シグマからスポーツラインのフラッグシップレンズとして『SIGMA Sports 500mm F4 DG OS HSM』が発売されました。
高い光学性能とスポーツの名に相応しい高い運動性能を発揮するスポーツラインレンズのフラッグシップの実力はいかに。さっそく撮影に出掛けてきました。
軽量化されたとはいえ、電車移動がメインの筆者にとってカメラボディと合わせて4Kg超えのシステムはさすがに堪えます。まずは自宅からほど近い自然公園に向かいます。湧き水豊富な湿地帯には、多くの生き物を見かけることができます。まず最初に出会ったのはアオサギです。 草の陰に隠れながらのファーストカット。手前の草が綺麗にボケて動物園の景色とは違った画に仕上がりました。描写も絞り開放からとてもシャープで、羽毛の質感もしっかり捉えています。時折小雨が降る生憎の空模様でしたが、開放F4の明るさと強力な手ぶれ補正のおかげで重量級のシステムでも手持ち撮影でも撮りきることができました。
自然公園の散策を続けていると同様の超望遠レンズを持った方に遭遇。後をついていくと池脇の止まり木にカワセミを見つけることができました。
見晴らしの良い池のほとりなだけに、近づきすぎて逃げられないよう注意しながら撮影します。正直もう少し寄りたいと思う距離感ですが、今回は最新3000万画素のカメラが相棒。トリミングできる余裕のスペックを信じてカメラを構えます。わずかな物音にも注意しなくてはならないシーンで静音で素早く反応するAFはとても頼りになります。そして撮れたのが上の写真です。ぜひ写真をクリックして拡大画像でご覧ください。小さなカワセミの綺麗な色と凛々しい姿をはっきりと見ることができます。(掲載写真はサーバー容量の関係上50%に縮小していますが、トリミング等はおこなっていません)
時期は秋の航空祭シーズンということで、航空写真にも挑戦してみました。澄んだ空に綺麗に並ぶブルーインパルスが、ものすごいスピードで上空を飛び交います。
ここでもスポーツモデルの高い運動性能が威力を発揮。素早いAFが機体をしっかり捉えてくれます。拡大画像では機体に書かれた文字はもちろんパイロットの様子も見るとができ、改めて本レンズの解像力の高さを知ることとなりました。
アクロバットな動きを繰り返す動きに合せ、カメラの角度やAFポイント移動します。その都度被写体を補足しなおすのですが、ここでも高いAF性能が拙い筆者を助けてくれました。コンティニュアスAFに対しての合焦率が従来モデルから約5%改善したというAFは、最新カメラのAF性能を存分に引き出してくれた印象です。
好天に恵まれたおかげで、青空に白い機体と煙が綺麗に映えます。フレア・ゴースト対策を徹底したレンズはコントラストが高く、気持ちのよい色再現をしてくれました。
青空に煙で様々なアートを描くブルーインパルス。煙の質感も綺麗に再現されています。
野鳥や飛行機と超望遠の王道を楽しみましたので、別の被写体を求めて移動します。
花壇に秋薔薇が咲いていました。超望遠向きの被写体ではありませんが、高い場所に咲く花もグッと引き寄せて撮影することができます。特殊低分散ガラスを使用し色収差を極限まで補正してる本レンズは、大きなボケ味の中でも輪郭をシャープに表現してくれます。
動物園に足を運ぶと、寒さが苦手な猿が檻の隅に置かれたヒーターの前で暖をとっていました。薄暗い檻の中を照らすヒーターの小さな灯りでも、大口径レンズは寂しそうな表情と柔らかそうな毛並みをしっかり捉えてくれます。
一方でレッサーパンダは木の上を元気に走り周っていました。高い木の上は普段なら諦める場所ですが、焦点距離に余裕のある超望遠のおかげで、見渡せる位置まで下がっても問題ありません。高い解像力のおかげで、離れた場所から撮ったとは思えない迫力を感じることができます。圧縮効果のおかげで木々の葉が凝縮、自然の風景の様にも見える面白い画になりました。
色とりどりの花が集められた神社の菊まつり。薄いピント面のシャープさと前後の綺麗なボケ味を堪能することができました。500mmレンズでの近接撮影を手持ち1/80秒で。ブレないで撮れるか少々不安でしたが、ここでも約4段分を補正するする強力な手ブレ補正機能がしっかりサポートしてくれました。大きなボケ味と強力な手ブレ補正はスポーツ撮影だけではなく、ネイチャーフォトなど幅広いシーンで活躍してくれることでしょう。
街中を動き回るには厳しい大型レンズですが、その大きさに見合った素晴らしい描写性能を披露してくれました。それでいてメーカー純正の同スペックレンズと比べ価格が抑えられているのも嬉しいポイントです。スポーツラインに限らず、最近のシグマレンズのコストパフォーマンスの高さには驚かされます。さらに本レンズに同梱されているケースは背負うことのできるバッグタイプで、持ち運びに考慮された点も嬉しく感じました。
高嶺の花という印象の大口径超望遠レンズですが、この高性能と使い勝手の良さなら、清水の舞台から飛び降りてみようかなとも思わせます。皆様も是非ご検討ください。
Photo by MAP CAMERA Staff