タムロンから高画素時代に即応する新しいレンズとして「SP 35mm F1.8 Di VC USD」が発売されました。
便利な高倍率ズームや高性能のマクロレンズを得意としているイメージの強いタムロンの新たな挑戦とも思える新レンズは、否応無しに期待が高まります。 さっそく撮影に出かけてきました。
ファインダーを覗いて驚いたのはその接写能力です。最短撮影距離約20cmはまさにタムロンの十八番、マクロレンズのような使い勝手の良さがありました。
奥行きのない小さな水槽でもしっかりピントが合います。ガラス面に密着させての撮影ですから写り込みの心配もありません。
こちらも最短域で撮影。開放F1.8の大きなボケと相まってとても柔らかい画になりました。
花粉の粒子感を伝える高い解像力と薄いピント面の組み合わせでは、肉眼では感じることの出来なかった不思議な世界を演出してくれます。
AFも素早く優秀ですが、さすがにピント面をここまで薄くするとAFでは手間取ります。そんな時はライブビューでのマニュアル合わせが便利。ピントリングも大きく使いやすいので、カメラとレンズの性能を存分に楽しむことができました。
タムロンレンズの魅力で忘れていけないのがもう1つ、優れた手ブレ補正機構です。
効果は約3段分。望遠ズームレンズの様な貼りつく感じはありませんが、0.5秒でもしっかり止まったその実力に驚きを隠せません。
ブレなくシャープに捉えた画は、明暗差が大きい中でも被写体の質感をしっかり伝えています。
F1.8での接写撮影と考えれば周辺光量も多め。この絶妙な光のバランスがより立体感を演出してくれます。
スナップにも最適な使いやすい35mmレンズが、より接写に強くなるだけでここまで便利になるのかと正直驚きです。
今回も生憎の空模様でしたが、レンズ内部に水滴が侵入しにくい簡易防滴構造が心強く感じます。
傘を差しながらの不安定なホールディングでも、前記の手ブレ補正と相まって快適な撮影が楽しめます。
薄暗いシーンではF1.8の大口径が威力を発揮。高感度に頼らず光のグラデーションを楽しむことができました。
青やオレンジ色の光を放ちながら、ゆっくり揺れるロウソクの炎の様子をしっかり捉えています。炎の暖かさも感じられる高い解像力に加え、窓から差し込む薄明かりのコントラストも絶妙です。
雨に濡れた木造の洋館は艶やかな質感に。装飾の細部まで捉える高い解像力に性能の高さを感じることができます。
重さ約450g(ニコン用)は純正の35mmF1.8レンズと比べると重く感じますが、デザインも重視して作られたというだけあって、バランスが良く苦になることはありません。
AF/MFや手ブレ補正On/Offスイッチも大きめで操作しやすく、高級感ある質感と手ブレ補正機構の両立でこのサイズに収まった方に驚きます。
高画質と使いやすさが両立した使いやすいレンズは、同社の高倍率ズームレンズ同様、あらゆるシーンで活躍してくれることでしょう。
早くもメーカーからはこのシリーズラインアップの充実化が聞こえています。「TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD」は、今後の製品の期待値も高まる素晴らしい製品です。
Photo by MAP CAMERA Staff