最高峰レンズの良いとこ取り『FUJIFILM X-T5』で撮る『Leica アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.』
2023年01月08日
多彩なフィルムシミュレーションと写真撮影に特化した操作性で人気の『FUJIFILM X-T5』と標準レンズの最高峰との呼び声高い『Leica アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.』。そんな贅沢な組み合わせがマウントアダプターを使う事で可能になります。
APS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラで切り取る画像はレンズの中央部の最も歪みの無い部分。元々歪みなど微塵も感じさせない優れたレンズですが、その優れたレンズのより優れた部分だけを使うというなんとも贅沢な撮影に挑戦してみました。
35mm換算で75mm相当。中望遠域でも綺麗な直線が描ける場所を探し、たどり着いたのは東京湾にかかる大きな橋の麓でした。
画面を2分する綺麗な水平線。雲の隙間から差し込む光のスジなど線が綺麗な画が撮れました。釣り人の竿は撓って欲しかったのですが。
時刻は昼過ぎでしたが厚い雲の影響で夕暮れのような雰囲気に。その様子を少し強調すべく「クラシックネガ」を充ててみると、夕焼けのような空の赤みと橋と厚い雲の青味が増し落ち着いた発色になりました。
上昇中の飛行機からは大きなエンジン音が発せられていましたが、写真からはそんな様子を全く感じさせない静かな画になりました。
木材の貯蔵スペースが近くにあることから、木材に関連する建物がたくさんあります。
ビルの外壁にも木材が用いられているビルで木目がより見やすくなるように今度はモノクロ(ACROS)を使用してみました。
上層階を切り取ったカットでしたが、カメラの高精細機能とレンズの高い解像力が相まって細部までしっかり見てとれます。その実力は想像以上です。
冬の海風を浴びた後は暖かい場所を求め温室へ移動しました。
撮影した季節はクリスマス直前。ポインセチアが見頃を迎えていました。
赤く綺麗な葉をより強調すべく、ビビッド(Velvia)を充てたもののイメージよりかなり強く表現されたためスタンダード(PROVIA)で撮り直しをしました。
レンズの性能が良すぎてコントラストが高く出すぎたのかもしれません。
私がカメラを始めた時はまだフィルムカメラの全盛期。今ほどフィルムの価格は高価ではなかったもののリバーサルフィルムのVelviaは高嶺の花でした。
シミュレーションとは言え、Velviaで撮った画像にNGを出しPROVIAに変更するなど当時の私では想像もできなかったことでしょう。
温室の中央にある滝越しで捉えた大きな葉。水のカーテン越しでもその細部まで捉える高い解像力を確認することができました。
夜の丸の内はイルミネーションが彩りを添えていました。
LEDライトによるコントラストの強い光を少しでも柔らかくしようと思い、ソフト(ASTIA)を使用しました。
柔らかなオレンジの光が温かみのある雰囲気に仕上げてくれました。
背景にライトアップの点光源がくるようにカメラを構えると期待通りの綺麗な玉ボケを楽しむことができました。
近くの美術館脇では、ガス灯が灯されていました。
LEDライトとは違ったゆらぎのある明るさで、これを綺麗に捉えることができました。窓からの漏れる光で浮かびあがるレンガの建物の趣も上品に描いています。
キラキラしたLEDのイルミネーションも綺麗ですが、X-T5とライカレンズの組み合わせならこういう被写体の方が、よりイメージにマッチしやすい印象を受けました。
東京駅のライトアップは、細かなレンガの模様も捉えようと少し絞っての撮影です。
カメラの露出計が最初に示したシャッタースピードは1.2秒。いくら優秀な手ブレ補正があるとはいえ手持ち撮影では厳しい値です。1枚撮ってブレたらISO感度を上げていこうと思いながらシャッター切ったのですが、ISO125でこれだけブレを感じさせない写真が撮れました。
フィルムシミュレーションをビビット(Velvia)にしたのは、コントラストを上げることで微細なブレをカバー出来るかと予防線を張ったものでしたが、これは不要だったのかもしれません。結果、明るい部分が強調され、少し怪しい雰囲気の画になりました。
最新の『FUJIFILM X-T5』と憧れの『Leica アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.』という夢の組み合わせは、最初こそ戸惑いがありましたが、フィルム一眼レフを思い出させる独立したダイヤルオペレーションと見やすいファインダーに加え、相性抜群のマニュアル操作のライカレンズということもあり、直ぐに懐かしい感覚で操作することができました。
しかし、そこから書き出された画はこれまでの感覚とは全くの別物です。4020万画素の高精細とアポズミクロンの高い描写力の合わせは、まさに驚愕の一言。カメラの背面液晶からでも伝わる1段も2段も上の写りに気分は上がり、馴染みあるフィルム名の響きもあり普段はスタンダードで固定している色調コントロール機能も夢中で操作していました。まさに撮影欲を刺激する最強の組み合わせでした。