
【Nikon】三溪園で感じた標準ズームの実力
カメラを持って出かける時は、事前にその場所をリサーチすることもあれば、そうでない時もあります。
寒くて朝、布団から出るのが辛い。それでもカメラを持ってどこかへ出かけたい。そんな冬の朝に選んだのが、日帰りで楽しめる横浜の三溪園でした。
持っていった機材は Nikon Z8 と NIKKOR Z 24-70mm F2.8 S II。特に下調べもせず向かった三溪園でしたが、結果的にこの組み合わせの実力を改めて実感する一日となりました。

バスを降りて三溪園の南門へ向かうと、目の前には大きな崖と池、そして奥に佇む朱色の東屋が織りなす壮大な風景が広がっていました。
園内へ続く橋の上からカメラを構えます。池に映り込む冬枯れの葦(あし)と、彩りを添える朱色の東屋。まさに三溪園を象徴するような、趣深い和の情景です。
この圧倒的な広がりを収めるため、24mmの広角を選択しました。冬の晴天にも恵まれ、設定はISO100、F9、SS1/200秒。Z8が誇る4571万画素センサーの解像力を、余すことなく引き出すことができました。
崖の荒々しい岩肌から枯れ草の一本一本、水面の細やかな反射に至るまで、驚くほど克明に描写されています。NIKKOR Z 24-70mm F2.8 S IIは、広角端でも周辺部まで歪みがなく極めてシャープ。風景撮影における圧倒的な信頼感を、改めて実感した一枚となりました。

橋から池を覗き込んでみると、数羽の鴨たちがのんびりと泳いでいました。ここでズームを70mmの望遠端まで伸ばします。24-70mmという焦点距離は、目の前の壮大な風景だけでなく、被写体との距離を「あと一歩」詰めたい瞬間にも本当に重宝します。
冬の晴天がもたらす澄んだ光は、Z8のポテンシャルを存分に引き出してくれます。その描写は、鴨の羽一枚一枚の質感から水底のディテールに至るまで、濁りなく克明に描き出してくれました。

園内に入るとすぐ、早くも咲き始めた梅の木に出会いました。澄み渡る青空をバックに、可憐な白い花が映える美しいシーンでしたが、実はこの時、私の意識は花以上に「梅の枝にとまった小鳥」に釘付けになっていました。
ここで活用したのが、Z8のDXフォーマット(クロップモード)です。 装着しているのは70mmまでのズームレンズですが、このモードを使えばフルサイズ換算で約105mm相当の画角が得られます。野鳥を相手にするには少し短いかなと思いつつも、クロップのおかげで、より小鳥の存在感を際立たせた構図を実現できました。望遠レンズを持ち合わせていない場面でも、瞬時に画角を稼げるこの機能は、撮影の選択肢を大きく広げてくれます。
驚くべきは、クロップしてもなお有効画素数が約1970万画素も残っていること。 設定はF8まで絞り込んで被写界深度を確保。元気に動き回る小鳥を追いながら、SS1/400秒でその一瞬を確実に仕留めることができました。
24-70mmという標準ズームでも、高画素機であるZ8のパワーとクロップモードを組み合わせれば、野鳥撮影のようなシーンにも柔軟に対応できる。そんな機材の秘めた可能性を再確認させてくれた一枚です。

小鳥を撮り終わって歩いて数分のところに、水仙が咲いていました。白と黄色の可憐な花が、早春の訪れを告げています。
ここでは絞り値を色々と変えながら撮影。ファインダーを覗きながらf値を回していき、一番ピンときたのがF6.3でした。手前の花にしっかりとピントを合わせつつ、背景は程よくボケて花が浮かび上がる。この絶妙なバランスが、撮りたいイメージとぴったり重なった瞬間です。
Z8のEVFは明るく見やすいため、絞りによる被写界深度の変化をリアルタイムで確認しながら撮影できます。数値だけでなく、感覚的に「これだ」と思える設定を見つけられるのは、ミラーレスカメラならではの撮影体験です。

園内を進むと、重要文化財の臨春閣が姿を現しました。江戸時代初期に建てられたこの建物と、それを取り囲む日本庭園の美しさに思わず足を止めます。
ここでも選んだのは焦点距離24mm。個人的にこの画角が好きで、建物と庭園、そして背景の緑まで、空間全体の広がりを一枚に収めることができます。F8まで絞り込むことで、手前の松から臨春閣の細部、奥の木々まで、シャープに描写されました。
24-70mmというズームレンズでありながら、広角端24mmの描写力は単焦点レンズに引けを取りません。三溪園のような歴史的な場所では、この画角一本で撮り続けたくなる魅力があります。

大池の正門付近に、古い舟が一艘浮かんでいました。その舟の上で、鴨が一羽休んでいます。少し距離があったため、ここでもDXフォーマット(クロップモード)を活用。
休んでいる鴨をしっかりと捉えるため、絞りは開放F2.8を選択。背景の冬木立は美しくボケて、主役の舟と鴨が浮かび上がります。静かな水面と枯れ木のシルエット、そこに佇む一羽の鴨。三溪園の静かな雰囲気が感じられる一枚です。
今回の三溪園での撮影を通じて、改めてNikon Z8とNikon Z 24-70mm F2.8 S II組み合わせの完成度の高さを実感しました。「これだけ持って出かければ大丈夫」という絶対的な信頼感。これこそが最高の機材の条件ではないでしょうか。
まず特筆すべきは、サイズバランスの良さです。この組み合わせは持ちやすく、長時間の散策でも動きやすい。重量バランスが良いため、構図を変えたり、被写体を追いかけたりする際もストレスがありません。
画質に関しては、もはや言うまでもないでしょう。4571万画素のZ8が捉えた一枚一枚は、細部まで克明で、レンズの描写力の高さを存分に引き出しています。開放F2.8から絞り込んだ時まで、どの設定でも安定した画質を提供してくれました。
そして何より、この焦点距離24-70mmの汎用性の高さ。今回撮影した広角での風景、望遠端での野鳥や鴨、中間域での花々や建築物。どんな被写体にも対応できる懐の深さがあります。DXクロップモードを活用すれば、さらに撮影の幅が広がります。
この機材は、いつでも持ち出したいと思わせてくれる相棒です。特別な撮影だけでなく、今回のような思い立っての散策でも、期待以上の写真を撮らせてくれます。
そして最後に、横浜という都市部にこれほど美しい三溪園のような散策に適した場所があることに驚きました。カメラを持って出かける場所は、意外と身近にあるものですね。



