今回のKasyapaでは、ソニーから新たに発売されたレンズ『SONY FE 85mm F1.8』をご紹介いたします。
ソニーEマウント用85mmと言えば『FE 85mm F1.4 GM』が真っ先に頭に浮かびますが、今回ご紹介するレンズはお値段がなんと『FE 85mm F1.4 GM』の3分の1以下というリーズナブルっぷり。昨年発売された『FE 50mm F1.8』と同じ位置づけのレンズです。
このレンズを持ってみてまず最初に思うのが「小さくて軽い」ということ。軽い、といっても外装にはアルミを採用しているため安っぽさはなく、品のある作りとなっているのが嬉しいですね。マウントもしっかりとした金属マウントです。
ED(特殊低分散)ガラスを含む8群9枚で構成されているため、色収差も効果的に補正してくれるとのこと。
果たしてその写りはいかに!…ということで、α7IIに装着して実際に撮影へと出かけてきました。
冒頭の写真は、夜に撮影したとあるお店のショーウインドウ。中望遠レンズならではの立体感、そしてボケの美しさには思わずうっとりしてしまいました…。
日を同じくして発売された『FE 100mm F2.8 STF GM』の陰に隠れてしまいがちな本レンズですが、このレンズ侮れませんよ!
「ポートレート撮影を手軽に楽しめる」と謳われているレンズということで、今回は友人にモデルをお願いしてポートレート撮影をしてきました。
大口径中望遠単焦点レンズであるのにも関わらず約371gという小型・軽量設計なのが非常に嬉しい所。まさに文字通り「手軽に」楽しめる機動力の高いレンズです。
AFの速度は想像以上に早く、ストレスなく撮影を楽しむことが出来ました。
個人的な感想ではありますが、『FE 50mm F1.8』よりもAF性能は優れていると感じました。ダブルリニアモーターが搭載されているおかげでしょうか。ポートレート撮影は一瞬を切り取ることを特に必要とするので、この使い勝手の良さは嬉しいですね。笑顔になった瞬間の表情もばっちり捉えてくれました。
ピントが合っている手前の髪の毛から奥の髪の毛にかけての、なだらかなボケのグラデーションがたまりません。
開放付近で近づいて撮影をすると若干ですが周辺の光量落ちが見られます。
拡大をして見てみると、開放からシャープに写っていることがよくわかります。ピント面が滲むこともありません。
ごみごみとしてうるさかった背景も、柔らかなボケの中に包まれてしまいました。
この日は生憎の曇天。幸いにも雨に降られずに済みましたが、本レンズは防塵・防滴に配慮された設計のため雨の日の撮影でも臆することはありません。風の強い日や天気の悪い日でも気にせず持ち運んで撮影が出来るというのは非常に頼もしいです。
撮影途中、雲の隙間から少しだけお日様が顔を覗かせました。その瞬間を逃さずキャッチ!
本レンズの側面にはフォーカスホールドボタンが搭載されているのですが、このボタンはピントを固定するだけでなく、設定を変えることで好みの機能を割り当てることも可能です。ポートレートを撮る上で有用な「瞳AF」を割り当てておけばポートレート撮影をより快適に楽しむことが出来ますよ。
また、フォーカスホールドボタンのすぐ側にはAF/MF切り替えスイッチも。AF性能がしっかりとしているため今回の撮影でMFを使用する機会はありませんでしたが、動画撮影時は重宝しそうですね。動画撮影のこともきちんと考えられている仕様がソニーらしいです。
撮影をしているときは気が付かなかったのですが、現像時に吊り灯篭の下のところにハートマークを見つけました。縁結びに強い神社なのかなと思い調べてみたところ、どうやらこのマークはハートではなく、日本古来からある「猪目」と呼ばれる文様なのだそう。
魔除けや福を呼び込むといった意味がある文様だそうで、イノシシの目の形がハートに見えるから猪目と呼ばれているとのこと。写真を撮っているといろいろな発見があるので、雑学がどんどん増えて行きます。(笑)
この写真を撮りながら、しみじみとボケの美しさに感動してしまいました。やっぱりポートレートは中望遠くらいの距離感とボケ味がベストですね。
私は普段あまり枚数をたくさん撮らない方なのですが、この日の撮影は背景が綺麗にボケてくれるのが嬉しくて、いつの間にかいつもの倍くらいシャッターを切っていました。
「撮影が楽しい」と純粋に思えるレンズに出会うと、写真を撮るのが何倍にも楽しくなります。
撮影がひと段落したのでカフェで一休み。とても素敵な内装だったので、頼んだものが届くまで店内を撮影させていただきました。
広角レンズだと全体を捉えられるぶん周りの人や余計なものまで入り込んできてしまうのがネックですが、中望遠レンズの場合は印象に残った部分だけを切り取ることができるのが良いですよね。
AFの駆動音もほぼ無音と言っていいくらい静かなので、室内での撮影で煩わしさを感じることもありません。
最後に1枚だけ夜のポートレート写真を。ミックス光だったため少し色温度を下げて暖かい色味に現像調整しました。
高感度に強いカメラ、となると真っ先にα7Sシリーズが思い浮かびますが、α7IIも負けていませんね。ISO5000だとさすがにノイズが目立ちますが、それでも睫毛や髪の毛の1本1本までもがしっかりと確認できるのには驚きでした。
『SONY FE 85mm F1.8』いかがでしたでしょうか。
1日を通して使用してみて、正直「このレンズ、欲しい!」と心の底から思いました。
美しいボケ味と、スムーズにピントが決まる高いフォーカス精度。そして何よりコンパクトであること。被写体に威圧感を与えずに高品質なポートレート写真を生み出してくれることが、普段からポートレート撮影をしている私にとって最大のメリットでした。
もちろん、ポートレートだけでなくスナップや風景撮影でも活躍してくれますよ。
日常の何気ない瞬間を印象的に切り取ってくれる、ソニーの新しい85mm。値段もお手頃でアマチュアの方でも手を出しやすい価格帯となっているので、キットレンズからのステップアップにもおすすめのレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff