
カメラ好き、レンズ好きのある種の最終到達点とも言えるレンズ「Angenieux 50mm F1.5 Type S21」を精巧に再現、現代に復刻させたメーカーがあります。その名も「LIGHT LENS LAB」。数年前に「Leica ズミクロン M35mm F2 初代」通称8枚玉を復刻したことでも記憶に新しい中国のレンズメーカーです。
レンズ名は『 LIGHT LENS LAB M50mm F1.5 Z21 』、この「Z」は開発者である周(Zhōu)氏の名前からとったものであるとか。
発売から数か月、このレンズに関するこれまでの評価はかなり良くオリジナルの描写に上手に寄せています。アンジェニューといえば当時からシネマレンズを筆頭にいくつかのマウント用に供給された知る人ぞ知るフランスの宝。当然今なお現存する個体の価値は急騰しておりそう簡単に手に入るものではありません。そんな現代において復刻版、しかも比較的安価に描写を楽しめるとあれば飛びつくほかなし。
今回はその光を余すことなく受け止めるべく、あえてネイティブであるLeica MマウントではなくSONY α7IVに装着して撮影。
かつての風合いを今に再現したレンズと最新技術の塊であるミラーレスカメラの色合いは程よいマリアージュ。ぜひお楽しみください。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
メインで使用したのはクリエイティブルック「FL」です。フィルムライクなルックを手軽に表現できるSONYの中でも特に今人気がある色使い。
レンズの描写はいくら復刻レンズと言えど硝材は新品、かつ経年劣化も当然起きてない為色乗りは良好。オリジナルらしさを感じられるのはフレアの出方や周辺部、ボケ部に出てくる収差がメインです。同年代、同スペックのオールドレンズと比較しても少し珍しい表現を感じる描写にはこのレンズならではを感じます。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
レンズ構成は4群6枚と最小限の枚数のダブルガウスのレンズです。
開放で特に顕著なソフト描写はまさにアンジェニューらしさと言えるもので、寒空の街路樹もタイムスリップしたかのよう。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
収差ばかりかと思えばしっかりとピントが合った部分に関しては高いコントラストを伴ったすっきりとした描写も兼ね備えます。
端正な部分と荒れを伴う部分との差が大きい為、中心でピントの合った被写体は非常に際立った印象に。
オールドレンズやクセ玉レンズは味付けが濃い分飽きやすいというデメリットもありますが、本レンズは描き分けが上手であるため使いやすくその懸念もいくらか払拭されています。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
特徴的なボケと収差を残しながらもコントラストの高さが使いやすさにつながっている本レンズ。
ここに輪をかけて使い易さを生む用意がひとつ、併用しているマウントアダプターの存在です。
今回使用したマウントアダプターはライカMマウントとSONYマウントを繋ぐだけでなくヘリコイド付きで近接撮影が可能。
本来のレンズの最短焦点距離は「0.7m」と現代の一般的なミラーレス用レンズと比較するとやや遠いですが、ヘリコイド付きアダプターを使用することで約その半分まで縮めることができるので快適さは言うまでもありません。
さらに近接撮影であることで特徴的な風合いがより強調されるため、このレンズで撮影する魅力を底上げする事にもつながります。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
カップの淵にピントを合わせた一枚。
滑らかな質感なので一見ゆるい描写に見えますが、挽いたコーヒー豆のフレアが乗っていることがよく見ればわかるほど描写しています。
一方でその周囲、またピントを外れた部分の全域は一気にドリーミーな空間へ。この落差がたまりません。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
光源を正面に捉えた構図のゴーストは垂涎もの。
ここまで綺麗に色の乗ったゴースト、しかもほぼ真逆光で残してくれるレンズはそうありません。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
モノクロで撮影することによってよりこのレンズの特徴が如実に観測できます。
奥のビル壁面にピントを合わせた一枚ですが、手前の木々が滲みつつ収差に沈んでいく様はつい目を奪われてしまう名状しがたい表現に。
さらに周辺減光も相まって独特な、絵画的ともいえる雰囲気を醸し出します。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
少し絞り込むことでこれらの収差を改善することも可能です。
F5.6まで絞ることでわずかに周辺の減光と滲みを残すのみとなりました。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
いずれも開放で撮影した雨の東京の情景。
モノクロ撮影だとより一層当時の映画の中に吸い込まれたような錯覚を強く覚えます。

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21

使用機材:SONY α7IV + MAPCAMERA マウントアダプター ライカMレンズ/ソニーEボディ用 ヘリコイド付 LM-SE M MC オールブラック + Light lens lab M 50mm F1.5 Z21
ある生物個体の一生を超越した時間へ思いを馳せるとき、歴史資料や伝承、はたまた小説や映画といった物語を頼りにすることもあります。
しかしその頼りはあくまで残された情報の断片や創造の産物。一方で本レンズのような形を伴った物品が復刻して世に現れると、もう一段鮮明なリアリティを伴って手の中に収まります。
撮影の最中に歴史情報を読み解く必要は無く、その当時を思いながらまた未来へと繋がる創作を今この現代で素直に楽しむことができる喜びをひしと感じた時間でした。

レンズヘリコイドのローレットやキャップの意匠など、レンズ名以外にもオリジナルを意識した工夫が施された外観からは当時のアンジェニューレンズが時間を超えて本当に蘇ったかのような感動があります。一方で、このレンズで撮影した写真からは自らが当時の世界を覗き見ているような面白い感動が。
現代人のオールドレンズに対する熱い思いが生み出したタイムマシンのようなレンズです。
その実力をぜひあなたのカメラでも。




