使用機材:OLYMPUS OM-D E-M1X + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
カメラ業界全体に“ミラーレス”と“フルサイズ”という大きな2つの波が押し寄せる中、ミラーレス機のパイオニアとも言えるオリンパスから新たなカメラが発表されました。その名は『OM-D E-M1X』。見た瞬間にフラッグシップモデルとわかる縦位置グリップ一体型のボディ、オリンパスが培ってきた最新のカメラ技術を惜しみなく投入したマイクロフォーサーズ最上位機種のカメラに仕上げてきました。今回のKasyapaは発売が迫った『OM-D E-M1X』をご紹介いたします。
使用機材:OLYMPUS OM-D E-M1X + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
『OM-D E-M1 Mark II』譲りの画質性能は流石の一言。ボンネットの光沢感を忠実に写し出す高精細さはセンサーサイズを凌駕しているレベルにまで達しているように感じます。おそらくこれはセンサー性能や画像処理エンジンだけでなくZUIKOレンズの性能も非常に高いためでしょう。
よりフィールドカメラとしての活躍できる、2つの新機能。
『OM-D E-M1X』から加わった新たな機能に“ライブND”というものがあります。これは露光した複数枚の画像をカメラ内で合成することでNDフィルター無しにND2からND32の効果が得られる画期的な機能になります。日中の長秒露光で必ず使用するNDフィルターですが、使用するレンズが多ければその口径分の枚数も必要ですし、超広角レンズではフィルターの取り付け自体が不可能なものもあります。その点この“ライブND”はカメラ側で制御するものなのでレンズを選ばず、使いたい時にいつでも使えるのが大きなメリット。私の事で言えば、スローシャッターで撮りたいイメージが浮かんでもNDフィルターを持っておらず撮れずじまいなこともしばしばあったのですが、『OM-D E-M1X』ならその悩みも解決してくれます。
ちょっと無理した露出になってしまいましたが、イメージ通りに撮れた一枚。空と海の境目を露出オーバーで飛ばしました。絞りすぎのため回折現象による画質劣化が起きていますが、写真としてはお気に入りの一枚です。
続いても新機能“手持ちハイレゾショット”を使用し撮影した一枚。三脚必須の通常のハイレゾショットとは違い、手ぶれによる位置ずれ利用した合成方法を用いる事で、手持ち撮影ながら5000万画素相当の高画質が得られる機能です。使用前にブレすぎると合成できないエラーメッセージが出ると聞いていたのですが、強力な手ぶれ補正効果も相まって一度もエラーが出ることはありませんでした。無風時や動かない被写体など条件は選びますが、手持ち撮影で恐ろしいほど高精細な写真を撮ることができます。
未踏の領域、7.5段 5軸手ぶれ補正
以前オリンパスの方に手ぶれ補正のお話を伺った時、「現在測定できるのは6.5段まで」と話していたのが印象に残っていました。それ以上になると地球の自転も計算に入れなくてはならないらしく、ついに手ぶれ補正の最高点に到達した!と感銘を受けたのですが、この『OM-D E-M1X』はその限界を超えカメラ単体で7段、『M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO』と合わせるとなんと7.5段の手ぶれ補正を実現させました。今回手ぶれを検知するセンサーやユニットを新規に開発したそうで、実際に7.5段の手ぶれ補正を経験すると「通常撮影では全くブレる気がしない」と感じます。
そこで撮影向かったのは深夜の工業地帯。無謀に思えるかもしれませんが完全手持ちによる夜景撮影を行いました。その結果をぜひご覧いただけたらと思います。
今回の撮影で一番厳しい条件だった一枚。換算200mmの望遠で寄りかかれる柱やフェンスは無し、息を止めて1.6秒耐えた結果の写真です。ISO1600による若干のザラつきは感じられるものの、三脚無しでここまで撮れることに驚愕しました。『OM-D E-M1X』は撮影スタイルそのものを変えてくれると実感しました。
工場夜景撮影の経験がある方は共感していただけると思うのですが、場所によって三脚が使えなかったり、フェンスの写り込みを避けようと背伸びをしながらシャッターを切ったりと“撮りたいのに撮れない”状況が結構多かったりしますが、『OM-D E-M1X』を使用すると自由に写真が撮れる気持ち良さを感じました。手持ち低速シャッターでもしっかり写真になるので、まるで日中スナップしているような感覚です。これは他にない大きな魅力と言えるでしょう。
マイクロフォーサーズの最高峰
『OM-D E-M1X』はフラッグシップ機に相応しい機能と性能を持ち合わせた一台でした。「マイクロフォーサーズ機なのに大きい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本機がライバルとしているのは『Nikon D5』や『Canon EOS-1D X MarkII』のようなフラッグシップ一眼レフ機であることを忘れてはいけません。特集ページにてAF性能に触れていますが、特定の被写体をカメラが認識して追尾する“インテリジェント被写体認識AF”は今までのAFの常識を覆す驚くべき機能です。また、本文でも触れた“ライブND”や“手持ちハイレゾショット”、そして“7.5段手ぶれ補正”はオリンパスのカメラ技術の集大成とも言える性能と言えます。レンズを含むカメラシステム全体のコンパクトさを追求するOM-DはNDフィルターも三脚も要らない所まで来ました。『OM-D E-M1X』はマイクロフォーサーズ最高峰の一台です。
Photo by MAP CAMERA Staff