
【Nikon】涼しい梅雨の晴れ間に、ノスタルジックな1台を携えて。
今年の梅雨は、よい梅雨です。
気候変動の影響か、ここ十年ほど涼しい梅雨というものがなく、日本固有の四季がことごとく猛暑で塗り潰されているように思えます。
しかし今年はどうでしょう。
適度に雨が降り、ずっと涼しい。
水温が上がりきらずプール授業が中止になったなんて話も何度か耳にしました。
懐かしいあの頃を思い出すようで思わず目が潤んでしまいます。
この時季に写真を撮りたいとなったとき、カメラは精密機器のため雨天との相性がイマイチです。
湿気・水濡れを避けたいのはもちろん、傘を差しながらの撮影は不安定になりがちです。
よって、どうしても撮影機会が減ってしまうこの時期ですが、先日どうにか晴れ間を見つけて外に繰り出すことができました。
今回用意したZfcは往年のフィルム機FM2をオマージュした古典的デザインの一台です。
本来キットレンズとしてNIKKOR Z DX 16-50mm F3.5-6.3 VR 標準ズームレンズが組み合わされますが、今回は天候の急変を警戒して、レンズ交換を要さず一本で完結する高倍率ズームレンズを使うことにしました。


天を突く爽やかな青竹。
見上げるだけの構図では変わり映えしないので、差しこむ陽光を印象づけるために絞り値F13で光芒を作りだします。

そして力強さを感じさせる根っこの部分。
歪みの出づらい望遠側を使って繊細な曲線を見たままに写しました。
鹿威し(ししおどし)や竹箒(たけぼうき)など、自然と「和」を連想して心安らぐのは筆者だけでしょうか。


六月といえば紫陽花。
赤・青・紫といった美しい色彩を、どんより曇り空がなおのこと際立たせています。
鮮やかな色合いが印象に残ったため、ピクチャーコントロールを「ビビッド」に設定してみました。
大手各社とも独自のプリセットが用意されていますが、Zfcにおいて基本となるピクチャーコントロールは8種類、加えて、より発展的なクリエイティブピクチャーコントロール20種類から選んで撮影することができます。
適用度合いを調整する「適用度」をはじめ各パラメーターを任意に調整できるなど、撮り手の心象を意のままに反映できるため、撮影欲も高まるというものです。


湿気で活気づいた苔類。美しい緑色が地面を覆い尽くしています。
その中にアクセントのように点在するのがシダやカタバミ、そしてキノコ類です。
高倍率ズームレンズにとって設計上ツラいであろう広角・接写の構図ですが、このように主題を際立たせたい場合には四隅の光量落ちや歪曲収差がむしろプラスに作用することもあるでしょう。


せわしなく動きまわる小さな昆虫たち。
しばらく息を潜めてやっとのことでショウジョウトンボとヤマトシジミを撮影できました。
このようなシチュエーションでは警戒心の強い昆虫から距離を置くことができる望遠端140mmが活躍します。
35mm判換算210mm相当のため手ブレが顕著になる望遠域ではありますが、Zfcにはボディ内手ぶれ補正がない分、5.0段のレンズ内手ぶれ補正(VR=Vibration Reduction)に助けられながら追尾することになります。
EVFを覗きながらカメラを上下左右に振ると強力に補正が効いている実感があり、写真の歩留まり向上に貢献していることがわかります。


被写体が減る日没後、通りがかりに無機質な建造物を写してみました。
急峻に立ち上がるスロープ。
規則的パターンの非常階段。
暗所ではノイズが目立たないように物理ダイヤルをこまめに操作してISO感度を調整しています。
1ノッチごとに小気味よいクリック感が伝わってくるので、慣れると手元を見ずにマニュアル操作できる愉しさがあります。
昔々フィルム全盛時代に活躍したベテランに一歩近づいた錯覚がして、Zfcならではの乙な体験でした。
思いつくがまま撮り終えて、満足感とともに帰路に就きます。
デジタル一眼レフ「Df」を皮切りに、ミラーレス一眼「Zfc」「Zf」とヘリテージデザインカメラを世に送り出したNikon。
これらのカメラは撮り手が自らのアイデンティティに立ち返るきっかけとして重要な立ち位置にあると再確認しました。
来年の梅雨もまた涼しくて、再びZfcで撮りに出かけられたらと心より思う次第です。
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