今や英語でもBokeh(ボケ)と呼ばれるようになったレンズのボケ味。見る人を魅了する美しいボケ味のレンズが数多く登場していますが、今回は独特の玉ボケと柔らかい描写が特徴の中望遠レンズ『銘匠光学 TTArtisan 100mm F2.8』をご紹介いたします。光の反射や点光源を、輪郭線のあるシャボン玉のように写し出し、にじみやフレアを活かした写真表現を楽しむことができる一本です。フィルムカメラでも使えるM42マウントを採用しており、一眼レフカメラ・ミラーレスカメラで幅広く使うことができます。今回は『SONY α7シリーズ』に装着して撮影を行いました。海外では「Soap Bubble Bokeh」と呼ばれているボケ味を手軽に楽しめる『銘匠光学 TTArtisan 100mm F2.8』。ぜひフォトプレビューをご覧ください。
室内の照明ももちろんバブルボケに。100mmと長めの焦点距離なのでどんな場所でもボケを狙うことができます。全体的にソフトでピント面はほんのりしっかり。解像感を求めるレンズというわけでもないので、必要にして十分な写りです。
このような画を特殊なフィルターを装着しなくても、意識的に作っていけるのが最大の魅力だと思います。幻想的な要素を取り入れてみたいという方にもおすすめです。
かと思えば葉脈がしっかりと分かるような解像感が出てくることもあり、まだこのレンズの理解が足りてないのかも…と思うこともあります。気づいたら絞りリングが勝手に動いていたこともあったので、開放絞りなど絞りを決めて撮りたい時は少し気にかけてあげるのがいいかもしれません。この写真のF値に自信がないという言い訳をしたいからではありません。ただF3.5くらいでも写りに顕著な違いがあらわれるのは確かです。
屋外で光が射す環境ではその影響が大きく出てくるのですが、室内など光がある程度整っていれば渋めなトーンで写すこともできます。周辺の減光も過剰すぎず自然です。
中望遠レンズとしては周辺がやや流れている印象がありますが、それも味。このレンズを使いたいと思った方ならむしろこの背景のバブルボケの出方が楽しくて仕方がないはず。中望遠の圧縮感を楽しむことも出来ますから。
ではF5.6まで絞るとどうなるのかを見てみたところ、木目の細かいところまできっちり解像していて驚きました。せっかく個性があるので最大限その個性を楽しみたいものですが、たまにはしっかり写したいときもある。そんなときにはぜひ絞って撮っていただきたいとおもいます。ギャップに弱い筆者はこの違いに心を奪われました。
バブルボケで点光源を見つけたら撮るのはマナーみたいなもの。「こんなシーンならボケを活かせそうだな」と普段とは違う視点で街を練り歩けるのもいい刺激になります。これからはイルミネーションが綺麗な時期なのでバブルボケレンズがさらに活躍しそうです。
夕暮れ時、バブルボケを最も楽しめる時間帯かもしれません。水面ギリギリの揺らぎにピントを合わせつつ背景に街の灯りを取り込みます。丸ボケも綺麗ですが、水面のなめらかな描写もとても素敵です。使いこめば使い込むほどその魅力に気付けるレンズだと思います。
Photo by MAP CAMERA Staff
バブルボケってどんな写りをするんだろう?という興味、関心を持っている方にもおススメなのはもちろん、中望遠レンズって面白いのかな?という方にもおススメです。絞って撮ればシャープな画になるのでボケを楽しむだけでは終わりません。普段なら見過ごしてしまうようなシーンもこう撮ったら面白い画になりそうだなと、新しい気付きや刺激を与えてくれるレンズです。ちょっと使ってみたい、からでも始められやすい手頃なプライスなのもまた魅力。写真を始めたての方にも、色んなレンズを使ってみた方どちらにもおススメの一本、ぜひ使ってみてください。