
バルナックボディのスクリューマウントから始まり、現代まで長い歴史を持つLeicaのレンズ達。
その中でも今回はずっと使ってみたいと思っていた銘玉「ズミクロン M35mm F2 (8枚玉)」を持って出かけました。

ライカといえばズミクロンやズミルックスの名前が有名です。
開放F2のレンズに付けられる「ズミクロン」は、35mmでも50mmでも現在に至るまで改良が重ねられていくつもの世代が生み出されてきましたが、今回使用した8枚玉と呼ばれるズミクロンは35mmでは初代のモデルです。
生産されていたのは1958年から1969年の間で、今から60年くらい前になります。
元々アンティークのものが好きだということもありますが、筆者の倍以上の年を重ねたレンズがここまで辿った過程に思いを馳せるとロマンが詰まっているように感じました。
オールドレンズは月日が経つごとに状態の良い物が減っていってしまうので、本当に一期一会だと思います。

使用したボディはシルバー鏡筒に合わせてM11のシルバーを選択しました。
M11の通常モデルはブラックとシルバーの二色展開になっています。トップカバーの材質の違いによりバッテリー込みでブラックが530gなのに対し、シルバーは640gと色によって重量が異なります。
シルバーの方が100g以上重たくはなりますが、真鍮の質感には代えがたいものがあります。
コンパクトなM型ボディでありながらもしっかりと機材の重みを手に感じますが、それは同時にその存在感を自覚させ所有欲を満たしてくれるものでもあります。

使う機材への期待感と久々のお出掛けによる高揚感も相まって、服装もお気に入りの組み合わせを着ていきます。
「BABYLONE」のたっぷりとオレンジの生地と使ったふわりと広がるチュニックに、「W closet」のデニムパンツを合わせました。トップスと同系色のサイドフリンジがポイントです。
カメラ、洋服と拘っていくともう一つ拘わりたくなるのがカメラストラップ。
今回使用したのは「ARTISAN&ARTIST 丸唐組シルクコードストラップ ACAM-301A SLV シルバー」。
夏だと首に当たる質感も気になるところですが、柔らかいシルクが使用されているので肌当たりも優しいです。
また、ストラップの色展開はダークカラーやブラウンカラーが多いですが、こちらは他ではあまりない生成色に寄った白色で、明るめの服装にも馴染みやすいのが嬉しいところです。


描写は固すぎず、柔らかすぎずの丁度良い塩梅です。
周辺減光をしっかりと感じるので自然と視線は中心部に誘導されます。
ヘレンキムゼー城のオートマタを撮影しました。
オートマタとは西洋版のからくり人形のようなもので、オルゴールの音色に合わせて中の人形が動くようになっています。
現代のレンズのような目を見張るような解像感はありませんが、細部の精巧な飾りをしっかりと捉えてくれました。

夏らしいヒマワリがたくさん咲いていました。あっという間に7月も後半に差し掛かっていることに気付かされます。
各地にあるひまわり畑も見頃を迎えているのでしょうか。
背景のボケ方にオールドレンズらしさを感じました。筆者は癖が強すぎる描写のレンズはあまり得意ではないのでこのくらいの方が好みです。
また、彩度はあまり高くなく落ち着いた発色をするので、出てくる写真は優しい印象になっています。


少し雰囲気を変えてモノクロで写真を撮影していきました。
カラーの写真の柔らかさとは一変し、ぐっと引き締まります。
M11はJPG設定で「モノクロ」と「モノクロHC」の2種類を選択できます。
「HC」はハイコントラストのことで明暗差をより強調させ、メリハリのついた写真になります。


このレンズが新品で売られていた頃はまだまだフィルムカメラの時代。
もうその頃にはカラーフィルムは開発され、既に使われるようになっていたようですが、まだモノクロフィルムもメインとして活躍していた頃であるため、8枚玉はモノクロ撮影とも相性が良いように思います。
階調はしっかりと表現されていて、それぞれ被写体の材質による質感の違いが出ていました。


最後は夜景を撮影。
もう少し滲みが出やすいレンズかと想像していましたが、実際に撮影してみるとそこまで大きく滲むことは無く、被写体をすっきりと見せるよく写るレンズだと実感しました。
カメラやレンズを選ぶ上で、やはり性能やスペックの高さは指標の1つとなります。
しかし、機材を持っていてデザインが好みかどうか、自分の心が躍るかどうかも大切なことです。
筆者にとって「ズミクロン M35mm F2 (8枚玉)」は心を満たしてくれるそんなレンズだと感じました。
種類が多い上に価格も高く、手に取りやすいとは言い難いライカレンズ達ですが、だからこそこれからも心から好きだと言えるレンズを探し続けたいと思います。



