マップカメラ店長がカメラについてアレコレ語る『極私的カメラうんちく』

第9回:道具のカタチ

人間が作り出す道具のカタチには完成度の差こそあれ、それぞれにもっともな理由があるのが普通である。その理由も自転車やハサミのように人間の体形が間接的に関与するものもあれば、飛行機やクルマのように流体力学や運動力学が大きく関与しているものもある。

 カメラの場合、おそらくは測距原理やシャッター形式の違いがカタチに大きな影響を及ぼすだろうと予想されるが、同じレンズ交換式一眼レフでありながら35mm判と6×4.5cm判のカタチはあまりにもかけ離れている。横に長く平べったい35mm判一眼レフに対して6×4.5cm判一眼レフは前後に長い構造になっている。さらに大きなフォーマットの一眼レフをみると6×6cm判や6×7cm判も大抵が6×4.5cm判の同様前後に長いカタチをしている。ポピュラーな35mm判一眼レフを見慣れた眼からすると前後に長い一眼レフはとても奇異に映るカタチなのだが、これら中判一眼レフ特有のカタチはいかにして決まってきたのだろうか。
前後に長いスタイルの一眼レフは6×6cm判のハッセルブラッドが基本形となって大小のフォーマットに広まったと考えられる。そしてハッセルブラッド以降多くの中判一眼レフがこのスタイルを採用してきた理由はフィルムマガジンを交換式にできるという利点にあるだろう。

 前後に長いカメラは大抵後ろ側にユニット化されたフィルムマガジンがついている。このフィルムマガジンは、引き蓋でボディと仕切ることによって撮影途中でもボディから取り外しが可能で、予めフィルムを装填しておいたマガジンと交換することによって迅速なフィルム交換が行える。またオプションにはインスタントフィルムホルダーが用意されており、やはり引き蓋で遮光することによっていつでもフィルムマガジンと交換して撮影することが可能である。インスタントフィルムはフィルムカメラにとって撮影結果をその場で確認することができる貴重な手段であり、テスト撮影に欠かせない機能となっている。

 しかし交換式フィルムマガジンは利点ばかりを生み出すわけではない。

 もともと6×6cm判は画面が正方形だから撮影時に縦横を切り換える必要が無い。したがって上から覗くウェストレベルファインダーだけでも撮影にそれほどの困難は生じないのだが、6×4.5cmや6×7cmといった、縦位置と横位置の概念がある長方形のフォーマットでは事情が異なる。長方形フォーマットの場合、ウェストレベルファインダーのまま縦や横の切り替えをして撮影するのはどう考えても至難の技であり、そこでカメラの真後ろから覗けるアイレベルファインダーが必然になる。しかしミラーボックス真上にあるフォーカシングスクリーンの映像は、長いプリズムを使ってフィルムマガジンの厚み分を乗り越えてカメラの一番後ろまで届くことになるため、一般的な35mm判一眼レフのような横長のカメラに比べてファインダープリズムはどうしても大型化してしまう。6×4.5cm 判ならばまだしも6×7cm判ともなるとプリズムファインダーの大きさは相当なものになる。その意味では正方形6×6cm判一眼レフをマガジン交換式とし、ウェストレベルファインダーによる撮影を基本スタイルとしたハッセルブラッドのカタチはその誕生当時からきわめて合理的だったと言える。

  ただし正方形のフォーマットは印刷やプリントの際縦横どちらかに無駄が出てしまうため、自由な構図のためには大きなプリズムファインダーを必要としながらも、長方形のフォーマットは着実に普及してきた。
なかでも6×4.5cm判は中判一眼レフのフォーマットとしては最も普及しているが、実は6×4.5cm判には他の中判フォーマットとはちょっとした違いがある。

 もともと6×4.5cm判は6×9cm判のハーフサイズとして登場した歴史がある。そのためロールフィルムの長辺方向と撮影画面の短辺方向の位置関係が他のフォーマットと逆転しているのである。つまりカメラを自然に構えたときに横長の画面を得るためには、通常のフォーマットならば横に送るフィルムを6×4.5cm判は必ず縦に送らなければならない。結果フィルム室はカメラの後ろ側に回りこみ、6×4.5cm判一眼レフは必然的に後ろに長いレイアウトを持つことになる。ここが設計段階でフィルム横送りか縦送りの二者択一が可能な6×6 cm判や、横送りが基本の6×7cm判フォーマットとの違いである。事実6×6 cm判や6×7cm判にはマガジン交換を不要とし、35mm判と同様のレイアウトのまま大きくなったモデルが存在する。

 格好の例としてペンタックス645は小型軽量化のためアイレベルプリズムファインダーを固定式とし、またフィルムホルダーはインナーユニットのみを交換式としているため撮影途中のフィルム交換が出来ない。つまり機能や使い勝手において、その大きさ以外は通常の35mm判一眼レフとまったく同じなのにも関わらず、フィルムを縦に送る構造のために後ろに長い、中判一眼レフ特有のカタチとなっているのである。

 中判一眼レフはフォーマットが多彩であるうえに様々な機能や特徴を持ったカメラが作られてきた。そしてそこにはフィルムカメラであるが故の物理的制約を先人の知恵や技術で克服した証がカタチとなって現れている。昨今は電子化により機能や特長をカタチから理解できる道具が少なくなりつつある。カメラに限らずともカタチに理由がある道具を観察しその本質を理解することは、説明書を読んで理解するよりもはるかに楽しく身につくことは確かである。 人間が作り出す道具のカタチには完成度の差こそあれ、それぞれにもっともな理由があるのが普通である。その理由も自転車やハサミのように人間の体形が間接的に関与するものもあれば、飛行機やクルマのように流体力学や運動力学が大きく関与しているものもある。

