SIGMA Art 14mm F1.8 DG HSM
ニコンマウントで撮るシグマArtレンズシリーズ、第5弾は『SIGMA Art 14mm F1.8 DG HSM』です。
第4弾で紹介した「Art 20mm F1.4」と同様、他に同じスペックのレンズが存在しない世界唯一の超広角大口径レンズです。持った瞬間、ガラスの塊と錯覚するかのような1120gの重量感。俗に出目金と呼ばれる大きく飛び出た前玉を見るだけで、凄そう…と感じさせる迫力を持っています。
デジタルカメラが高画素化される度にトリミングの許容範囲が広がり、いずれは優秀な広角レンズ1本あれば何でも撮れてしまうのではと思ってしまう筆者。そんなことを考えながら、ニコンの最高画質機を相棒に出掛けてきました。
鉄道を乗り継いで向かった先は千葉県の富浦。漁港脇の砂浜から東京湾を大きく切り取ってみました。前回の20mmも場所こそ違うものの同じ東京湾周辺の撮影。同じ東京湾繋がりで写真を見比べてみると20mmと14mmではワイド感が全然違うことに驚かされます。数値上では僅か6mmの差ですが、広角レンズの1mmの差は大きいのだと改めて気付かされます。薄い秋の雲が広大に広がり、これぞ超広角という写真が堪能できました。
砂浜から伸びる古い桟橋。もう少し早い季節に訪れていたら、海水浴客で賑わっていたと思われますが、この日は人影もなく、周辺からは波の音しか聞こえません。高い解像力のカメラと優れた描写力のレンズによる最強の組み合わせは、そんな静けさを見事に切り取ってくれます。
絞り開放からシャープな描写をするレンズが描く画は、見た景色そのまま。周辺光量が少し下がる事で、シリーズの名のとおりアートなテイストが加わります。
天気が良ければこの先の富士山が拝めるらしいのですが…。残念です。
温暖な房総半島でもススキの穂が開き始めていました。まだ満開ではありませんが、広い画角で秋空と一緒に取り込むことで、四季の流れを感じることができます。
漁港では漁を終えた船が停泊中。朝早く出発したつもりでも列車による長時間移動の間にピークの時間は過ぎてしまい、港はとても静かでした。波はとても穏やかで水も透き通っています。普段見慣れた東京湾とは異なる風景を広い画角が余すとこなく取り込んでくれます。
コスモスの花を見つけました。接写も得意な広角レンズは27cmまで近づくことができ、開放F1.8の大きなボケ味と少しデフォルメ効果の入った独特な写真が楽しめます。今年は雨が多い影響か、花にも瑞々しさがあり、そんな質感をしっかり捉えてくれました。
海の景色を堪能した後は、見晴らしの良い場所を求めて鋸山へ移動。古くから石材の産地として採掘さていた山には、深い切り通しの道が続きます。カメラのチルト機能を用いてローアングルで撮影すると、さらに迫力ある画になりました。岩肌の冷たい質感など近接しなくても高い描写力がしっかり伝えてくれます。
展望台からは金谷港と対岸の三浦半島が望めます。東京湾の狭い場所として有名な浦賀水道ですが、広角レンズで覗くとやはり広く感じます。水道を行き交う船の多さは想像以上。ぜひ拡大表示して数えてください。薄い雲に覆われ最高の見晴らしではなかったものの、高い描写性能により小さい船がたくさん確認できます。
鋸山の有名スポット「百尺観音」と左脇に突き出た高さ100mの「地獄のぞき」。その場にいても大迫力ですが、広角レンズのパース効果が加わるとさらにパワーアップ。視覚を超えた異次元の世界が楽しめました。
カメラもレンズも1kgオーバー。2kg超えのシステムは中々ヘビーです。と言ってもそれは移動時の話。ファインダー内に広がる異次元の世界を覗くと、重さなんて関係なくなるくらいその景色に引き込まれてしまいます。D850に搭載された広いファインダーが、広い画角をよりダイナミックに伝えてくれたのも影響したのかもしれません。もちろん、あらゆるボディで高画質が楽しめますが、この組み合わせは特におすすめです。
普段とは違った世界が楽しめる高性能超広角レンズ、是非お試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff
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