Panasonic LUMIX DC-S1 × Voigtlander ULTRON 35mm F1.7 Vintage Line Aspherical VM
2019年08月21日
絞り:F1.7 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:400
フォクトレンダーのラインアップの中でもクラシカルなデザインが魅力的な『Vintage Line』シリーズ。今回はその第二弾として登場した『Voigtlander ULTRON 35mm F1.7 Vintage Line Aspherical VM』を、フルサイズミラーレスに新規参入した『Panasonic LUMIX DC-S1』を使用して撮影を行いました。
小径を覆う植物と店の軒先が織りなすアーチ状の空間。その心地よい明るさを写したくて、周辺の光量落ちも狙って開放で撮影します。光の当たる道に自然と目が行き、無意識に見ているであろう空間にピンをもっていきます。見たまま、感じたままの世界を残します。35mmという焦点距離が写し出す写真は、目に焼き付くその世界を広すぎず誇張することなく自然に残してくれます。F1.7という開放値が無理なく柔らかくその世界を写していますが、柔らかくなりすぎずに描写できているのはこのレンズならではのことではないでしょうか。
絞り:F1.7 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:400
路傍の植え込み。こちらも開放で撮影していることもあって、まるで中央に淡くスポットライトを当てたような雰囲気ですがピンがきている葉っぱの解像感とみずみずしさには驚きます。ここまですべてLUMIX S1のフォトスタイルは「スタンダード」、そして編集なしのいわば「撮って出し」ですが味付けの必要がないほど鮮やかに活き活きとした絵をS1は写し出してくれます。 「スタンダード」で鮮やかに艶やかに表現される「生命力・生命美」。LUMIX Sシリーズの絵作り思想を垣間見ることができました。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1300秒 / ISO:400
ふと目に留まったものを撮るとき、街中だと他にも色々なものが写りこんでしまいがちで、何が撮りたかったのかわからなくなることがあります。
35mmで得られる画角は自然にその画の主体と風景をバランスよく切り取ることができます。色も画角も、見上げたときに意識した世界をそのままに切り取ってみました。
絞り:F2 / シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:400
鮮やかなイエローがまぶしいバイク、正面の奥行きが少しあるので絞りF2で撮影してみました。F2だとまだ周辺の光量落ちはみられますが、画作りは非常に引き締まりS1の色づくりと相まって非常にメリハリの利いた絵になります。モノクロにしても映えそうです。
絞り:F2 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:400
こちらにある程度気を許してくれたようで、カメラを向けて近づいてもお寛ぎの猫さん。 LUMIX S1の背面チルト液晶を使い、ローアングルを維持しながらじっくりと間合いを詰め、猫さんが許してくれるギリギリを探ります。
LUMIX S1も電子シャッターによる静音撮影が可能です。聞き耳こそたてられていますが、猫さんを驚かせることなく撮影できています。
絞り:F1.7 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:400
夕日が差し込む時間帯。入ってくる光をガラスのトンネルの奥で待ち構え、開放での周辺光量落ちを利用して撮影してみました。 この真逆光で発光する看板を白トビさせすぎないように露出を決めるのには集中力が必要ですが、S1の大きく見やすいファインダーがそれを助けてくれます。
別売の大型アイカップを使用しているので外界の光をほぼ完全に遮断してファインダーに集中でき、じっくりと自分が欲しい写真を撮ることができました。
絞り:F1.7 / シャッタースピード:1/100秒 / ISO:6400
日が暮れておしゃれなバーがにぎわい始める時間。目に入ったものを感覚的に切り取っていきます。 夜間なので開放撮影というのもありますが、影と周辺光量落ちとの調和が見たかったのもあります。街灯に照らされたところから徐々に影が濃くなっていくところと光量落ちがほどよく溶け合い、光に照らされたところを際立てます。
絞り:F1.7 / シャッタースピード:1/100秒 / ISO:6400
外観や周辺光量落ちなど懐古調なテイストが楽しめるレンズですが、現行レンズということもあり逆光耐性はしっかりしています。これは足元へ視線をずらしているとはいえ、夕焼け刻の太陽を真正面にしています。 フレアやゴーストはほとんど感じずコントラストが比較的はっきりしているレンズなので、影や人物のシルエットを強調しやすかったのですが、よく見てみると色や模様は完全には黒つぶれしていないのが分かります。レンズのおかげか、S1のおかげか、どちらも非常に優秀な機材です。
絞り:F1.7 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:6400
おしゃれな街ですが、あえて街並みではなく手前のベンチにピンを合わせてみました。そこに人が座っていることを想定するような構図を狙います。
とはいえ、F1.7ならばそこまで背景がボケ過ぎることもないので、街の景観も損ねることなく切り取ることができています。ぜひ誰かと来てポートレートにも挑戦したい街です。
『Voigtlander ULTRON 35mm F1.7 Vintage Line Aspherical VM』はクラシカルな見た目とは裏腹に、しっかりとした解像力とコントラストを併せ持つ魅力的なレンズでした。絞り開放時に現れる周辺の光量落ちとうっすらと流れる描写は非常に好印象で、写真をより魅力的に演出する味付けになっています。また、高精細なファインダーと抜群の画質を表現してくれるLUMIX Sシリーズはマウントアダプター使用時でも快適な撮影が楽しめました。各メーカーから様々なフルサイズミラーレス機が登場していますが、今回の撮影でLUMIX Sシリーズの懐の深さを感じた気がします。写真はレンズで変わる、そのことを改めて体感できた1本でした。
Photo by MAP CAMERA Staff
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