『Panasonic LUMIX S PRO 16-35mm F4』をご紹介します。パナソニックの「LUMIX S」シリーズレンズの一番の特長は、質感描写に優れていることです。とりわけ豊かな階調と立体感、そして周辺部まで解像することに定評があります。そんな「LUMIX S」に、シリーズ初となる広角ズームレンズが仲間入りしました。広角端は16mmととても広い一方で、望遠端は使いやすい35mmという仕様です。そんな『Panasonic LUMIX S PRO 16-35mm F4』を携え、少し遠出をしてきました。
ここは山の中腹にある休憩所。山頂付近は雷雨ですが、少し下るだけで全く違う天気です。皆さんが一か所に並んで座っているのには訳があります。実はその席のところだけ足湯があるのです。
湖をスワンの一行が横切りました。等間隔に隊列を組み、粛々と進んでいきます。晴れていれば富士山が見えたのですが、この日は雨。山間部のため低い位置まで雨雲が下りてきていて、その重たい雲と水面を広く写すことができました。
湖のほとりに立つこの鳥居はパワースポットとしても人気があり、この日も写真を撮る人の列が伸びていました。中にはスワンボートで湖から手を合わせる人も。小雨が降るフラットな光の中でも、当レンズは立体的な描写をしてくれました。
塔の中に入ると、外からは想像できないくらい美しいステンドグラスの世界が広がりました。光をより印象的に見せるためにアンダーで撮影。カラフルなガラスとシルエットだけの世界観を作りました。
印象的なデコレーションが施された車。近くで見てみると、どうやらたくさんのマスキングテープが貼られてこの柄ができているようです。最近よくこのようなテープアートを見かけるようになりました。綺麗にはがせる上に意外と耐久性にも優れるので、街中のさまざまな場所で飾られています。
雨雲がかかる大涌谷。この噴煙地は立ち入りが禁じられているので、エリアの外から眺めます。荒涼とした大地から立ち上る噴煙、そして立ち枯れた木々のある風景はあまりに独特で、現実世界ではないかのよう。
そろそろ山を下りることにしてしばし休憩します。ここはギャラリーになっており、ゆったりとした時間が流れます。窓がまるで飾られた額縁のひとつのよう。
扉を開くとそこは海。気持ちの良い潮風が吹く扉の外とは対照的に、ここは停滞した空気に満ちています。その対比が写真に写れば面白いと思いシャッターを切りました。
午後の日差しが海面を照り付け、眩しく乱反射しています。少しアンダーで撮ると夏雲のディテールがしっかりと描写できます。大きな海を前にしたときに16mmという画角はちょうどよく、見た印象そのままに写真に納まりました。
見たままに広がる超広角の世界
自然な描写が好印象でした。超広角を小型化しようとすると、歪みやすかったり周辺部の描写が精細でなくなったりしがちですが、その点当レンズは無理している感じがなく、ボケも素直だと思いました。16-35mmという画角は思っていたよりも広すぎることなく、むしろ見たままの景色を写すのにちょうど良かったです。今回のスケジュール中はほぼ雨が降っており、傘を持ちながらの撮影で機材が濡れてしまうこともありましたが、ボディもレンズも防塵・防滴仕様のため安心して撮影に専念することができました。フォーカスリングをスライドさせることでAF/MFの切り替えを行う「フォーカスクラッチ機構」が搭載されており、これは動作が馴染んでくると便利です。デザイン性にも優れ、存在感が光る「S」のレッドエンブレムが所有欲を満たしてくれます。ライカの厳しい基準を満たした超広角ズームレンズ。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff