【SIRUI】アナモルフィックレンズで気分は映画監督
今回ご紹介するレンズはSIRUIの「35mm F1.8 Anamorphic 1.33X」、アナモルフィックレンズと呼ばれる動画撮影用のレンズです。
“SIRUI”と聞くと、三脚をイメージされるかと思いますが、実はレンズも扱っているのです。
アナモルフィックレンズは主に映画撮影に使われており、映画用フォーマットであるシネマスコープ映像を撮影するために開発されました。
画面の横方向を1/2に圧縮して結像し、編集時にこれを2倍に戻すことで横長(2.39:1)のシネマスコープ映像を得るための特殊なレンズです。
さてまずは、そのレンズで撮影した動画をご覧いただきましょう。
(※安全を確認したうえで立ち入り可能なホームや歩道上から撮影をしております。)
動画で用いられる 16:9 と異なり、さらに横長になっているのが分かるかと思います。
そのため、パンした時などにより雰囲気が出やすくなっていたりと、いわゆるシネマらしさが演出できます。
このレンズの特徴に、独特のレンズフレアと楕円形のボケがあります。
中でも独特のレンズフレアは、よく目にする「光の玉が現れる」ようなものではなく、強い光源に対して水平方向に青白いラインが現れます。
こちらは動画から切り出した静止画ですが、動画で撮影すると以下のようになります。
横長の映像に水平の線が現れるので、構図の奥行き感や動きを表現しやすくなります。
今回は撮影機材にNikon Z6 II を使用していますが、元はマイクロフォーサーズマウントのレンズです。
別売りの専用マウントアダプターを装着することで、ソニーEマウント、キヤノンEOS Mマウント、ニコンZマウントに変更することができます。
レンズ後玉側、マウント部のネジを外します。
取り外したネジのネジ穴に合わせてマウントアダプターを重ねて、先程取り外したネジで固定します。
このようにすることで他マウントでも使用することができます。
レンズマウントはマイクロフォーサーズマウントですが、レンズ自体はAPS-Cフォーマットをカバーしているので、それらのフォーマットを使用することでケラレのない映像を撮影することが可能です。
またZ6IIはFXフォーマットでも2160 50p以上は自動でクロップ状態になるので設定はFXのままでお使いいただけます。
また、PanasonicのLUMIX DC-GH5S にはアナモルフィックレンズ用の設定があり、この設定をONにすることで
カメラのライブビュー画面で縦横比の補正された映像を見ながら撮影する事が可能です。
基本的には撮影後の編集の段階で縦横比の補正を行うので、そちらもご紹介いたします。
上記の記事で、Adobeの映像編集ソフトでの補正方法をご紹介しておりますが、
本記事ではBlackmagic Designが提供する「DaVinci Resolve 17」においての補正方法をご紹介します。
DaVinci Resolve 17で素材となるクリップを追加した後、
補正したいクリップを右クリック→「クリップ属性…」→「ピクセルアスペクト比」、「1.3× Anamorphic」を選択してください。
このようにすることで横方向に1.33倍圧縮して撮影された映像が、実際の同じ縦横比に戻ります。
写真用のレンズと異なり、シネマ用のレンズは業務用であったり専用設計であったりで、まだまだ一般的とは言い難い金額のレンズばかり。
そのなかでもSIRUIの提供する動画用の本レンズをはじめとするシリーズは、写真用のレンズに近い価格帯。
メインは写真だけど、ときどき動画を撮影する。
そのような方々に是非お勧めしたいレンズとなっております。
写真用レンズとは一味も二味も異なる雰囲気を表現できるレンズで、ぜひ本格的な動画を作ってみるのはいかがでしょうか。
撮影に使用したカメラはコチラ