 カメラの場合、おそらくは測距原理やシャッター形式の違いがカタチに大きな影響を及ぼすだろうと予想されるが、同じレンズ交換式一眼レフでありながら35mm判と6×4.5cm判のカタチはあまりにもかけ離れている。横に長く平べったい35mm判一眼レフに対して6×4.5cm判一眼レフは前後に長い構造になっている。さらに大きなフォーマットの一眼レフをみると6×6cm判や6×7cm判も大抵が6×4.5cm判の同様前後に長いカタチをしている。ポピュラーな35mm判一眼レフを見慣れた眼からすると前後に長い一眼レフはとても奇異に映るカタチなのだが、これら中判一眼レフ特有のカタチはいかにして決まってきたのだろうか。
前後に長いスタイルの一眼レフは6×6cm判のハッセルブラッドが基本形となって大小のフォーマットに広まったと考えられる。そしてハッセルブラッド以降多くの中判一眼レフがこのスタイルを採用してきた理由はフィルムマガジンを交換式にできるという利点にあるだろう。

 前後に長いカメラは大抵後ろ側にユニット化されたフィルムマガジンがついている。このフィルムマガジンは、引き蓋でボディと仕切ることによって撮影途中でもボディから取り外しが可能で、予めフィルムを装填しておいたマガジンと交換することによって迅速なフィルム交換が行える。またオプションにはインスタントフィルムホルダーが用意されており、やはり引き蓋で遮光することによっていつでもフィルムマガジンと交換して撮影することが可能である。インスタントフィルムはフィルムカメラにとって撮影結果をその場で確認することができる貴重な手段であり、テスト撮影に欠かせない機能となっている。

 しかし交換式フィルムマガジンは利点ばかりを生み出すわけではない。

 もともと6×6cm判は画面が正方形だから撮影時に縦横を切り換える必要が無い。したがって上から覗くウェストレベルファインダーだけでも撮影にそれほどの困難は生じないのだが、6×4.5cmや6×7cmといった、縦位置と横位置の概念がある長方形のフォーマットでは事情が異なる。長方形フォーマットの場合、ウェストレベルファインダーのまま縦や横の切り替えをして撮影するのはどう考えても至難の技であり、そこでカメラの真後ろから覗けるアイレベルファインダーが必然になる。しかしミラーボックス真上にあるフォーカシングスクリーンの映像は、長いプリズムを使ってフィルムマガジンの厚み分を乗り越えてカメラの一番後ろまで届くことになるため、一般的な35mm判一眼レフのような横長のカメラに比べてファインダープリズムはどうしても大型化してしまう。6×4.5cm 判ならばまだしも6×7cm判ともなるとプリズムファインダーの大きさは相当なものになる。その意味では正方形6×6cm判一眼レフをマガジン交換式とし、ウェストレベルファインダーによる撮影を基本スタイルとしたハッセルブラッドのカタチはその誕生当時からきわめて合理的だったと言える。

  ただし正方形のフォーマットは印刷やプリントの際縦横どちらかに無駄が出てしまうため、自由な構図のためには大きなプリズムファインダーを必要としながらも、長方形のフォーマットは着実に普及してきた。
なかでも6×4.5cm判は中判一眼レフのフォーマットとしては最も普及しているが、実は6×4.5cm判には他の中判フォーマットとはちょっとした違いがある。

 もともと6×4.5cm判は6×9cm判のハーフサイズとして登場した歴史がある。そのためロールフィルムの長辺方向と撮影画面の短辺方向の位置関係が他のフォーマットと逆転しているのである。つまりカメラを自然に構えたときに横長の画面を得るためには、通常のフォーマットならば横に送るフィルムを6×4.5cm判は必ず縦に送らなければならない。結果フィルム室はカメラの後ろ側に回りこみ、6×4.5cm判一眼レフは必然的に後ろに長いレイアウトを持つことになる。ここが設計段階でフィルム横送りか縦送りの二者択一が可能な6×6 cm判や、横送りが基本の6×7cm判フォーマットとの違いである。事実6×6 cm判や6×7cm判にはマガジン交換を不要とし、35mm判と同様のレイアウトのまま大きくなったモデルが存在する。

 格好の例としてペンタックス645は小型軽量化のためアイレベルプリズムファインダーを固定式とし、またフィルムホルダーはインナーユニットのみを交換式としているため撮影途中のフィルム交換が出来ない。つまり機能や使い勝手において、その大きさ以外は通常の35mm判一眼レフとまったく同じなのにも関わらず、フィルムを縦に送る構造のために後ろに長い、中判一眼レフ特有のカタチとなっているのである。

 中判一眼レフはフォーマットが多彩であるうえに様々な機能や特徴を持ったカメラが作られてきた。そしてそこにはフィルムカメラであるが故の物理的制約を先人の知恵や技術で克服した証がカタチとなって現れている。昨今は電子化により機能や特長をカタチから理解できる道具が少なくなりつつある。カメラに限らずともカタチに理由がある道具を観察しその本質を理解することは、説明書を読んで理解するよりもはるかに楽しく身につくことは確かである。

written by ストロベリー小野
この記事のカテゴリーは『極私的カメラうんちく』です | 2005年09月20日

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