っています。
この靴は一年ほど前買ったものなのですが、いまはもう歩きすぎてボロボロに。
こんな綺麗な時もあったんだ、としみじみしてしまいます。
写真って思い出すんです、くだらないことも大事なことも。
「今この瞬間をシネマライクに切り取る」
この道自体に思い出はそこまでありません。
でもこの写真を見返した時に思い出すものがあります。
それはこの写真を見返さないと思い出せなかったこと。
だから撮っておいてよかった一枚です。
いつか大きくなるもの。
撮っているうちはそんなこと気づかないんです。
あっという間に歩いて、走って、追いつけなくなる日もきっと。
筆者もいつまで記録し続けられるのかは分かりません。
ただおそらくシャッターを切れなくなるまではシャッターを切り続けると思います。
万が一飽きてしまうことがあればウクレレでも弾くことにしようかと思ってます。
というわけで筆者が横長写真を撮る理由はおそらく
物語性が合って、より自分の感情に合った写真が撮れるから、です。
横長写真、とてもいいものです。
お声をかけていただいた横長写真同好会。
もしまた機会があれば書かせていただきたいです。
いつもと違った横長写真、お楽しみ頂ければ幸いです。
横長写真よ栄光あれです。ありがとうございました。