キヤノン「PowerShot G16」は、35mm判換算28-140mm F1.8-2.8という開放F値の明るいレンズを搭載した高級コンパクト機だ。G16は、Gシリーズとしては13代目となる。思えば筆者が最初に手にした2001年発売の「PowerShot G2」から早12年、デジタルカメラの中でも歴史のあるプロダクツと言えるだろう。
G16のデザインは先代の「PowerShot G15」を踏襲しており、右手側のボタンやダイヤルで操作を完結できる優れたユーザーインターフェイスとなっている。液晶モニターを見ながら右手の親指で簡単に操作できる露出補正ダイヤルも便利で、すぐに意図した露出にあわせることができる。
光学5倍のズームレンズは開放からシャープな描写をしており実用性が高い。また、高速化されたAFと撮影タイムラグが短くなったことで、一瞬のチャンスに強いスナップシューターとしての強みも増している。
実際に使用してみると風景を切り出す際に一歩粘りを見せるような光学5倍ズームが面白く、さらに被写体に寄ったり引いたりできる撮影の自由度の高さが本機の魅力であると感じた。手に馴染むズームレバーで構図を決めて、親指で露出をあわせ、狙った被写体を瞬時にAFで捉える、いつの間にか手に馴染むこの操作感が素晴らしい。
G16は新たにスマートフォンやタブレットと連携が取れる「Wi-Fi」機能が搭載されている。撮った写真をスマートフォンへ転送して、SNSに投稿する使い方はもちろんだが、スマートフォンのGPS機能を利用したGPSロガー機能(※要キヤノン製のスマートフォンアプリ)も便利だ。G16にはGPS機能は搭載されていないが、スマートフォンのGPSロガーと同期させることで写真に位置情報を付加することができる。
また、Wi-Fiによるパソコンへの画像転送も可能だ。旅行時にはUSBケーブルがなくても、モバイルノートパソコンがあれば写真のバックアップも簡単だ。また、Wi-Fi機能のないデスクトップパソコンユーザーも、Wi-Fiルーターによるネットワーク接続でデスクトップパソコンにも画像を転送できるので安心だ。
暗い場所での撮影も、開放F値の明るいレンズと手ブレ補正が心強い味方となる。望遠側まで明るいこのレンズが様々なシーンにいかされていると実感できる。もちろん、高感度CMOSセンサーとDiGiC6による細かいディテールも再現する高感度撮影もその安心感の一つだ。
PowerShot G16は、完成された操作系に撮影レスポンスの良さ、最新の映像エンジンDiGiC6による高画質化と、カメラとしての魅力を追求した円熟のモデルといえるだろう。
狙った通りにカメラを操れる、そしてカメラとしての存在感、まさにG16のキャッチコピーである「撮る歓び。持つ歓び。」は使ってみると「なるほど」と実感できる。撮影の様々なノウハウが詰まっているので、コンパクトデジタルカメラのステップアップにもお勧めの一台だ。是非、この高画質と操作感を体験してみて欲しいと思う。
Photo by MAP CAMERA Staff