Select Language

ツポレフTu-114とジュピター12

[ Category: 文と写真|掲載日時:2012年05月02日 12時00分]
実は雨のシーズンでもある春。
撮りに行くぞ!と思ったていたのにどんよりなお天気。仕方がないので机の上に愛用のボディ、レンズを並べてみたら楽しくなってしまい、思わず「テーブルフォト」を撮り始めてしまった、なんてことはありませんか?EC営業グループ パウセカムイです。



そんなわけでこの前の休日に撮ったこの写真。
激しく後玉の突出したこのレンズは旧ソビエト製35mmf2.8レンズ「Jupiter12」のLマウントバージョン。「ああ、アレね」とお思いの方も多数いらっしゃると思われる有名なレンズです。
そしてこの飛行機はなんなのかというと、これは「ツポレフTu-114」という旅客機の1/500の模型。

レンズとこの飛行機とどんなつながりが?そう思っていただいた方のためにちょこっとだけウンチク語らせていただきます。



このツポレフTu-114は1960年代のソビエト製旅客機で、Tu-95という大型戦略爆撃機の旅客機バージョンとして生まれた機体。

当時西側ではすでにジェットの時代を迎え、ボーイング707、コンベアCV880といった機体が大西洋横断可能な航続力を持って飛び始めていました。

しかし燃費の良いジェットエンジンをなかなか開発できなかったソビエト、同等の性能をジェットではなくターボプロップエンジンを使ったプロペラ機という既存の技術で実現しようとしたのがこの機体です。

プロペラ機の場合、速度を上げたいからとプロペラを高速で回転させてしまうと、プロペラブレードの先端が音速を超えてしまい、衝撃波が生じて大きな抵抗となってしまうので、どうやっても時速700km/h程度が限界というのが当時の常識でした。しかしソビエトの航空技術者は直径の大きなプロペラを二重に重ねてそれぞれ反対回りに(二重反転プロペラといいます)比較的ゆっくりと回す事によりエンジンのパワーを効率よく速度に変えるという独自の技術をあみ出します。



結果この機体はプロペラ機でありながら時速870km/hというジェット機並みの高速巡航を可能にし、ジェットエンジンと比べてずっと燃費の良いターボプロップのおかげで同時代のどのジェット機よりも長大な航続力を獲得。
爆撃機のTu-95としてはソビエトからアメリカ東海岸を行動範囲内におさめ、
旅客機のTu-114としてはモスクワ-ニューヨーク間をノンストップで飛行可能な機体となりました。
そして国連総会に出席するフルシチョフ第一書記を乗せてニューヨークに乗り付けたり、日本航空とソビエト国営アエロフロート航空の共同運航便として羽田~モスクワ間に就航したりと華々しく活躍。全長54m、乗客数は最大220人。まさにソビエト航空界の技術の結晶、究極のプロペラ機と言える存在でした。

このTu-95/Tu-114のベースとなったのがTu-4という飛行機。そしてこのTu-4はあのB-29の完全なコピー。日本を爆撃に来て損傷を受け、基地まで帰れなくなって、やむなくソ連領内に不時着した機体を分解、研究して完全にコピーしたのだそうです。

コピーから始まった技術に磨きをかけ、コピー元とは違う独自の発展を遂げる。これぞソビエト技術の真骨頂。
(進化の過程で西側の常識では考えられないヘンな形になっちゃったりもしますが。)

そしてJupiter12も(ようやく出てきました。)戦前型ツァイスビオゴンの完全なコピーとしてスタートして、なんと1990年代まで作り続けられたレンズ。
まあこちらの場合はツポレフのように独自の発展というほどのことはなく、せいぜい後玉を保護するカバーを廃して生産性を向上?させたくらいのようですが。(あ、コーティングの進化はありますよね)


しかし西側のトレンド?ガウス型には目もくれず、最初にコピーしたビオゴン型を作り続けるあたりは同じようなメンタリティと言えるのかもしれません。

ビオゴン譲りの高性能を手軽に楽しめるとしてなかなか人気のこのレンズ。もちろん眺めているだけではもったいない。ドイツ生まれモスクワ育ちのその味を堪能するべく、いろいろなフィルムでテスト撮影してみました。
前述の通り特異な形状。ユニバーサルなLマウントとはいっても装着できないボディもありそうです。露出計測用の「腕木」があるM5はムリそうなので、ここはキヤノン勢の出番です。


Canon VT de-luxe / Jupiter12 35mmf2.8 RDP III(ポジフィルム)


Canon VT de-luxe / Jupiter12 35mmf2.8 RDP III(ポジフィルム)


Canon 7s/ Jupiter12 35mmf2.8 FUJIスーパープレミアム400(カラーネガ)


Canon 7s/ Jupiter12 35mmf2.8 FUJIスーパープレミアム400(カラーネガ)


