SONYFE600mm F4 GM OSS
ソニーより待望の大口径超望遠単焦点レンズ『 FE 600mm F4 GM OSS』が登場しました。
本レンズの発表時、ソニーの担当者から「弊社はカメラセンサーの開発も並行して行なっているので、数年先のカメラを見据えてレンズ設計を行っている」と伺いました。数年後は何万画素になっているのだろう?と想像した矢先に6100万画素の「α7RIV」の発表です。その時の言葉を信用すれば、6100万画素以上のセンサーに対応した解像力を持っていることになります。
最新のメカニカル・光学技術により、高速・高精度・高追従AFとGマスターならではの高い解像性能および自然で美しいぼけ描写を実現したという本レンズ。東京オリンピックの1年前ということも考えれば、対一眼レフ色をより一層高めてきた印象も受けます。ソニーの本気が詰まったレンズに疑う余地はありませんが、早速その性能を試してみました。
まず向かったのは動物園。望遠レンズで狙うにおあつらえの高台にチンパンジーが座っていました。ファインダーを覗き、少し遠すぎたかと思いきやその毛並みを捉える高い解像力が確認できました。顔の細かなシワも見逃しません。この距離感でこの解像力。画像を拡大してご覧いただくとよりその迫力に驚かされます。
ソニーと言えば、先日より搭載された「動物対応の瞳AF」も話題になっています。600mmの超望遠レンズでも瞬時に瞳を捉えてくれました。軽量化されたとはいえ3,040gもあるレンズを手持ちで撮影すると、フレームを安定させるだけでも一苦労ですから、常に瞳を追い続けてくれる瞳AFの恩恵をフルにあずかれるのは超望遠レンズなのかもしれません。
木の上を歩きながら近づいてくるレッサーパンダ。ほぼ最短撮影距離(4.5m)に近い距離でしたが、ここでも動物瞳AFが大活躍です。両前足ボケから始める薄いピント面を見ると、正確で素早いAFが無かったら撮れなかったカットと言えます。
ユキヒョウがヨダレを垂らしなら近づいてきます。これが野生ならすぐに逃げても時既に遅しという感じですが、柵で仕切らた動物園なので安心です。
動物園撮影で注意したいのがその柵の扱いです。一般的には望遠レンズの絞り開放で、柵から離れた動物を狙えば、柵は見えなくなると言われていますが、このカットではうっすらと模様のような影が残りました。美しいボケ味と高い解像力を両立したという本レンズですが、このカットでは解像力の方が勝った印象です。
こちらは駅のホームから接近する列車を狙ったもの。列車が近くなるにつれフレームアウトする部分が増しても、列車のフロントを捉え続けています。雨に濡れるボンネットの質感もしっかり捉えています。
続いて飛行機の撮影にも挑戦です。より迫力ある風景を求めて滑走路先にある城南島海浜公園から撮影しました。
着陸機が頭上を通過するのに合わせ手持ちでレンズを振り回します。本レンズは部材の軽量化に加え、レンズ構成を後ろ寄りにしたことで重心がカメラ側に集中。よりレンズを上方向に向けやすくなりました。今回は「α9」に縦位置グリップ「VG-C3EM」を装着して使用。その使い勝手の良さから、合計約4Kgの機材を振り回しているという実感はありません。
続いては、多摩川を跨いだ川崎側の浮島町公園から海上に造られた滑走路と旅客ターミナルを繋ぐ橋を撮影したカット。撮影場所から1km以上離れているにも関わらず、ジャンボ機の細部まで確認できる高い解像力です。
1.4倍のテレコンバーターを装着すれば840mm相当のレンズとしても活躍します。公園内で見かけたシオカラトンボを狙いました。目がよく近づくとすぐに逃げてしまうトンボですが、余裕のある焦点距離のおかげで、警戒心を刺激することなく撮影できます。そしてこの解像力です。羽の模様はもちろん、足の棘までしっかり捉えました
2倍のテレコンバーターに変更し1200mm相当で野鳥撮影にも挑戦しました。さすがに飛行する鳥の瞳を認識することはできませんでしたが、高精度なAFが被写体にしっかりくいつきます。テレコンバーターを使用しても、非装着時とほぼ変わらない使用感です。
羽を広げた時に飛び散った水滴も逃さない描写力。テレコンバーターによる解像感の低下も全く感じられません。
夕日を背景に飛ぶシラサギ。白い羽が透ける様子を綺麗に描いています。
夜は綺麗な月を見ることができました。ほぼ頭上に近い時間だったため1200mm相当でも余白が広くなりましたが、クレーターの様子まではっきり捉えています。改めて本レンズのシャープな描写と高いコントラストが確認できました。
最強のGマスターレンズ
Kasyapaの撮影は毎回スタッフが街中を歩きながら撮影しています。今回も超望遠レンズ用バックパックで背負い電車とバスで撮影地に向かいました。600mm F4でもこのスタイルで撮影できたのは、機材の軽量さに尽きると思います。撮影時の使い勝手はもちろん、現場への運びやすさも大きなポイントです。
描写性能も素晴らしく、テレコンバーター装着による違いもほとんど感じられません。超望遠域の撮影ならなんでも撮れると思わせてくれる最強のレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff