“フィールドカメラ”を銘打って登場した『PENTAX K-5II』。外観では前モデル『PENTAX K-5』と良く似たデザインながら、撮像素子やAF、モニタなど様々に手を入れ更に完成度を高めたモデルとなっています。前代『K-5』も手へのなじみや取り回しの良い、シンプルながら完成度の高いデザインだったので、内面のブラッシュアップに注力したというのも実に良い判断だったのでしょう。その『PENTAX K-5II』のローパスフィルターを取り外し、解像力に主眼をおいたモデルとして発売されたのがこの『PENTAX K-5IIs』になります。
今回は”フィールドカメラ”の実力を拝見するためかなり厳しい条件での撮影を行いましたが、う〜んさすがの完成度です。まずはこの1枚。ボディ内手ぶれ補正の恩恵もあり、曇天の雨中でもマクロ域の撮影が手持ちで十分に行えます。暗部のトーンの出も良く、花びらの薄く儚げな雰囲気までしっかりと捉えてくれました。
強い車のヘッドライトと様々な照明の照り返し。明暗差も強い中でそれでも破綻せず、雨粒の軌跡も解像しています。これでISO3200。最高感度でもかなり優秀な描写です。
このカット。実は人間の眼では被写体の細部まで良く見えない暗がりの中での撮影でした。もちろんMFは無理な訳で、そんなシチュエーションでも『K-5IIs』のAFがしっかりピントを追ってくれるのはとても助かります。細部にわたる描写もしっかりとし、この感度でもラチチュードが広く暗部とハイライトをしっかり保っているのは驚きです。この高感度、手ぶれ補正、防塵防滴の三つ巴の安心感は撮影できるフィールドを確実に広げるものでしょう!
暗くても、ピントはしっかりと合い、安定した撮影が出来るのは本当に心強いものです。
もちろん撮影時の『K-5IIs』はびしょ濡れでしたが、そんな中でもしっかりと作動してくれるのは当たり前ながら実に心強いもの。ただし少々レンズ面に水滴がある場合がありましたので、描写のフレアレベルが高いのはご容赦下さい。しかしこの感度でも、『K-5IIs』の解像感は素晴しいものです。奥の林の木々の葉まで、元データでは更に解像しています。”フィールドカメラ”の本領発揮と言えそうです。
ISO400程度ではもう何ら問題は無いでしょう。ビシビシにシャープで素晴しい描写。ただ悪条件にも驚くほど強いのが、『K-5IIs』の大きな魅力でしょう。
一昔前まではISO3200と来るとカラーバランスがおかしかったりラチチュードが極端に狭く、ノイズが多かったりしましたが、今はこの機動力、コンパクトさでこの描写です。トーンも、カラーバランスも、実に美しい。
AFも”素直”と言えば良いのでしょうか。「おそらくこの辺に合わせてくれるだろう。」と思った場所にしっかりと合わせてくれ、戸惑う事も無くピントを合わせてくれるのは撮影していて気持ちのよいものです。
コンパクトながらマグネシウムの金属ボディは剛性感もあり、引き締まったボディデザインと相まって頼りがいのあるしっかりとした仕上がりです。サイズもコンパクトで取り回しの良いのはもちろんですが、AFや感度、手ぶれ補正等さまざまな要素が実にバランスよくまとまっている感じで使っていてストレスの無い、高い安定感を誇るカメラです。これはスペックには現れませんが、このカメラの一番のポイントでは無いでしょうか。ネイチャーフォトを初め、撮影シチュエーションが厳しければ厳しいほど、この安定感は強いメリットになるはず。『PENTAX K-5IIs』、その完成度は頼れるパートナーに相応しい1台でしょう。
Photo by MAP CAMERA Staff