光と戯れる準広角『FUJIFILM X-T5』で撮る『APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical VM』
2023年01月12日
新世代センサー「X-Trans CMOS 5 HR」による圧倒的解像感、富士フイルムが培ってきた色再現技術を惜しみなく投入した『FUJIFILM X-T5』とフォクトレンダー史上最高性能の準広角レンズ『Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical VM』。夢にまで見た理想の組み合わせがマウントアダプターを装着することで気軽に実現できます。
どの様な写りをしてくれるのか心を弾ませながら軽井沢ショー記念礼拝堂に足を運びました。沢山写真撮ってくださいね!と優しい声もかけていただき、いざ明るく見やすいファインダーを覗いてみます。 長年色々なマニュアルフォーカスレンズにチャレンジしてきましたが、こちらのレンズはピントの山がとてもつかみ易い。Velviaで色鮮やかに光の差し込むその光景を目で見たままに捉えてくれました。
シーンとした冷たい空気にポカポカと暖かな日差し。多彩なフィルムシミュレーションで何を使うか迷い、ノスタルジックネガで撮影。 前ボケはどんな表情を見せてくれるのだろうか、そう思いF値開放で窓にピントを合わせてみました。 レンズによっては前面に配置した椅子の木目が煩く感じてしまうこともありますが、こちらのレンズは美しくぼかしながらもしっかりと質感を捉えています。
空は雲一つなく、気温も1℃ととても空気が澄んでいました。 葉っぱは落ちてしまい少し寂し気な木の幹ですが、太陽の暖かな日差しを浴びてどこか気持ちがよさそう。 1段1段の絞りF値の変化が大きいこちらのレンズ、F2.8でもとても引き締まった描写をしてくれます。
椿など植物を撮影する際、筆者はVelviaを使う事がおおいのですが、今回はETERNAブリーチバイパスをセレクト。 色ノリが良く、コントラストの高いアポランターにはとても良くマッチ。背景のボケ味が美しいからこそETERNAブリーチバイパスが映えるのです。
白い外壁と白い金属のバルコニー。そこにポカポカと暖かな日差しが当たっています。 普段であれば少し絞り込んで撮影をするのですが、開放では優しい表現をしてくれるこちらのレンズがどの様な表現をするのか気になりました。バルコニーの金属の質感もしっかりと捉えつつ、日差しや前景を優しくとらえているところに思わず「さすが!」と声を漏らしてしまいました。
良く日差しが当たる場所なのでしょう。色褪せた青い扉、そしてコンクリートの質感。 少しハイキーに振りつつ、穏やかな昼下がりを表現してみました。
今回の機材組み合わせで、最も筆者がお勧めしたいフィルムシミュレーション大賞「ETERNAブリーチバイパス」が受賞しました! と声を大にして言いたいほど、この組み合わせが好きになってしまいました。
陸橋の下に書かれたアート、そしてそこを通りすぎるロードバイク。 シティサイクルが多い場所でロードバイクが通り過ぎるまで20分ほど待機していましたが、待った甲斐が! 少しスロー目にすることで躍動感を、薔薇と薔薇の間を自転車が通り過ぎる時にシャッターをグッと押し込みました。
大空を自由に大きなクレーンたちが動いていました。おそらく大きなビルを建設しているのでしょう。 暖かな日差しを浴びながら青空に向けて未来への一歩を踏み出している光景でした。
遠景を開放F2とセピアの組み合わせで撮影し、どこか懐かしい風景を表現できないかと挑戦。適度なボケと優しさで理想通りの1枚に仕上がりました。 普段あまり使う事のないセピアですが、フォクトレンダーのレンズとは相性が良いように感じます。
夜の帳が降りる頃、筆者は長野県善光寺にたどり着きました。 この日の目的は、翌日から始まるイベントの練習が行われるとの事ではるばるやって参りました。
マニュアルフォーカスレンズでの撮影には少々酷なシーンですが、デジタル技術を駆使したプロジェクションマッピングの撮影に挑みました。 沢山ご紹介したいのですが、今回は蓮の花が美しくピンク色に染まるその光景をご覧ください。演出でお線香をたくことで電球色の提灯が幻想的に見えます。 本番ではなく投影テストではありましたが、普段中々見ることのできないイベントでとても楽しく拝見させてもらいました。
フジノンレンズの表現力の高さは言うまでもなく素晴らしいものですが、時にはじっくりとマニュアルフォーカスで撮影するのも楽しい。 フォーカスリングの適度なトルク感と、個性豊かなフォクトレンダーのレンズラインナップ。 マウントアダプターを使用することで自分だけの特別な組み合わせが気軽に楽しめるのでぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。 あまりの楽しさにシャッターを押す手が止まらなくなってしまいます。