シグマの『Contemporary F1.4 DC DN』シリーズは、これまで「ソニーE用」、「マイクロフォーサーズ用」、「キヤノンEF-M用」の3種類のマウントに対応していましたが、この度「ライカSL/TL用」が加わりました。16mm、30mm、56mmというラインナップのうち、当記事では30mmをピックアップ。「ライカSL/TL用」のマウントは様々なカメラに採用されているので、今回は『SIGMA fp』、『Panasonic LUMIX DC-S1』、『Leica CL』の3つのボディに付けて撮影します。
SIGMA Contemporary 30mm F1.4 DC DN
+ SIGMA fp
孔雀が羽を広げるのをはじめて生で見たときは、その美しさに感動したものです。孔雀の羽は開運や富などの象徴とされ、おめでたいものとして飾られることがあります。一方、孔雀自身はこの羽でモテ度が変わるそうです。目玉のような模様がたくさんあり、左右対称であるのがモテ孔雀。そう聞いてから羽を改めて見つめると、ありがたさよりも形の具合が気になってくるから不思議です。
グラスにライトが当たり周囲が曲線に沿って映り込み、美しく輝いていました。できた玉ボケは綺麗な円で品があります。
とある暑い日の夕方。ビルの隙間から暖色に染まった空が見え、その鮮やかさに目を奪われます。でも筆者は、脇役かもしれませんが、手前にあるビル群が完全にシルエットにはならずにディテールが残っている感じも好きなのです。暗部で粘ってディテール残してくれるSIGMA fpは、当レンズとベストマッチです。
SIGMA Contemporary 30mm F1.4 DC DN
+ Panasonic LUMIX DC-S1
桜で有名な目黒川も、この季節は葉が勢いよく生い茂っています。その豊かな枝ぶりは、雨が上がったばかりで濁る水面に迫る勢いです。
とある洋館に素敵なステンドグラスがありました。イチョウの葉にも似た菱形のガラスは色が各々微妙に異なり、それを一枚絵のようにテューダー様式で並べることで室内に注ぐ光が優しく彩られます。昔は大きなガラスを作るのが難しかったが故の工夫ですが、それがかえって芸術的で人の心を惹きつけます。
雨の夕刻。窓辺のソファがシルエットになりかけていて、ここだけ静かに時が止まっているかのよう。外から聞こえてくる雨の調べをBGMに、ゆっくりとした時の流れを堪能します。
SIGMA Contemporary 30mm F1.4 DC DN
+ Leica CL
ギター教室の看板として飾られていたストラトキャスター。サンバースト塗装のグラデーションも美しく再現され、また少し絞ることで木の部分や錆びた金属パーツの質感もしっかり感じ取ることが出来ます。
いくつもの枝が絡み合っているような不思議な扉を見つけました。手前側を前ボケとして写し、より模様に目が行くような構図に狙っています。
街中にそびえるオブジェクトの枠の中に、リュックを背負った人が通りがかりました。やや逆光の場面ですが白飛びもほとんどなく、自然な色味を描き出せています。
目の覚めるようなブルーのマネキン、引き込まれるような表情に思わずシャッターを切りました。ガラス越しでも目にピントが合い、映り込みの光が未来感のある雰囲気を作り出しています。
日本ではないかのような雰囲気のあるレンガ造りのお店。白いアーチ状の窓枠の中に、色とりどりのワンピースを着たマネキンが佇んでいます。日が当たっている部分と影が落ちている部分のコントラストが潰れることなく写し出されています。
Artラインに迫る大口径単焦点
シグマはContemporaryラインの特長をハイパフォーマンスであることと位置付けています。一方で、Artラインの特長はアーティスティック。一見するとArtラインの方が格上な印象を与えるかもしれません。しかしながら実際はそうではなく、特長の違いがラインの差なのだと改めて感じました。光学性能とコンパクトネスを両立させた16mm、30mm、56mmの大口径単焦点ラインナップは、まさにContemporaryラインを代表するレンズ群です。ミラーレスAPS-C対応とすることで設計を突き詰め、携帯性にも特化する。それだけでなく、まさに目の前にあるかのような描写もできることこそが、当レンズの真骨頂なのです。
Photo by MAP CAMERA Staff