「AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED」はニコンFXフォーマットに対応した超広角ズームレンズだ。 この他にFX対応の超広角ズームレンズのラインナップは3本。一つはプロ仕様とも言うべき高画質の「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」、F4通しで手ブレ補正が付いた「AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR」、絞りリングが使える「Ai AF-S Zoom-Nikkor 17-35mm f/2.8D IF-ED」。いずれもF値が変わらないハイエンドレンズだ。
今回試写した「AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED」はズーミングに合わせてF値が可変するが、上記のハイエンドレンズと比較すると軽くてコンパクトな点が武器だ。歩きが多い撮影ではこの軽さがありがたいと感じるだろう。さらに画質はハイエンドレンズに引けを取らないほど高画質。また、ズーミング時に全長が変わらないインナーズームを採用している点も特徴だ。
東京の新観光名所となったスカイツリー。その袂(たもと)にある「京成橋」、ここは観光客たちのスカイツリーの撮影スポットでもある。この橋から標準ズームレンズで巨大なスカイツリーを撮影する際にはどうしても縦構図にする必要があるが、広角端18mmなら横構図でもしっかりと収まる。
水平以外の構図では建物などのパースが強烈に付くが、このような場所なら歪みなどを気にせず広がりを表現できる。遠くのものまで良く写っていてなかなか楽しい。
迫り来るような躍動感のある雲や近景・遠景の対比など、ダイナミックさを一枚にギュッと収められるのが超広角レンズの醍醐味。窓ガラスの一枚一枚の描写やガラスに映り込んだビルなど情報量が豊富だ。
程よい距離感を保てば強烈なパースも気にならない。ビネットコントロール(周辺減光補正)をオフにして周辺減光を「味」として作品に取り入れるのも良い。
強烈なパース故にファインダーで見る景色も新鮮だ。角度を変えただけで世界が変わって見える。
シャープな解像感と周辺減光が不思議な世界感を描き出す。逆光性能はナノクリスタルコート仕様のハイエンドレンズには敵わないが、この程よい緩さがレンズとしての面白さでもある。
望遠端は35mmと比較的大人しめの広角域だ。こちらはダイナミックさよりも、目の前に広がる雰囲気をそのまま切り取るようなイメージで撮影できて使いやすい。テーブルフォトなど雰囲気を大事にしたい場合に重宝する。
風景撮影やスナップ撮影以外に、超広角を活かした人物撮影にもオススメしたい。標準レンズでは表現できないマンガチックなデフォルメができるのが超広角レンズの面白さ。もちろん24mmや28mmなどパースをコントロールして写真のバリエーションを付けられる点もズームレンズならではだ。
「AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED」は、手軽に使える高画質な超広角ズームレンズだ。逆光時のゴーストの発生は少なく超広角レンズながら光源があっても気にならない点も良い。高画質な超広角ズームレンズでコストパフォーマンスが高い1本だ。
Photo by MAP CAMERA Staff