RICOH GRシリーズと言えば、フィルム時代からデジタルの今に至るまで長く続くカメラブランド。小型軽量で、しっかりとした金属外装を採用し、他のコンパクトとは一線を画す描写力と使い勝手の良さからどの世代も多くのカメラマンに愛された銘シリーズだ。 デジタル世代も第4世代まで進み、大口径化や手ぶれ補正の採用、フィルター機能などほぼ完成形の域に達していたGR Digitalシリーズ。次はどの様なブレークスルーがあるのかと思えば、何とAPS-Cサイズセンサーの搭載と言う。もちろん高画質化に大型センサーは有効だが、あのコンパクトで小気味良い動作感が身上のGRシリーズにそんな大型センサーを使用して大丈夫なのか、一抹の不安があったのも事実である。
早速の試写だったが描写力に関しては脱帽、さすがAPS-Cサイズセンサーである。レンズ一体式のデジタルカメラはセンサーとレンズをトータルでチューニングできるメリットがあるが、そこは伝統のGRレンズ。期待を裏切らない好描写で細密に描写していく様は圧巻である。夜景の高輝度な被写体だが実に美しく描いてくれた。
近接でのカット、後ろボケは広角レンズにしてなかなか素直である。マクロモードではレンズ先端から10cmまで近接可能、これだけでもかなりのクローズアップが出来るが、画角を35mmm相当にするクロップモードを使用するとより大きく被写体を写す事が可能である。
クロスプロセス・フィルター効果と21mm相当の画角となるワイドコンバージョンレンズの併用で。画面の広がりはグッと効く、スナップなどで重宝する画角だ。以前のGR Digital用コンバージョンレンズも性能の高いものだったが、今回のGR用コンバージョンレンズも専用設計だけあり、周辺にわたってキッチリと解像する。クロップモード、コンバージョンレンズの併用で35mm判換算21mm・28mm・35mmの3焦点でGRが使えるのも嬉しい限りだ。
また、心配していた操作やレスポンスも実に素早い。スナップではひと呼吸、瞬時の判断についてきてくれる事がとても重要だが、GRは思った瞬間にすぐシャッターが切れる。かなりフェザータッチのシャッターだが、使用感は上々だ。電源を入れてからの起動タイムラグも短く、スナップ派の要求も十分に応えてくれる。
グッと絞り込んでいるが、微に入り細に入りよくここまで解像するものだ。壁面の錆の細かい部分までしっかり描かれているのだから恐ろしい。
ミックス光の難しい条件でもホワイトバランスは優秀だ。
このカットはMapCamera WESTの2階にて大きく延ばしたプリントを展示中だ。PCモニターでは無く、ポスターサイズにプリントして見ると様々なアラが見えてくるものだが、計器の金属の艶や奥行き、立体感まで素晴しい描写であった。
ボディサイズも、厚みも大きさもほぼ先代までのGR Digitalと変わらない。個人的には薄型でポケットに入れてもかさばらない点が気に入っていたのだが…筆者のジャケットにも問題なくぴったり入る。持ち運びやすく、使いやすい。更に画質もトップクラスである。まさに新しいステージに立ったと思われる『GR』、その完成度をぜひ体験して頂きたい。
Written by MAP CAMERA Staff
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