ペンタックスの望遠ズームレンズ「HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WR」は、35mm判換算84.5~460mmの撮影領域をカバーする。この製品の特徴は逆光の悪条件に強い「HD コーティング」と防滴構造だ。前者は構図の中に光源が入っても、コントラストの低下やゴーストやフレアなどの発生を抑える役目を果たす。ゴーストやフレアはレンズの味となる場合もあるが、できれば発生は避けたいもの。このレンズを選ぶ理由はここにあると言って良いだろう。
そして防滴機構はアウトドアで使う機会の多い望遠ズームレンズにこそ欲しい機能であり、しかもユーザーが最も手にするであろう価格帯のモデルに搭載してきたことは評価したい。天気の変わりやすい山での撮影などでも気軽に撮影できるようになったので是非活用して欲しい。
望遠レンズの楽しさは、なんと言っても遠くのもの引き寄せる力。肉眼では見ることのできない未知の表現力を手にいれることができるのだ。そこにはこれまでに見たことのない世界が広がっている、そんな発見に出会うことも望遠レンズの楽しみでもある。
細かな水滴もしっかりと描写されており、まさに写真ならではの一瞬を切り出した表現を得ることができた。望遠レンズ特有の圧縮効果によるちょっと不思議な表現はもちろんだが、光の強弱もしっかりと残っている繊細な描写力にも注目して欲しい。
そして圧縮効果と望遠レンズならではのボケの大きさは、写真表現の幅を広が広がる重要な要素だ。
望遠レンズは背景をシンプルにまとめることができるため、被写体の魅力を強調できる。さらに大きなボケを効果的に使うことで、より一層被写体が引き立って見えるようになる。
コンパクトデジタルカメラでは難しい大きなボケ表現を楽しめるのもデジタル一眼レフカメラの魅力の一つ。HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WRでデジタル一眼レフカメラならではのボケを実感して欲しいと思う。
このボケは被写体を引き立たせるためだけではなく、ボケによって写真を魅力的にすることも可能だ。HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WRの望遠撮影によって、幻想的な点光源のボケが写真の主役となる新たな世界が見えてくるだろう。
望遠ズームレンズは標準ズームレンズのプラスα的に捉えてしまいがちだが、むしろ写真の表現力としては望遠ズームレンズの方が高いと言っても良いかもしれない。標準レンズは日常を切り出す力、リアリティーがあり、望遠レンズには遠くの物を引き寄せる力、背景をぼかす力など、言うなればファンタジックな魅力がある。この二つのキャラクターはそれぞれを補完し合う形で存在してる。
HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WRは表現力としては従来機である「DA55-300mmF4-5.8ED」と同様だが、新たに追加された機能によりこれまでよりももう一歩踏み込めるようになった望遠ズームレンズだ。手軽に始めることができる新たな写真表現の道具として、手にして欲しいと思う。
Photo by MAP CAMERA Staff