SIGMAContemporary 56mm F1.4 DC DN
シグマより発売されたミラーレス用中望遠レンズ『Contemporary 56mm F1.4 DC DN』を紹介いたします。
Artレンズに匹敵する高画質を実現したという本レンズ。今回は「ソニー Eマウント」用レンズと「SONY α6500」の組み合わせで色づき始めた紅葉を見に出かけてきました。最近は画質優先の大きなレンズが増えてきましたが、35mm換算で84mmF1.4というスペックを持ちながら全長約6cm、重さ280gと、とてもコンパクトに作られています。小型軽量なミラーレスカメラに好相性なレンズは散策のお供に最適です。
千葉県松戸市にあるお寺では、まだ青葉が多く残るものの、所々に色づいた風景を見ることができました。人が物を見つめた時の視野とほぼ同じ画角と言われている約85mmの中望遠域は、そんな秋の色を探しながら歩く私の視線を忠実に切り取ってくれます。
そしてこの高い解像力です。高台にある井戸の屋根を坂下から捉えたのですが、肉眼では見えなかった屋根の彫刻まで綺麗に捉えてくれました。本レンズの性能の高さが瞬時に伝わります。
カメラに付けっ放しでも苦にならない大きさということもあり、見つけた景色を瞬時に切り取ることができる快適さがあります。ポートレートなどで重宝する中望遠レンズですが、スナップなど幅広いシーンで活躍することでしょう。
木々の隙間から差し込む秋の日差しと一緒に切り取ってみました。フレア、ゴーストの発生を軽減し、逆光時でもコントラストの高い描写を実現したということもあり質感高く捉えています。
長い廊下の真ん中にもみじの葉が4枚落ちていました。カメラをすぐそばに置いて近接撮影してみると、とても薄いピント面が確認できます。そして前後のボケの綺麗なこと。傾きかけた日差しのスポットライトも上品に描きます。
軽量化のおかげで疲れ知らず。散策の範囲が自然と広がります。
都電の沿線を歩いていると正面から向かってくる電車にヘッドマークの姿を確認。慌ててカメラを構えます。手前にはやや高めの垣根がありましたが、速いAFが特徴のカメラの性能を存分に引き出す、素早い反応で動体もしっかり捉えてくれました。
撮影後、肉眼では分からなかったヘッドマークの内容を見てみようと画像を拡大。しかし、それ以上に目がいってしまったのが、ワイパーの跡をも捉える高い解像力です。シャッタースピードを稼ぐために絞り開放で撮影したにも関わらず、ここまで鮮明に捉えるとは。驚き以外何もありません。
都電の沿線では電車のヘッドマークにも描かれていた薔薇の花がたくさん咲いています。
最短50cmまで寄っての撮影では、絞り開放の柔らかい描写の中に、コントラスト高く捉えた花の色がとても鮮やかに映ります。シャープで抜けの良い描写です。
ガラス玉のようなヤギの瞳も綺麗に捉えました。今回使用した「SONY α6500」には、動体に強い4Dフォーカスに加え、瞳だけにオートフォーカスする「瞳AF」機能を搭載しています。斜めからの撮影でもしっかり瞳を捉えるので、ポートレートにも最適なカメラです。小型軽量の中望遠レンズとは最高の組み合わせではないでしょうか。
孔雀の羽のグラデーションも綺麗です。そして、羽毛の細かいところまで捉える高い解像力に驚きます。
透明感高い高級ガラスや、眩しいクリスマスイルミネーションなど被写体を選ばす、どれも綺麗に描写する万能レンズです。
高い光学性能とコンパクトネスの両立
これまでF1.4 DCシリーズとして、広角の16mm(24mm相当)、標準の30mm(45mm相当)が発売されていました。今回84mm相当の56mmの登場により、広角、標準、中望遠と気軽に持ち出せる大口径シリーズが揃いました。もちろん、どのレンズも高画質で軽量なので、まとめて持ち出しても苦になりません。そして、Contemporaryラインは、他のラインと比べ価格が抑えられているのも魅力。ぜひコンプリートしたい、ハイパフォーマンスレンズです。
ニコン、キヤノンのフルサイズミラーレス機の登場で、大きなセンサーに注目が集まりつつありますが、本レンズの画を見てAPS-Cセンサーの凄さも再認識させられました。それぞれのメリットを活かして最適なシステムを揃えたいものです。
Photo by MAP CAMERA Staff