2013年3月8日に発売となった、ソニーの光学50倍ズームデジタルカメラ「Cyber-shot DSC-HX300」。外観はコンパクトなデジタル一眼レフの出で立ち。このサイズの中に24-1200mm F2.8-6.3の光学50倍ズームレンズが搭載されているから驚きだ。
一眼レフカメラで1200mmまでの超望遠撮影をしようと思ったらどれだけの機材が必要なのかと途方に暮れてしまう。それは予算もしかり重量もしかりだ。重さ約650gのHX300は、それを広角24mmからのズームレンズで実現してしまっているのだ。しかもそのレンズはただのズームレンズではなくカールツァイス「バリオ・ゾナーT*」を搭載するこだわりよう。もちろん光学手ブレ補正によって望遠撮影時にも安定した撮影を可能としている。
手ブレ補正と高速オートフォーカスのおかげで動きものも比較的楽に撮影できた。背面の液晶モニターはバリアングルタイプとなっているので、ローポジションやウエストレベル、ハイポジションなど様々な状態で撮影できる。さらにEVFも搭載されているので、明るい屋外での視認性の確保と超望遠撮影時の安定した撮影を可能としている。
ズームレバーをテレ側最大にすると、驚くほどあっけなく1200mmの超望遠域がモニターに写し出される。そこには肉眼では見ることのできない新しい世界が広がる。1200mmという超望遠域をこんなに簡単に綺麗に撮れてしまうことにまずは驚く。分厚い大気の層で揺れる遠くの景色は超望遠ならでは。
すべるように滑走路を疾走する飛行機も、EVFで追いながらシャッターチャンスをものにすることも容易だった。ズームレンジも自在なのでまさにどんな写真でも撮れてしまう安心感がある。
「動」が撮れれば「静」も思うがままに撮れる。ダイナミックな広がりを表現できる広角24mmから、圧縮効果を強調する望遠撮影に至るまでありとあらゆる撮影技法を試すことが出来る。バリアングルモニターで様々なアングルを試したり、ズームレンズで狙った部分を切り取ることを含めこのカメラの撮影バリエーションは計り知れない。
旅行や山登りなど出来るだけ荷物を減らしたい場合でも、HX300なら目の前に広がる景色を自在に切り出して記録できる。そしてフルHD(1920×1080ドット)で60pの動画の撮影も可能なので、旅の思いでは静止画だけではなく臨場感たっぷりの動画で残せるのが嬉しい。
イメージセンサーは、約2040万画素1/2.3型と言うこともありノイズに対して苦労しているように感じられるが、掲載している写真の通り細かいディテールを含め写真で伝えたい思いは記録されていると感じた。
Cyber-shot DSC-HX300は、なんでもできるデジタルカメラを欲しいというニーズにピッタリ合致するカメラであると同時にデジタル一眼レフカメラの力強いサブとしても十分の実力を持つ。これまでサブカメラと言えば小さい事や手軽なことであくまで撮影のサブとしての限定用途であったが、HX300はデジタル一眼レフでは撮影できない部分を補う本当のサブとしてオススメできるカメラだ。
Photo by MAP CAMERA Staff