SONY FE400mm F2.8 GM OSS
SONYの超望遠フラッグシップレンズ『FE400mm F2.8 GM OSS』が発売されました。
超望遠レンズとは言え、軽量なミラーレスカメラに最適化されたレンズというイメージが先行していたので、届いたダンボール箱の大きさにビックリ!一瞬開けるを躊躇うサイズです。
しかし箱を持ち上げてみると、見た目からの想像を裏切る軽さ。専用のアタッシュケースから出したレンズ自体は2895gしかなく、普段一眼レフを使用している筆者にとっては、まさに驚愕の軽さです。
まず撮影に向かったのは今回も羽田空港。他機材の撮影でも訪れている展望デッキでの撮影では、勝手がつかめている分、機材の感触の違いをすぐに感じ取ることができます。
大きさを感じさせない重さと、素早いレスポンスは実に快適。ウエイトバランスにだけ注意すれば、三脚無しでもワンシーンを十分に構え続けられます。 そしてこれまで撮影した写真と見比べなくても分かる、ワンランク上の解像力を体感することができました。
都心部の方向に目をやると、他の機体とは違った色使いの飛行機の姿を発見。望遠鏡としても優秀な400mmで覗いてみると、映画のキャラクターデザインを施したラッピング機でした。
少し霞みがかった空でしたが、東京港のクレーンやお台場の観覧車、汐留のビル群の姿もしっかり確認できます。
スポーツなどのシーンで活躍する400mmレンズですが、重量という枷がなくなれば、風景撮影など幅広いシーンでも用いられることでしょう。
数分後、先ほどのラッピング機が到着。珍しい機体をより鮮明に捉えることができました。意外と多彩な色が使われていたことに驚きます。機体の細かな凹凸まで捉える高い解像力がよく分かります。
空港での撮影を終え次の撮影地へ。東京駅で乗り換える際、新幹線ホームを覗いてみました。
少しづつ秋を感じられるようになったとはいえ強い日差し。白い車体に落とす影が露出合わせを悩ませます。そんなカメラ泣かせのシチュエーションでも、最適な設定で見たままに切り取ってくれました。
上野公園の不忍池では蓮の花が見頃を迎えていましたが、到着時間が遅かったため花は蕾状態。
近づくことの難しい水生植物ですが、超望遠レンズは簡単に手元まで引き寄せることができ、その質感を十分に堪能することができます。大きな柔らかいボケ味も綺麗です。
超望遠というスペックばかりに気を取られていましたが、本レンズはボケ味にもこだわった「G Master」レンズ。とろけるように徐々にぼけていく理想的なボケ像を実現しています。
少しでも涼しい場所を求めてか、スワンボートもフル稼働。カラフルなスワンをコントラスト高く鮮やかに描いてくれます。
公園のベンチ下で日差しを避けている猫を発見。カメラを向けると一瞬、警戒する仕草を見せましたが最短撮影距離2.7mのレンズは近くに寄りたくとも寄れないため逃げられずにすみました。これ以上近づいたらすぐに逃げるぞ。という気配をしっかり捉えいます。
ソニーのカメラといえばより正確なピント合わせをする瞳AFが有名です。他の方の話を聞く限り、人間以外の瞳を認識するのは稀なようですが、ちょび髭柄を真正面から捉えたおかげで運良く認識。瞳孔が細くなっている独特の瞳も綺麗に捉えることができました。
最後にテレコンバーターを使用したカットも紹介します。こちらは1.4倍の「SEL14TC 」を使用して560mmまで拡大したカットです。
頭上を越えていく機体に合わせ、180度カメラを振り回しましたが、AFは喰らいついたまま。画質もテレコンバーター未使用時と比較しても甘さは感じられない高画質です。
撮影日は風が強くカメラを構えるのも一苦労。東京湾を監視する巡視艇も大きく揺れていましたが、素早いピント合わせは迷いなく一瞬です。もちろん強力な手ぶれ補正の恩恵も忘れることはできません。
続いて2倍の「SEL20TC」を使用して800mmまで拡大したカットを。
最初に訪れた羽田空港で一緒に撮影したものでは、他のカットと比べると若干コントラストが低下した印象を受けます。本カットでは離陸の動きに合わせて左右にカメラを振りながら連写しましたが、一瞬機体を見失うシーンも見られました。
線路を走る列車は撮影位置を事前に決めることができるため、あらかじめ付近に測距枠を配置しておけば800mmでもしっかり捉えてくれます。結果1.4倍のテレコンより慎重に撮る必要があると感じました。
大幅な軽量化に成功した「400mm F2.8」。ようやく超望遠レンズでも軽量なミラーレス機の恩恵を受けられるようになりました。軽さだけでなく描写もトップクラス。プロユースレンズに相応しい仕上がりです。
ライバルメーカーもフルサイズミラーレス機を発表し、ますます熱を帯びるシェア争い。専用レンズのラインアップの充実と軽量化で一歩先に出たソニーが、後続を突き放す新製品を投入。ますます機材選びが楽しくなりました。
Photo by MAP CAMERA Staff