小型で高性能なミラーレス機として人気を博した『Panasonic LUMIX GX7』。後に上位モデルとして『Panasonic LUMIX GX8』が発売されたものの、サイズ感や軽快さの違いからGX7の正当なる後継機を待ち望んでいたユーザーも居たことでしょう。そういう思いに応えて登場したのが今回ご紹介する『Panasonic LUMIX GX7 MarkII』です。従来のサイズ感はそのままに、より洗練されたフォルムとなった本機ですが、パナソニックの十八番とも言える4K動画・4Kフォト・フォーカスセレクトという最新機能を装備。さらにレンズ側とボディ側の両方で手ブレを軽減する『Dual.I.S.』や高速のAFシステムである『空間認識AF』など撮影のキーとなる基本性能も大幅にUPした機種となっています。ストリートスナップをテーマに掲げた『Panasonic LUMIX GX7 MarkII』の実力はいかなるものか、早速カメラを携えスナップ撮影に向かいました。
GH4やGX8より搭載されている『空間認識AF』。これは被写体の前後ボケから距離を演算し、フォーカスを高速でその距離まで移動させるというパナソニック独自のAFシステムです。いうなれば位相差AFの仕事と同じように『空間認識AF』がやってくれるもので、コントラストAFだけとは思えない素早いフォーカススピードを実現しました。もちろんその性能を最大限に発揮するためにはボケ量のデータを計算できるパナソニック製のレンズがマストとなりますが、これはスナップ撮影で大きなメリットとなる機能です。
センサーの画素数は1600万画素と先代と変わらないものの、『LUMIX GX7 MarkII』はパナソニック初となるローパスレス機となります。その解像感は確かなもので、逆光で浮かび上がるクレーンの細いワイヤーまで高精細に写し出してくれました。
壁に描かれたグラフィック。コントラストの高い表現ですが、シャドウの階調も豊かなのに加えローパスレス機らしいエッジの効いた写り味です。
『LUMIX GX7 MarkII』はストリートスナップで必要な速写性、静音性、ステルス性を全て兼ね備えている機種です。ファインダーだけでなくチルト式の背面液晶も使い勝手がよく、カメラを構えずに写真を撮るシーンなどで有効に使えました。
絞り:F8/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:400/ 使用機材:Panasonic LUMIX GX7 MarkII + LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH.
1日に50万人が通ると言われている世界最大級の交差点。行き交う人々を照らす夕方の光を綺麗に捉えてくれました。
今が満開のバラの花。高精細な描写の『LUMIX GX7 MarkII』に加え、寄ることも得意なマイクロフォーサーズレンズは花など画面に大きく撮りたいシーンでも臨機応変に対応できる万能性を兼ね備えています。
『LUMIX GX7 MarkII』の新しいフォトスタイルに『L.モノクローム』が加わりました。メーカー担当者にお話を伺ったところ、従来のモノクロモードよりも色の深みや立体感を感じる画作りにこだわり、研究を重ねて生み出されたモノクロモードとの事。より本格的なモノクロ写真が楽しめるミラーレス機というのが最近の流れかもしれませんが、本機のL.モノクロームの実力と表現力はいかなるものか試してきました。
合成写真のように見えますが、実は違います。左側は鏡で反射している部分で、右側が実像です。モノクロにすることで写真の要素を少なくすることができる分、被写体のメッセージ性を強めたり、カラーとは違う空間表現をすることができます。通常のモノクロモードと比べてL.モノクロームは”渋め”といったらいいでしょうか、コントラストの高いモノクロのデジタル画像ではなく、銀塩プリントをデジタル化したような発色です。
ハイライトは抑え気味で中間域からシャドウにかけての階調が広く感じます。葉の葉脈をくっきりと写しつつも奥行きが感じられる表現ですね。
今までのモノクロームモードとは違う表現ですね。そのままJPEG撮って出しでも十分作品に使える完成度の高さです。お手本となったモノクロ専用デジタル機を筆者も使用したことがあるのですが、確かにそれに近い色を出してくれています。
広い階調と渋い色表現。それに加え優れた立体表現が可能なのが『L.モノクローム』です。今までRAW現像のみのモノクロで、カメラ本体に入っているモノクロモードを使ってこなかった方に是非体感していただきたいですね。撮って出しでも非常に味わい深いグレートーンを出してくれますから、モノクロ派にも納得の画を出してくれると思います。
『Panasonic LUMIX GX7 MarkII』はカメラの魅力が凝縮された一台でした。最新機能もカメラの魅力ではありますが、使用して感じたのは基本性能の完成度の高さです。素早いAF、見やすいファインダー、露出補正などの操作系も感覚的に行えるのがいいですね。コンパクトでレスポンスのいい本機は間違えなく『スナップシューター』を謳えるカメラに仕上がっています。一眼レフのサブ機というのもコンセプトの一つのようですが、『Panasonic LUMIX GX7 MarkII』はメイン機材と比べても遜色のない実力の高さを持っているカメラです。また旅カメラとして非常にポイントが高いですね。軽量コンパクトで高画質、そして4K動画はなんと無制限で録画することができます。『L.モノクローム』も魅力的ですよね、レンガ作りの建物や石畳など古い町並みを散策するときに是非使いたいカラーモードだと思いました。
『Panasonic LUMIX GX7 MarkII』は幅広いユーザーが納得できる一台です。是非このカメラを持って多く方に写真を楽しんでいただきたいですね。
Photo by MAP CAMERA Staff