開放F値0.95という極めて明るいレンズ、中一光学の『SPEEDMASTER(スピードマスター) 50mm F0.95 III』をご紹介します。金属製なので手触りもルックスもいいというのが第一印象。当レンズの一番の特長は、なんといっても超大口径であること。大きく美しいボケが期待でき、暗い場所の極わずかな明かりでも撮影することができそうです。ミラーレスカメラであることを最大限に活かした最新の設計により高画質を実現しました。マニュアルフォーカスですが、フォーカスリングが320度回転することにより、繊細なピント合わせが可能となっています。なかなかないほどの超大口径レンズですから、試してみたいと思っていた方も多くいるのではないでしょうか。ソニーEマウント用、ニコンZマウント用、キヤノンRFマウント用とある中で、今回はソニーのα7IIIとあわせて撮影してきました。
雨の中、久しぶりに雷門へ。お馴染みの巨大な提灯がなんだか小綺麗だなと思ったら、今年新調されたそうです。開放F値0.95で撮影したところ、仲見世通りが面白くボケました。溶けていくようなボケというよりはボケに縁取りがある感じです。
浅草名物のメロンパン屋さんで、メロンパンではなくあえてサンデーを注文。金平糖とマシュマロのデコレーションが可愛いです。他にお客さんもいなかったので、店員さんにお願いして撮らせてもらいました。開放で撮影すると店員さんが大きくボケて、アイスクリームは白くぼんやりと縁どられました。独特な描写です。
黒い桶が目に留まります。目で見るよりも金属の印象が強くなるよう狙ってアンダー目に撮影すると、金属プレートがギラギラと存在感を放ち始めました。
夕方。メーカーが当レンズは逆光に強いと強調していたことから、逆光での撮影も試してみます。かなり強い逆光でしたが、確かにフリンジは少ないように思います。
これを撮影したのは梅雨の真っ只中だったのですが、その時期はピンクの夕焼けをよく見かけた気がします。シルエットになっている電車は仕事や学校帰りの人々を乗せて、家路につきます。お気に入りの景色です。
たくさんの電飾が吊るされたビアガーデンを撮ったところ、丸ボケがたくさんできました。それぞれが丸く縁取られていて、まるでタピオカのよう。周辺部はややレモン形になり、レモンの尖った部分はなんだかクリオネの羽根を想起させます。
手軽な超大口径の世界
せっかくの開放F値0.95のレンズですから、開放でたくさん撮影してみました。ボケについては、スッキリした背景においてはとろけるようにボケてくれました。一方、細かい背景においては輪郭が目立ち、お好みにもよりますが個人的にはそれもまた面白く感じられました。320度回転するフォーカスリングは、すぐに大きく動かしたい際には少しまどろっこしい印象も受けたものの、たいていのケースにおいては丁寧にピント合わせをするのに役立ちました。ここまで明るいレンズとなると高価であることも多いのですが、手に取りやすい価格なのも嬉しいところ。超大口径の世界、ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff