SONYα6600
次々と新たな技術を投入し、カメラの未来を大きく変えてきたソニーのα。その中でもα6000シリーズは高性能と軽快さを両立させたAPS-Cミラーレス機で、パパカメラから写真趣味のハイアマチュア、プロのサブ機まで幅広いユーザーから支持されています。そんな人気シリーズの最上位機種がついにモデルチェンジしました。今回のKasyapaは『SONY α6600』をご紹介いたします。
まず「α6600ってどの後継機種?」と思われる方も多いはずです。2019年2月下旬に『α6400』が発売されており、中には「もうモデルチェンジしたの!?」と驚きの声も聞いたことがあります。正確には『α6600』は2016年12月に発売された『α6500』の後継機種という位置付けで、『α6400』よりも撮影性能やボディの作りも違う別のカメラになります。
シリーズの最上位機種ということもあり、その性能は折り紙つき。機械式シャッターで秒間11コマの連写性能と、5軸5.0段のボディ内手ブレ補正を搭載。AFは位相差/コントラスト共に425点の測距点を持ち、リアルタイムトラッキングで動く被写体を捉え続けることが可能です。
まさにリトルフラッグシップと呼べる『α6600』、その性能の高さは画作りからも感じ取れます。1枚目の写真は夕日に照らされる港を撮影したのですが、階調表現の素晴らしさがお分りいただけるかと思います。今回のKasyapaは全編JPEGで撮影を行いました。『α6600』とソニーGレンズの素晴らしさを感じていただけたら幸いです。
撮影で訪れたのはマグロの水揚げで有名な神奈川県のとある港。水産加工場のそばを歩いていると上から視線を感じ、見上げるとそこに居たのは一羽のトビが居ました。場所によっては食べ物を荒らす厄介者として扱われていますが、望遠レンズで捉えたその姿は猛禽類らしい凛々しさが感じられます。ふわりとした毛並みと鋭いくちばしなど、『α6600』と『E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS』は見た印象を忠実に写真にしてくれました。
遠洋漁業から帰ってきた大型漁船からクレーンで水揚げされる鈴なりのマグロ。釣りが好きでよくこの港に訪れるのですが、この光景は初めて見ました。船の中にそんなに入っているのか!と思うほどカチカチに凍ったマグロが何度もクレーンで運ばれていきます。
港には市場があり、旬のカワハギ、青物、サワラにスズキなど近海で捕れた魚が並んでいます。そして右上には大きなマグロの頭も。室内だったのでISO800に設定し、使用したレンズ『E 16-55mm F2.8 G』はF2.8開放です。鈍く光る鮮魚から新鮮さが伝わってくる描写です。
港にはマダイを養殖する筏(いかだ)が多くあり、水揚げされたマダイは氷と一緒に箱詰めされて出荷されます。写真はおそらく朝に水揚げされた名残でしょう。氷の冷たい感じが季節を先回りしたような印象を与えます。
港に居るネコは都会で見るネコよりもフレンドリーで、自ら釣り人のそばにちょこんと座り、釣り上げられる魚のおこぼれを待っていました。その様子をチルト液晶を使い、地面すれすれでカメラを構えます。何枚かシャッターを切っていると、暖かい日差しでネコも大あくび。いい瞬間を撮ることができました。
『α6600』使用して感じたのが、APS-Cセンサーとは思えない解像感と階調表現の豊かさです。解像感は使用した2本のレンズ性能が良かったということもありますが、JPEG撮影でここまで描写してくれるとは思いませんでした。
最後は日が沈み、紅く染まった空に浮かぶ富士山のシルエットを撮った一枚。お気に入りの場所に到着すると皆さん足を止めてカメラやスマートフォンで写真を撮っていました。思いのほか日の入りが早く、あと10分前にカメラを構えておきたかったというのが本音ですが、夜の一歩手前で堂々とした姿を拝むことができました。この時ISO感度を1600まで上げ、切ったシャッターは1/50秒。換算約190mmという望遠域でしたが、5軸5.0段分の手ブレ補正のおかげもあって、この時に撮影したカットのほとんどがブレずに撮影できました。
機動性と性能を両立したαシリーズの優等生
ミラーレスカメラを語る上で使い倒された言葉かもしれませんが、『α6600』はコンパクトで高性能という言葉がふさわしいカメラです。今回ご紹介しきれなかったシーンとして、プライベートで撮影をした息子と愛犬が駆け回っている姿の撮影も行ったのですが、動体を追尾するAFの挙動が完全に『α9』で、瞳AFもしっかりと効いていたのが印象的でした。Kasyapaではどちらかというと静の被写体をメインに撮影を行いましたが、カメラとして最も重要と言える画作りの良さも本機の魅力の一つです。フルサイズミラーレス機もコンパクトとはいえど、高性能なレンズを合わせるとそれなりのサイズ感になってしまうもの。しかし『α6600』は高性能レンズと合わせても小さなカメラバッグに収まるシステム性を持ったカメラです。いつも撮影をしていて思うのが、気軽に持ち運ぶことができるサイズ感と高い描写性能を兼ね備えているカメラはシャッターチャンスをモノにできる最高の一台だと思っています。『α6600』はまさにそれにふさわしいカメラでした。
Photo by MAP CAMERA Staff