広い望遠域をカバーしながら軽量で扱いやすと人気を集めたニコンの望遠ズームレンズ「70-300mm F4.5-5.6」がリニューアル。『AF-P 70-300mm F4.5-5.6E ED VR』が登場しました。旧モデルの登場が約11年前の2006年8月。日々の進化が著しい昨今、本レンズがどのうような進化をしたのか気になるところ。さっそく撮影に出掛けてきました。
まず注目は、ステッピングモーターによる速いオートフォーカスでしょう。先日の「AF-P DX 10-20mm F4.5-5.6G」の撮影でステッピングモーターデビューをした筆者。前回でもその凄さをを十分体感できたと思っていましたが、望遠レンズで感じるスピードはそれ以上です。被写体との間にネットがあろうが、周りに木々がたくさんあろうが、狙ったところを瞬時に捉えてくれます。普段はほとんど動かないハシビロコウが突然羽を広げました。そんな一瞬も逃さず捉えてくれました。
動物園の動物は慣れているのかもしれませんが、動物を狙う際はわずかな音にも注意したいところ。静音も大きな武器になることでしょう。
さすが最新レンズと思わせる解像力が高くクリアな描写は、厚いガラス越しでの撮影だったことを微塵も感じさせません。ゴリラの毛並みもきれいに捉えています。
レンズの重さは約680g。旧モデルより65g軽くなり、機動力がさらに向上。炎天下の撮影でも疲労感少なく撮影できるのは本当に助かります。
最短撮影距離も旧モデルから30cm短くなり、1.2mまで寄れるようになりました。ズームで被写体を引き寄せればクローズアップ撮影も楽しめます。望遠レンズの圧縮効果もあって、マクロレンズとは違った雰囲気で近接撮影が楽しめます。
スナップ撮影には不向きな印象の望遠レンズですが、軽くてサッと撮れる素早いAFの本レンズなら苦手意識を払拭。高い解像力と相まって、ふと見つけたワンシーンを綺麗に切り取ってくれます。スポーツからポートレート、スナップまであらゆる用途で活躍してくれることでしょう。
速いAFは動く被写体にも有効です。カーブしながら迫ってくる電車をしっかり捉えてくれました。
余談ですが、本レンズを使用する際、推奨されていたファームウェアのアップデートを実行したところ、D5に新たなグループエリアAFが追加されました。横一列、又は縦一列のフォーカスポイントから最も手前にある被写体を捉えるので、横移動しながら近づいてくる鉄道やモータースポーツなどで活躍が見込めます。益々、レンズの素早さが重要になると感じました。
本レンズの進化は速いAFと機動性の高さだけではありません。望遠レンズを使用する際、最も重要視したい手ブレ補正機構も2.5段分から4.5段分にパワーアップ。その実力を試すべく、船上からの夜景撮影にも挑戦。揺れる船上でも、1/10秒のスローシャッターで撮影できました。
船が羽田沖にさしかかると、上空を飛行機が横切ります。D5のAF力を持ってしても、夜空の飛行機を補足するのは難しいようで、何度かピントを外しましたが、点滅する明るい航空灯を見つけると瞬時に捉え直してくれます。AF-Pレンズの瞬発力の高さを改めて知ることとなりました。
肉眼では薄っすらとしか見えなかった空港の様子も望遠端で綺麗に捉えてくれました。
11年ぶりのリニューアルで、今まで弱いとされていた部分を見事にカバー。益々非の打ちどころの無いレンズとなりました。携帯性が良いのも大きなポイント。より望遠撮影を身近なものにしてくれることでしょう。望遠レンズのデビューを検討されている方にも、自信を持っておすすめできる1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff
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