394:『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro』
2016年12月12日
オリンパスのM.ZUIKO PREMIUMレンズから、2本目となるマクロレンズ『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro』が登場しました。既に発売されているマクロレンズ『M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro』と比べて焦点距離が半分ということで、マクロレンズとしてはもちろんのこと、スナップ撮影にも向いているレンズです。
マクロレンズと言えば、どうしてもピントが迷ってしまうイメージがあります。ある程度はAFで合わせて、あとはMFに切り替えて細かいピント調節をする…といった方も多いのではないでしょうか。私も普段マクロレンズを使うときはそういった使い方をすることが多いので、正直マニュアルフォーカスクラッチ機構の付いていない本レンズに少し不安を感じていました。
しかし、実際に撮影をしてみると、あまりにもスムーズにピントが合うのでびっくり!これには良い意味で驚かされました。初めに言っておきますが、今回の撮影でMFは一度も使用していません。 2016年12月22日発売予定の最新機種『OM-D E-M1 Mark II』との組み合わせであるというのも理由のうちの1つではありますが、それにしてもマクロレンズなのにも関わらずここまでスイスイとピントが合ってしまうのには感動せざるを得ません。
冒頭の写真も例に漏れずAFで撮影をした1枚です。撮影したのはルドベキアというガーベラ程の大きさの花なのですが、本レンズの最大撮影倍率はなんと2.5倍。ルドベキアがまるでひまわりに見えてしまうくらいの大迫力です。そして、撮影をした時には気付かなかったのですが、花びらの間に小さな虫が隠れていました。普段見れない世界を見ることが出来る。これぞマクロレンズの醍醐味と言えるでしょう。
この日はとても天気が良く、このレンズのボケ味の美しさをより楽しむことが出来ました。多少絞って撮影をしても綺麗な円形ボケを描いてくれます。
冒頭のマクロの写真、2枚目の中望遠を生かした椿の写真、そして風景全体を捉えたこちらの3枚目と、汎用性の高いレンズであることはこの流れをご覧いただければ一目瞭然なのではないでしょうか。
今回訪れた撮影地は、下町の情緒あふれる街並みが美しい月島です。風に揺れる柳の音がとても気持ち良く、しばらくぼーっとしていたくなる…衝動を抑えて、引き続き被写体を探しながら歩き回ります。
毛むくじゃらな花のつぼみを見つけたので撮影。手前から奥にかけてのやわらかなボケの層がとても美しいです。
レンズを少し下に向けてみると、そこにはつぼみと同じく細かい毛に覆われた茎が姿を現しました。拡大をして見てみると、茎の細かい部分まで余すことなく捉えてくれていることがよく分かります。マクロは何を撮っても新鮮な発見があって面白いですが、やっぱり草花を撮るのが一番楽しいですね。
歪みも開放時の周辺部の光量落ちも、とてもよく抑えられています。
揺れるススキにもぐりこむようにして撮影をした1枚です。川沿いだったので風がとても強く、厳しい戦いとなりました…。連写した中で「これだ!」と思った1枚をチョイス。たんぽぽの綿毛のようにふわふわとした部分が光に透けて美しいです。
冬になるとよく見かけるこちらの赤い実の名前はピラカンサ。おいしそうに見えて、実は毒を持っているのだとか。マクロレンズで撮ると梅干しのようなサイズに写ってますますおいしそうに見えますね…
以前アンティークショップで購入したヴィンテージのミルクキャップを最短撮影距離で撮影しました。本当に「被写体にぴったりくっついてしまうのでは」と思うくらい近くまで寄って撮っています。それもそのはず、このレンズのワーキングディスタンスは14mm!14cmではありません。1.4cmなのです。最短+開放だとご覧の通りだいぶ被写界深度も浅くなってきますが、それでもAFで容易にピントを合わせることが出来ました。
『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro』いかがでしたでしょうか。開放からしっかりと解像・軽量コンパクト・そして何よりリーズナブル!総合的なコストパフォーマンスを見ると、個人的に☆5つでも足りないくらいです。マクロレンズとしてはもちろん、キットレンズと一緒に持つ初めての単焦点レンズとしても十分におすすめできる1本のご紹介でした。
Photo by MAP CAMERA Staff