銘匠光学からぐるぐるボケが特徴的な大口径単焦点レンズ『銘匠光学 TTArtisan 75mm F1.5 ぐるぐるボケレンズ』が登場しました。開放F値1.5の明るさと中望遠の焦点距離で、暗い場所でもブレやノイズを抑え、浅い被写界深度によって被写体を際立せます。レンズ構成は4群6枚に13枚の絞り羽根、レンズフードはなくフィルター径は58mm。フィルムカメラでも使えるM42マウントを採用し、変換アダプターを装着して様々な一眼レフカメラやミラーレスカメラで使用することが可能。鏡筒に耐久性の高い航空機用アルミ合金を使用し高級感のある造りになっています。開放絞りではオールドレンズのようなゴーストフレアを楽しみつつ、絞ると解像感が増す現代の光学技術も取り入れた『銘匠光学 TTArtisan 75mm F1.5 ぐるぐるボケレンズ』。今回はマウントアダプターを使用して「Nikon Z8」で撮影してきました。ぜひ写りをご覧ください。
撮影条件によって背景が回転しているかのような独特なボケが生まれる“ぐるぐるボケ”が特徴で、背景にボケになる対象が少ないような状況でも面白い表現が期待できます。
上を向いて撮らなくてもしっかり出てくる虹のゴースト。不思議なことにF1.8に絞るとほとんどの場合出なくなります。光線の状況によっては本当に「たまに」出てくるくらいなのに、逆に開放絞りだと高確率で出現します。個人的には開放絞りだけで使える魔法みたいなものという認識です。
F2に絞って撮影しました。開放絞りと比較すると一目で分かるほどピント面が引き締まりました。開放絞りでは周辺部の滲みがわかりやすいのですが、その滲みも抑えられるというメリットが大きいかもしれません。
F2.8に絞って撮影。石畳のゴツゴツした凹凸までしっかりと解像してくれています。フォーカスリングがじっくり回すタイプのレンズで、動体を撮るには不利なところがありますがそもそも動体を撮ろうとするなら他のレンズが選択肢に上がるはず。そのかわりに緻密なピント合わせが可能ですし、ポートレートやスナップなら問題ないと思います。
ふと水飛沫をどうやって表現するのかが気になったのでピント面は重視せずにボケが目立つ形で撮影してみました。周辺部のボケの形状がやはり面白いです。水飛沫、雨や雪を撮影しても面白いかもしれません。
屋根の上で羽を休めている鳩が止まっていたのでそのうちの一羽がビルとビルの間ちょうどの位置にいるように撮影しました。F8に絞ってみましたが解像力も高く、周辺部まで均一に光が行き届いてくれました。75mmは余分な情報を抜き取りやすい画角で、思わぬところでシャッターチャンスを狙えたりするのでスナップ用レンズとしてもおすすめです。ちなみにモノクロモード「ディープトーンモノクローム」で撮影しています。
開放絞りの柔らかさは夕暮れ時の逆光など明暗差が激しいシーンでも白飛び・黒潰れを起こさないのでポジティブな要素になります。立体感が素晴らしく、このレンズを使う上で一つの理想的な距離感なのかなと思いました。
イルミネーションタワーを撮影してみましたが、まさにぐるぐるレンズの名に違わぬ描写。このボケの出方も光源に対しての向きやフォーカス位置など条件によって様々に変化します。いろんなボケを見ながら面白いかもしれないと思った一枚をセレクトしました。背景に丸ぼけを大量に配置することでユニークな写真が撮れるんじゃないかと色々と想像するのが楽しくなってくるレンズです。
開放絞りで出てくる虹のゴースト。ぐるぐるボケ。正直なところ、最初はその特徴を楽しむレンズだと思っていたので開放絞りから時折見せてくれる立体感やピントピークの解像感、絞った時のクリアな描写などあらゆる面で良い意味で予想を裏切ってくれました。フォーカスリングがじっくりしているので動きの激しい被写体も撮りたい場合、他のレンズをおすすめしますが、ポートレートやスナップではこのレンズにしか表現できない世界があるのでぜひ一度使ってみていただきたいです。