マップカメラ店長がカメラについてアレコレ語る『極私的カメラうんちく』

第34回:デジタルカメラの環境問題

「ゴミ問題」といえば、新聞の一般紙なら環境問題の話題だが、カメラ業界では、一転レンズ交換式デジタルカメラの話題になる。
いまさら説明の必要は無いかも知れないが、ここで言う「ゴミ問題」はデジタルカメラがレンズ交換式になった時から始まった。フィルムカメラのときには1カットごとに新しいフィルム面が次々と繰り出されていたため、一度フィルム面にゴミが乗っても、その後のカットで再びゴミが付くことは無かったが、固定された撮像素子で撮影を続けるデジタルカメラでは、一度撮像素子にゴミが付いてしまうとその後のカット全てにゴミが写りこんでしまう。また撮像素子は静電気を帯び易く、ただでさえゴミやホコリを吸い寄せてしまう特性がある。いつしかカメラ業界ではこれをデジタル一眼レフの「ゴミ問題」と呼ぶようになり、長らくデジタル一眼レフカメラ共通の問題となってきた。使用される現場がスタジオや研究室ならばともかく、アウトドアで使用されるカメラにホコリは付き物であり、また、たった一粒のホコリによって折角撮った画像が軒並みダメージを受けてしまうことは、ゴミの付着は予測が非常に困難であることも手伝って、ユーザーの大きな心理的負担になってきた。
しかし昨今では「積極的な」ゴミ対策を施された様々なデジタル一眼レフが次々と発売/発表されている。それらの共通した対策とは、撮像素子の高周波や振動によってゴミを除去しようとするものである。現在「積極的な」ゴミ対策を採用しているのは、業界初のダストリダクションシステムを実用化したオリンパスをはじめ、ソニー、キヤノン、ペンタックス、パナソニックである。またニコンも11月発売予定のD300で初めて超音波によるゴミ対策が採用されることが決定しており、今やデジタル一眼レフのゴミ対策には、「手振れ補正機能」や「超音波モーター」に続く、「業界標準」の兆しすら見えてきている。
特にオリンパスは長年にわたってこのゴミ問題に取り組んだ結果、超音波振動でゴミを振るい落とす方式を世界で初めて実用化した。その後キヤノンやパナソニック、そしてニコンが超音波振動によるゴミ対策を打ち出したが、オリンパスは何処よりも早くこのゴミ問題を非常に重要な課題と位置づけており、デジタル一眼レフ「E-1」にダストリダクションシステムを搭載して発売するまでの間は、他社が次々とレンズ交換式デジタル一眼レフを発売するのを横目に見ながらも、原理的にゴミ問題が発生しないE-10、E-20などのレンズ固定式のデジタル一眼レフしか造らなかった。そこでこれはあくまで筆者の私見だが、オリンパスにとってダストリダクションシステムとは、レンズ交換式一眼レフを発売する上で、フォーサーズシステムの構築と同等の必達条件だったのではないだろうか。
現在「積極的に」撮像素子のゴミを振るい落とす方法は、超音波振動方式と高速駆動方式の二種類に大別できる。超音波振動方式では撮像素子は固定されたままで、ゴミは超音波の高密度な振動によって前方へ弾き飛ばされる。一方、高速駆動方式は撮像素子を高速で上下左右に動かし、その慣性によってゴミを振るい落とそうとするものである。既に超音波方式を採用するメーカーが複数ある一方において、後者の方式はソニーとペンタックスが採用しているが、これには両社が採用した手振れ補正方式と密接な関連性がある。撮像素子を高速駆動する機能は、ボディ内蔵型の手振れ補正メカニズムを応用しているからである。
またほとんどのメーカーの撮像素子表面には、ローパスフィルターや、赤外線をカットするための非常に薄い光学ガラス製のフィルターが配置されているため、ゴミは撮像素子表面からほんの少し浮いたところに付着することになる。そのためゴミの写りこみ具合は入射光の「焦点深度」によって変化することになる。「焦点深度」とはレンズの後ろに結像する映像深度のことで、像面の光軸に垂直な、はっきりと結像する領域の「厚み」のことである。「焦点深度」の特性は、一般的に撮影技術論で用いられる「被写界深度」とは全く異なる特性を持つ。「被写界深度」は「絞り値」のほか「焦点距離」や「撮影距離」によっても変化するが、同じ「深度」であっても「焦点深度」とは撮影時に設定された絞り値のみに依存し、焦点距離の影響を受けない。つまり絞りを開けた状態では、広角レンズであってもゴミの存在に気付かない場合がありうる。
超音波振動方式の技術は、容易に分解や洗浄が出来ず、かつきわめて平滑でデリケートな撮像素子表面を常に清浄に保つ方法として、特にデジタル一眼レフのために開発された経緯はご承知の通りである。またその清掃コストや手間がメーカーやユーザーにとって相当の負担となっていた現実を無視することは出来ない。これはファインダーや、レンズの光学系にもそのまま当てはまることである。
だからと言って、もともとよほど大きなものであっても画質に殆ど影響が無いレンズ光学系内部のゴミやチリと、相当小さなものでもただちに画像に影響がある撮像素子のゴミ問題が全くの別問題なのは明白である。ましてファインダー光学系のゴミが画質に及ぼす影響は皆無である。だからこそこれまでファインダーやレンズ光学系のゴミやチリについては「新技術」の導入が見送られてきたと言うことも出来る。
 しかし既に新技術を獲得した今となっては、ファインダー光学系のゴミや、レンズ光学系内部のゴミも、将来的には撮像素子と同様の方式で除去可能なのではないかと考えるのは、筆者だけだろうか。
もしこれらのゴミ問題がカメラ全体の環境問題という時代が来れば、その時は一眼レフの光学系全体をゴミから守るシステムが、もはや常識となっているのかも知れない。

written by ストロベリー小野
この記事のカテゴリーは『極私的カメラうんちく』です | 2007年10月20日

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