Canon IIs改 / Jupiter12 35mmf2.8 NEOPAN ACROS100(モノクロネガ) ダークレス現像


Canon IIs改 / Jupiter12 35mmf2.8 NEOPAN ACROS100(モノクロネガ) ダークレス現像


Canon IIs改 / Jupiter12 35mmf2.8 NEOPAN ACROS100(モノクロネガ) ダークレス現像

中央はなかなかシャープ。しかしこの個体の特性なのかもしれませんが絞ってパンフォーカスを狙っても周辺がちょっと甘いかも?
ISO400クラスのカラーネガを使うよりは精緻でシャープなプロビアとかアクロスを使ったほうが精神衛生上良いかもしれません。それに、究極の対称型でいかにも歪曲などなさそうなレンズ構成のわりには結構盛大な歪みっぷり。
しかしボケは水彩画みたいでなかなか趣があります。(カラーのほうが楽しめるかも)

35mmではありますが、思い切って開放にしてボケを楽しむレンズかなと感じました。
もしかして超絶シャープ?というのを少し期待していたのですが・・
(とは言ってもソビエト製品の常で品質にバラつきのあるこのレンズ。ものによっては周辺までバリバリシャープなものもあるかもしれません。)

ところでツポレフTu-114は品質的にどうだったのかというと、機体の欠陥による事故はゼロと優れた飛行機だったようです。
ただし乗り心地のほうは巨大なプロペラがつごう8つも回転しているせいか、独特の低周波の騒音があってなかなかハードなものだったそうです。



眺める、撮る、ウンチクを調べて悦に入る。
いろいろな楽しみ方のできるオールドレンズは日常を豊かにしてくれるスパイス。
定期的な服用が効果的です!

そしてやっぱりフィルムは楽しい! フィルム写真は死なず、未だ消え去りもしない です。



レンジファインダーカメラのショッピングはこちら
レンジファインダーカメラ用レンズのショッピングはこちら

[ Category: 文と写真|掲載日時:2012年05月02日 12時00分]

面白いと思ったらコチラをClick!150票


【トル・アソブ】お手軽自転車で車載動画 ~山手線一周編~

【トル・アソブ】お手軽自転車で車載動画 ~山手線一周編~[2012年09月24日]

日頃の運動不足を解消するべく、一念発起して自転車を購入! ・・・したのはいいのですが、モチベーションが上がらず、なかなか走行距離が伸びませんでした。 このままではいけない、と考え色々検討し目に見える形で記録に残そうと思いたちました。 手持ちの機材で使える物を探したところ、以下の画像のものが良さそうで、実際に取り付けてみました。 こちらです!    ※使用機材 SONY DSC-HX5V ...
続きを読む
null

【トル・アソブ】かんたん撮影セットをつくろう[2012年08月20日]

大切なコレクションをPCで管理したり、友人に自慢するときにとっても便利! 簡単にキレイな写真が撮影できるセットを作ってみましょう。 実際に我が家の食卓で撮影している模様です。 蛍光灯のスタンドを利用しています。 材料は、厚紙、画用紙、まな板シート、発泡スチロールの板、幅広の透明セロテープ。 100円ショップで購入したので、合計¥840。 照明には、蛍光灯スタンドのほかに蛍光灯...
続きを読む
null

【トル・アソブ】円形?ハート型?猫型?絞りの形でアソブ![2012年08月13日]

こんにちは!今回は、絞りの形で面白い写真を撮ることに挑戦してみます! 過去のマップカメラの記事を参考にしました。 こちらもぜひご覧ください! 絞りの形で写真がどう変わるのか写真も載っているので とてもわかりやすいですよ。必見!→「円型だけが絞りじゃない!」 光源がにこにこマークに!→「にこにこボケ♪その実態は・・・」 レンズの絞りの形には5角形や6角形、8角形など...
続きを読む
null

【モノクロ道】その6 暗室でプリントに挑戦!ベタ焼きも♪[2012年08月11日]

モノクロード、それはモノクロ撮影・現像・プリントを極める道・・・! 過去の記事はこちらからどうぞ! ↓ 【モノクロ道】その1 モノクロ始めます!プロローグ 【モノクロ道】その2 モノクロフィルムをつめて撮影! 【モノクロ道】その3 モノクロフィルムで浅草撮影! つづき 【モノクロ道】その4 インタビュー!魅力、カラーとの違いとは 【モノクロ道】その5 ダークレス現像に初...
続きを読む
null

【トル・アソブ】フィルター遊び[2012年08月06日]

以前フィルターに傷をつけて「手作りクロスフィルター」を紹介しましたが 今回はフィルターを使ってもっと簡単に遊んでみました♪ 中古の安いモノやもうキズだらけで使わなくなったフィルターに 好き勝手に色々やってみました まずは フワーッとなんだかファンタジックな乙女写真 昔からある手法ではありますが フィルターにハンドクリーム等を塗ります 今回は真ん中を残して周辺だ...
続きを読む