『SONY Cyber-shot RX1』、コンパクトかつハイクォリティな一体ボディにフルサイズセンサーを搭載し、その高い描写力で一躍有名になったRXシリーズのフラッグシップボディです。その『SONY Cyber-shot RX1』のモディファイ・モデルとして登場した『SONY Cyber-shot RX1R』。ローパスフィルターを廃し、最高の解像性能を追求したと言うのですから、否応にも期待が高まるものです。
まずの1枚がモノクロモードというのもあれですが、ひとまずじっくりとご覧下さい。遠景に沸く雲の輪郭、風を知らせるたなびく霞、そして前景の木の枝振りまで、その描写は素晴らしいものです。描写コントラストを意図的に高く設定して撮影していますが、この1枚でもその完成度をうかがい知ることができるでしょう。
開放で、マクロ域での撮影です。花にしたたった滴の瑞々しさまで実に美しく描いています。それでいて、ピントピークは目が覚めるような鮮鋭度。これが新生『SONY Cyber-shot RX1R』の実力なのでしょう。
ピントピークがより鮮鋭になったことで、遠近感や背景ボケとの対比もより強く、浮かび上がるような立体感を楽しむ事ができます。フルサイズ&大口径の面目躍如といった描写で、更にこれでISO2000なのですから何の不満もありません。手のひらサイズのこの1台ですが、その実力は驚くべきものです。
全域にわたってシャープネスも高く、近代的な建築の細かなガラスも繊細に描きます。
かなり近接の撮影が可能ですが、ほの暗い中にもしっかりとトーンを残してくれるこの描写は信頼できるものです、ピントピークはあくまでシャープに、時代を経た金属の鈍い輝きが印象的です。
前ボケ、後ボケの素直さも特筆に値します。煩雑な背景ですが、上手くぼかして被写体を活かしてくれました。
こうした被写体はもう、文句なしの描写です。先代の『RX1』もかなりシャープなものでしたので、正直ローパスフィルターレスになる事がどれほど恩恵になるのか疑問もありましたが…この描写を見て、その疑問も払拭です。先代とは明らかに異なる描写のシャープネスで、逆を言えば少し柔らかくトーナルな描写が好みの向きには『RX1』を、作品指向の強い強みのある描写には『RX1R』をお奨めしたいと思います。
レンガ1つ1つのエッジが綺麗に出ています。周辺部まで嫌みがなく、色のヌケや美しさも抜群です。
最後にこのカット、ISO4000での撮影ですが滲みやノイズも目立たず良い描写です。F2までの大口径、高感度特性、そしてその描写は文句ないレベルですから、より完成度の高い選択肢が広がった印象です。
しかしこのサイズでフルサイズ、ローパスレス、大口径、高感度対応と目白押し。そして結果としてのこの描写です。手のひらサイズながらフルサイズ機としても最高レベルの描写と言って間違いありません。『RX1』にするか、『RX1R』にするか、大いに悩む価値のある問題でしょう!SONYフルサイズの新しい描写を実現した1台です。
Photo by MAP CAMERA Staff