昨年10月の発売発表から約8ヶ月、夏のロンドンオリンピックを目前にして「EOS-1DX」が発売されました。先に発売されたEOS 5D Mark IIIの2230万画素と比べ、1810万画素と画素数を若干抑え気味にすることで、より高感度撮影に強く、さらにミラーアップ状態で秒間約14コマというとてつもない高速連写機能を実現しています。またファインダー内の広い範囲に配置されたF4対応のクロスセンサーが、動体の追従性を高めたほか、エクステンダーとの組み合わせの幅を広げるなど、かなりスポーツ撮影を意識した仕様になっています。
低ノイズのCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC5+から生み出された常用ISO 51200までの超高感度機能は驚愕の一言です。常用とは言えさすがにISO 51200ではノイズが気になりましたが、ISO 32000に一段下げるだけでその数は一気に少なくなり、16000〜8000辺りではクリアーと感じるほどの映像を書き出してくれます。
ピント合わせの食い付きも良く、光の漏れている場所にセンサーを合わせればピタリと止まります。まさか夜間の撮影でレンズを絞る余裕ができるとは夢にも思いませんでした。
新たにファンクションボタンが追加され操作性も向上しました。さらに縦位置撮影でも変わらない操作性ということで、各操作ボタンが縦横2カ所ずつ配置されており、あまりのボタンの多さに驚きます。しかし実際にカメラを構えてみるとこれが非常に使いやすく、縦位置横位置が違和感なく切り替えることができ、さらにISO感度やホワイトバランスの設定までもが、右手だけで撮影操作ができてしまうという便利さを持っていました。
その他の設定もクイック設定ボタンで簡単に呼び出せるので素早い変更が可能です。新機能が追加され、全てを使いこなすには少々時間がかかるかもしれませんが、普段通りに使う分ならすぐに馴染める親切な設計です。
さすがにこれだけの機能を凝縮したわけですから、ボディの大きさが少し大きくなってしまったのは致し方ない事。しかし肉厚なグリップは指かかりも良く、手に持ってもさほど苦になりません。逆にしっかりホールディング出来るので、手持ちのスローシャッターでも安定した撮影ができました。
またミラーストッパー機能が効いているシャッター時の衝撃も小さく、安定した撮影が可能です。余裕すら感じられるミラーの動きが高速連写の不安を打ち消してくれます。
少し大きくなったワイド3.2型の104万ドットの液晶モニターは美しいの一言。モニター性能の向上もありますが、それ以上に撮影した元の画像か格段に向上していることがよく分かります。
1810万画素に不足感を一切感じない素晴らしい画質で、レスポンス良い反応が撮る楽しみも向上させてくれます。
調整に調整を重ね満を持して登場した「EOS-1DX」は、撮影シーンを選ばない究極のフラッグシップカメラ。暗いシーンでも高速連写でも他のカメラを圧倒するそのハイスペックは、今まで諦めていた作品を可能にしてくれることでしょう。
Photo by MAP CAMERA Staff
使用機材:Canon EOS-1DX +EF24-70mmF2.8L USM